トピック
実売3,980円でRyzen 7 9800X3Dを冷やしきるMSIの空冷CPUクーラー「MAG COREFROZR AA13」
TDP 240W対応で質感も高いサイドフローモデル text by 坂本はじめ
- 提供:
- MSI
2025年10月30日 00:00
MSIが今秋リリースした「MAG COREFROZR AA13」は、実売3,980円前後という低価格で入手可能な空冷CPUクーラー。120mmファンと薄型サイドフロー・ヒートシンクを組み合わせたシンプルな構成ながら、TDP 240Wに対応可能な冷却性能をうたっている。
今回は、ゲーミングCPUとして人気の高いRyzen 7 9800X3Dを用意。高い熱密度ゆえに冷却が難しい最新鋭CPUを相手に、MAG COREFROZR AA13の冷却性能がどこまで通用するのか確かめてみよう。
シンプルかつコンパクトな設計のサイドフロー型CPUクーラーブラック/ホワイトのカラーバリエーションを用意
MSIのMAG COREFROZR AA13は、120mmファンを搭載するサイドフロー型CPUクーラー。本体サイズは121×94.5×152mm(W×D×H)と比較的コンパクトな設計ながら、MSIの評価ではTDP 240Wに対応するとしている。
ホワイトとブラック、2色のカラーバリエーションが用意されており、今回テストするのはブラックモデル。対応CPUソケットはIntel LGA1851/1700とAMD Socket AM5/AM4で、実売価格は両カラーとも3,980円前後。
標準搭載のファンは、120×120×25mmの標準的な120mm形状で、ARGB LEDによるイルミネーション機能と、PWM制御による可変回転数に対応。ファン速度のレンジは510~2,070rpm(±200rpm)で、ノイズレベルは30.11dBA(最大34.1dBA)とされている。
ヒートシンク本体への冷却ファンの固定にはワイヤークリップを採用しており、ブラックモデルではワイヤークリップも黒くカラーリングされていた。
ファン速度やARGB LEDの制御はケーブルで接続したマザーボード側で行う仕様となっており、MSI製のマザーボードに接続した場合はユーティリティソフトの「MSI Center」で一括制御できる。
ヒートシンクの設計や制御系をシンプル化することで低価格を実現しているMAG COREFROZR AA13だが、ヒートシンクに施されたマットブラックな表面処理は均一性に優れた高品質なもので、冷却ファンのLEDイルミネーションがよく映える見た目をしている。ガラスパネルを採用するPCケースとの組み合わせでも、他のパーツに見劣りしないビジュアルは本製品の魅力だ。
最上級ゲーミングCPU「Ryzen 7 9800X3D」をどこまで冷やせる?MAG COREFROZR AA13の冷却性能をテスト
ここからは、MAG COREFROZR AA13をRyzen 7 9800X3Dに搭載して冷却性能をテストする。
テスト環境は以下の通り。冷却性能テストに用いるのは「Cinebench 2024」と「サイバーパンク2077」で、MAG COREFROZR AA13の冷却ファンをPWM制御100%または50%に固定した際の冷却性能を評価する。

「Cinebench 2024」でテスト、高負荷時でもRyzen 7 9800X3Dがしっかり冷える
Ryzen 7 9800X3Dが備える全てのCPUコアに高負荷をかけるCinebench 2024のCPU(Multi Core)を、標準の最低実行時間10分で実行した結果が以下のグラフだ。


CPU温度はPWM制御100%で平均82.9℃(最大87.2℃)、PWM制御50%で平均91.0℃(最大95.1℃)となっている。
Ryzen 7 9800X3DのTjMaxは95℃なので、PWM制御50%では瞬間的にサーマルスロットリングの作動温度に達しているが、ベンチマークスコアはほぼ同等(1,285前後)なのでパフォーマンスへの影響はほとんど生じていないようだ。
テスト実行中の平均CPU消費電力は123.2~129.3Wで、CCD1基のRyzen 9000シリーズが消費する電力としてはかなり大きく、熱密度的にもそれなりに厳しい数字だが、MAG COREFROZR AA13はそれに十分対応できる冷却性能を備えている。
「サイバーパンク2077」でテスト、ゲーム時はファンを絞って運用することも可能
高負荷なゲームとして知られるサイバーパンク2077では、WQHD/1440p解像度にて、グラフィックプリセットを「レイトレーシング:オーバードライブ」、超解像を「DLSS(クオリティ)」、フレーム生成を「DLSS FG 4x」に設定し、15分間連続でゲームを実行した際のモニタリングデータを収集した。


テスト実行中のCPU温度は、PWM制御100%で平均56.0℃(最大59.1℃)、PWM制御50%で平均61.3℃(最大66.2℃)だった。
サイバーパンク実行中の平均CPU消費電力は59.9~61.7Wで、Cinebench 2024実行中の半分程度の消費電力=発熱であることもあり、PWM制御を50%未満に絞っても十分に冷却できそうなほど低いCPU温度を維持することができた。
Cinebench 2024ほどCPUコアをフル活用するゲームは少なく、たいていの場合はサイバーパンク2077と同等かそれ以下の負荷であることを考えれば、MAG COREFROZR AA13の冷却性能はゲーム実行中のRyzen 7 9800X3Dを低いファン速度で冷やせる性能がある。
PWM制御によるファン速度と騒音値の変化を計測ファン回転数1,000rpm未満ではかなりの静音
MAG COREFROZR AA13がRyzen 7 9800X3Dの発熱に十分対応できる冷却性能を備えていることが分かったので、次は騒音計を使って静粛性を確認してみた。
計測時のテスト環境は冷却性能テストに用いた環境を流用し、冷却ファンの前面(吸気側)から約40cm離れた位置に騒音計を設置。BIOS上のファン制御機能を使ってPWM制御の設定値ごとにファン速度と騒音値を計測した。なお、可能な限りCPUクーラーのノイズのみを計測するため、電源ユニットをセミファンレス対応製品に変更し、ファン停止状態で計測した。


MAG COREFROZR AA13のファン速度は、PWM制御0%の約500rpmから、PWM制御90%の約1,960rpmまで徐々に上昇しており、PWM制御90%~100%の範囲では変化しなかった。スペック上のファン速度は510~2,070rpm(±200rpm)なので、おおむねスペック通りと言える計測結果だ。
一方、騒音値については、PWM制御0~20%までは電源オフ時と同等の31.5dBAを維持しており、その後はファン回転数が最大に達するPWM制御90%の43.1dBAまで段階的に上昇している。体感的にもファン回転数が1,000rpmに達するPWM制御30%未満の動作音は非常に小さく、PWM制御50%を超えたあたりから動作音が大きくなる印象だった。
サイバーパンク2077実行中のCPU温度を考えると、手動で適切にファン制御設定を行えば、ゲーム実行中のファン速度を動作音がほとんど気にならない1,000rpm以下に保つことも可能だろう。
低コストでもよく冷えるMSIの新型空冷CPUクーラー
MAG COREFROZR AA13は、3,980円前後で買える安価な空冷CPUクーラーでありながら、Ryzen 7 9800X3Dを十分に冷却できる冷却性能を備えており、ゲーム実行中のCPUを冷やす程度なら高い静粛性を実現可能だ。
必要十分な冷却性能に加え、質の高い塗装とARGB LEDファンの採用により、安っぽさを感じないビジュアルを実現している。もちろん、市場にあるほとんどの水冷CPUクーラーよりも安価だ。できるだけコストを抑えつつ、見た目も性能も良いゲーミングPCの構築を目指すユーザーにとって、MAG COREFROZR AA13は理想的なCPUクーラーの一つと言えるだろう。

























