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24コアCPU&GeForce RTX 50 シリーズの高スペックを強力冷却で安定運用!MSIのゲーミングノートPC「Crosshair 16 HX AI D2XW シリーズ」

Amazon.co.jpにてRTX 5060 Laptop GPU搭載モデルがセール価格に text by 芹澤 正芳

 MSIから高いスペックと冷却力で長時間でも安定してゲームをプレイでき、eスポーツにも適したゲーミングノートPC「Crosshair 16 HX AI D2XW シリーズ」が登場した。配信しながらのプレイが可能なのはもちろん、動画編集などクリエイティブワークもこなせる性能を持ち、ストリーマーとしての活動に興味がある人にもオススメの1台になっている。早速レビューをお届けしよう。

 なお、Amazon.co.jpでスタートしたブラックフライデー先行セール期間に合わせ、同シリーズのRTX 5060 Laptop搭載モデルがセール価格で販売中。本稿で紹介するモデルとメモリ容量とGPU以外は同じなので参考としていただきたい。

Core Ultra 9 275HXとGeForce RTX 50 Laptop GPUの強力なタッグ

 MSIは超ハイエンドや薄型など多彩なゲーミングノートPCを展開している。その中でeスポーツ系ゲームを余裕でプレイできるゲーミング性能とビジネスアプリや普段使いにも役立つ装備を備えているのが「Crosshair 16 HX AI D2XW」だ。高性能なCPUとGPUを搭載しているのはもちろん、ノートPCとしては大きめの画面に高リフレッシュレート、使いやすいキーボードなどゲームプレイに重要なポイントをしっかりと押さえている。

MSIのゲーミングノートPC「Crosshair 16 HX AI D2XW シリーズ」。今回試用したのはCore Ultra 9 275HXとGeForce RTX 5070 Laptop GPUを組み合わせたモデル(型番:Crosshair-16-HX-AI-D2XWGKG-0851JP)
本体カバー面。MSIのドラゴンロゴ、ラインアートは光の当たり方や見る角度で色が変化する。主張しすぎないシンプルなカッコよさ
液晶パネルを開いた状態の左右側面。本体のサイズは、359×266.4×27.9mm、重量は約2.5kg。16型パネル搭載ノートなのでフットプリントは大きめだが、スリムに見えるデザインだ

 CPUにはIntelのノートPC向けでは最新世代の「Core Ultra 9 275HX」を搭載。末尾の“HX”はハイエンド向けに付けられるもので、特に275HXはデスクトップ向け最上位のCore Ultra 9 285Kと同じダイが使われているのがポイントだ。それだけに、性能重視のPコアを8基、効率重視のEコアを16基で合計24コア24スレッドという超メニーコア仕様を実現しており、動作クロックも最大5.4GHzと高い。

 なお、AI特化型プロセッサーのNPUも内蔵しているが、性能は13.1TOPSとCopilot+ PCの要件(40TOPS)は満たしていない。WindowsスタジオエフェクトでWebカメラ映像の背景をぼかすなど、軽めのAI処理担当という位置付けだ。

CPU-Zでの表示。CPUには24コア24スレッドの「Core Ultra 9 275HX」を搭載。Pコアを8基、Eコアを16基内蔵する
NPUも内蔵。WindowsスタジオエフェクトではNPUを使ってWebカメラの映像に対して自動フレーミングや背景ぼかしといった処理を行える

 ゲーミングノートPCでもっとも重要と言えるGPUには、NVIDIAのノートPC向け最新世代から「GeForce RTX 5070 Laptop GPU」を搭載。アッパーミドルレンジに位置し、CUDAコア4,608基、ビデオメモリGDDR7 8GB、AI性能798TOPSというスペックだ。マルチフレーム生成が可能なDLSS 4をサポート、第9世代NVENC/第6世代NVDECがH.264/H.265コーデックの4:2:2フォーマットに対応など機能面も充実している。

GeForce RTX 5070 Laptop GPUを搭載。ブーストクロックは1,425MHzでカード電力は115Wに設定されていた

 対応メモリはDDR5-6400/LPDDR5x-8400で、本機には最初から大容量の64GB(32GB×2)のDDR5-5600メモリが搭載されている。高性能なCPUおよびGPUと相まって動画編集などクリエイティブワークもこなしやすい。

 ACアダプターは240W出力だ。Core Ultra 9 275HXはPBP 55W、GPUがカード電力115W設定なので供給電力としては十分だろう。2基の冷却ファンと5本のヒートパイプによってCPUとGPUを冷やす独自の冷却機構「Cooler Boost 5」を採用。底面から吸気、背面と両側面から排気する強力なエアフローも確保しており、長時間のゲームプレイにも安心の設計となっている。

