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結構冷える!新技術「3DHP」採用のCPUクーラー「Cooler Master Hyper 212 3DHP Black」
安値店では3,480円、準ハイエンドCPUも冷やせる注目モデル text by 坂本はじめ
- 提供:
- Cooler Master
2025年12月19日 00:00
Cooler Master製のサイドフロー型CPUクーラー「Hyper 212」シリーズに、独自の新技術「3DHP」を採用した新製品「Hyper 212 3DHP Black」が追加された。
今回は、3DHPの導入によって冷却効率を改善したとされる新モデルの実力を確かめるべく、人気のIntel製CPU「Core Ultra 7 265K」を使い性能をテストした。MTP=250Wの準ハイエンドCPUをどこまで冷やせるのか見ていこう。
3DHPの導入で冷却効率を改善した空冷CPUクーラー
Hyper 212 3DHP Blackは、120mmファンを搭載するサイドフロー型CPUクーラー「Hyper 212」の最新モデルで、同社が3DHPと呼ぶ新設計を導入することで冷却効率の改善が図られている。
対応CPUソケットはIntel LGA1851/1700/1200/115xとAMD Socket AM5/AM4。安値店での販売価格は3,480円で、このクラスのサイドフロー型CPUクーラーとしては割安な価格で市場に投入されている。
一般的なサイドフロー型CPUクーラーがヒートパイプをU字状に配置しているのに対し、新設計の3DHPを導入したCPUクーラーはベース部から直上に伸びるヒートパイプを追加。熱伝導と放熱フィンの効率を高めることで冷却効率を改善するとされている。
Hyper 212 3DHP Blackの場合、従来と同じU字状に配置した8mm径ヒートパイプ2本に加え、ベースから垂直に伸びる6mm径ヒートパイプ2本を搭載。ベースプレートを横切るヒートパイプは従来モデルの4本から2本に減っているが、ヒートパイプの太さや配置を最適化することでエアフローの効率も上がっているとのことだ。
同梱の冷却ファンは、Cooler Master製の120mmファン「MOBIUS 120」。PWM制御によって0~2,050rpm(±10%)の範囲で回転数を調整できるセミファンレス動作対応モデルで、ノイズレベルは最大22.6dBA。
ヒートシンクへのファンの取り付けにはワイヤークリップを採用。25mm厚の120mmファンであれば標準ファン以