ACアダプターは240W出力だけにサイズは大きめ
本体底面。冷却機構「Cooler Boost 5」を構成する2基の大型ファンと5本のヒートパイプの一部がスリット越しに見える。底面から吸気して両側面、背面から排気する構造だ

 ストレージはPCI Express 4.0 x4接続のNVMe SSDで容量は1TBだ。シーケンシャルリードで6836.83MB/sとかなり高速なので、ゲームプレイはもちろんクリエイティブワークでも不満を感じることはないだろう。さらにM.2スロットには1基空きがあるので、SSDを追加してストレージ容量を増やすことが可能だ。MSI公認サポート店を利用すれば、製品保証を維持したままストレージを増設してもらえるので、SSD追加が必要な場合にはMSI公認サポート店に相談してみよう。

CrystalDiskMark 9.0.1の結果。シーケンシャルリード6836.83MB/s、ライト5952.78MB/sと4.0 x4接続のNVMe SSDとしてかなり高速の部類だ

 ディスプレイは解像度2,560×1,600ドット表示の16型。ゲーミングノートPCということで、リフレッシュレート240Hzの高速タイプを採用する。ノートPCとしては大きめの画面サイズなので見やすく、画面比率も16:10と縦方向の表示も広い。PCとしての基本スペックの高さと広めのパネルの組み合わせから、ゲーミングだけでなく、軽めの作業であるオフィスワーク、重い作業も想定されるクリエイティブワークなど、幅広い分野で活躍できる“ハイレベルなオールラウンダー”に仕上げられたPCであることが分かる。

ディスプレイは16型で解像度は2,560×1,600ドット。リフレッシュレートは240Hzと高速だ
ディスプレイはここまで開く
リフレッシュレートは最大240Hz

 このほか、ディスプレイ上部には物理シャッター付きのWebカメラ(92万画素)を搭載。インターフェースは左側面にThunderbolt 4×1、USB 5Gbps、右側面にUSB 5Gbps、ヘッドセット端子、背面にUSB 5Gbps、HDMI出力、1000BASE-Tの有線LANを備える。ワイヤレス機能はWi-Fi 6EとBluetooth 5.3をサポートする。

上部には92万画素のWebカメラとマイクを搭載。物理シャッターも備える
左側面にはThunderbolt 4×1、USB 5Gbpsを配置
右側面にはUSB 5Gbps、ヘッドセット端子を配置
背面にUSB 5Gbps、HDMI出力、1000BASE-Tの有線LANを備える

 キーボードは日本語配列で24ゾーンに分かれたRGBバックライトを内蔵しており、MSI Centerアプリで発光色やパターンの制御が可能だ。FPS/TPSで使用頻度の高いWASDキーがスケルトン仕様なのでLEDが目立ち、認識しやすくなっている。

キーボードは日本語配列で24ゾーンに分かれたRGBバックライトを内蔵
WASDキーはスケルトン仕様。カーソルキーは矢印部分が透過デザインだ
キーボードのバックライトは「MSI Center」アプリで制御できる

パストレーシング対応ゲームを高解像度でも余裕で楽しめる

 それではベンチマークテストに移ろう。統合管理ツール「MSI Center」アプリには複数の動作モードが用意されているが、今回のテストでは、パワフルなゲーミングPCの真価が発揮される、パフォーマンス重視の「エクストリーム」設定でテストを行った。

動作モードはMSI Centerアプリでエクストリームに設定してベンチマークを実行した

 まずは、CGレンダリングでCPUパワーを測定する「Cinebench 2024」、PCの基本性能を測る「PCMark 10」、定番3Dベンチマークの「3DMark」を実行する。

Cinebench 2024の結果
PCMark 10 Standardの結果
3DMark Steel Nomadの結果
3DMark Speed Wayの結果
3DMark Fire Strikeの結果

 24コア24スレッドというメニーコア仕様だけあり、Cinebench 2024のMulti Coreは2,000ptsオーバーとデスクトップ向けCPUを含めてもかなり高いと言えるスコア。CPUパワーを求めるクリエイティブワークでも活躍できる。3DMarkもRTX 5070 Laptop GPUとして順当なスコアを出しており、性能はしっかり引き出されている。

 実ゲームでのテスト結果も見てみよう。今回はディスプレイが画面比率16:10の2,560×1,600ドットなので、2,560×1,600ドット、1,920×1,200ドットの2パターンで測定した。

 まずは、DLSSやフレーム生成を使わないテストとして「Apex Legends」と「オーバーウォッチ2」を試したい。Apex Legendsは射撃訓練場の一定コースを移動した際のフレームレート、オーバーウォッチ2はbotマッチを実行した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定している。

Apex Legendsのベンチマーク結果
オーバーウォッチ2のベンチマーク結果

 アップスケールなどのないラスタライズ処理のゲームだが、最新世代のアッパーミドルレンジGPUということもあり、2,560×1,600ドットでも快適にプレイできるフレームレートを出している。240Hzのリフレッシュレートを最大限活かすなら、1,920×1,200ドットに解像度を下げるか、画質設定を少し落とすとよいだろう。

 続いてDLSS 4のマルチフレーム生成に対応したタイトルを試してみよう。「Battlefield 6」、「モンスターハンターワイルズ」、「サイバーパンク2077」でテストを実施した。Battlefield 6はシングルキャンペーンモードの夜間襲撃で60秒移動した際のフレームレート、モンスターハンターワイルズはベースキャンプの一定コースを移動した際のフレームレート、サイバーパンク2077はベンチマーク機能を実行した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定している。

Battlefield 6のベンチマーク結果
モンスターハンターワイルズのベンチマーク結果
サイバーパンク2077のベンチマーク結果

 Battlefield 6はレイトレーシングに対応しない最近のゲームとしては軽めの描画負荷なので、マルチフレーム生成の威力もあって2,560×1,600ドットでも平均150fpsを超えた。モンスターハンターワイルズはCPU、GPUともにパワーを求めるタイトルだが、快適にプレイできるフレームレートだ。サイバーパンク2077は、すべての光源の経路(パス)を再現するために描画負荷が非常に高いパストレーシングを有効にしているが、それでも2,560×1,600ドットで平均100fpsを超えている。最新世代のCPU、GPUのパワーがよく分かる結果だ。

長時間プレイも安心の冷却力

 冷却力と動作音をチェックしよう。今回は、サイバーパンク2077を10分間動作させたときの動作音を正面、右側面、背面のそれぞれ10cmの位置に騒音計を置いて測定。さらに、サーモグラフィでキーボード全体の温度をチェックしてみた。動作モードはベンチマークと同じくエクストリーム設定だ。

動作音の計測結果
キーボードの上部と中央部は温度が高くなっているが、ゲーム中に使用率の高いWASDキー周辺の温度は低いので、プレイには影響が出にくいか

 動作音については小さくはないが、爆音というほどではないという印象だった。排気口のある側面と背面の動作音はどうしても大きいが、正面からだとかなり抑えられている。

 最後にゲームプレイ中のCPUおよびGPUの温度をチェックしておこう。同じくサイバーパンク2077を10分間プレイしたときのCPUとGPUの温度推移を「HWiNFO Pro」で測定している。CPUが「CPU Package」、GPUが「GPU Temperature」の値だ。

ゲームプレイ中の温度推移(10分間)

 CPUはゲームの状況によって動作クロックが大きく変動するためGPUに比べてブレは大きめだが、CPUは平均79.9℃、GPUは平均78℃とまったく問題なく冷却できている。特に24コアCPUで90℃を超えるのは一瞬だけなので、冷却力は高いと言ってよい。長時間でも安心してゲームプレイが可能だ。

240Hzのなめらかさと重量級も快適に遊べるパワー

 幅広いゲームを快適にプレイできるスペックが揃っている、ハイレベルな万能選手と言うべきPCだ。240Hzの高リフレッシュレートで大画面&高解像度のディスプレイ、それを活かせる高性能なCPUとGPU、長時間プレイでも安心の高い冷却力。そしてメモリも最初から64GBの大容量なので、配信しながらのプレイや動画編集などクリエイターやストリーマー活動にも対応しやすい。30万円台のゲーミングノートPCとして満足度の高い1台だ。

 なお、冒頭でも紹介したAmazon.co.jpにてセール価格で販売中のモデル「Crosshair-16-HX-AI-D2XWFKG-0953JP」は、GPUにGeForce RTX 5060 Laptop GPUを採用し、32GB(16GB×2)のメモリを搭載する。そのほか、CPUやディスプレイ、SSD、各種インターフェイスの仕様は今回テストしたモデルと共通だ。GPUとメモリ容量が変更されているとはいえ、ホビーユーザーがゲームを含む幅広い用途に活用できる実力は十分に備えている。今冬、ゲーミング環境をワンランクかそれ以上ステップアップしたいという人は、この機会に是非チェックしてみていただきたい。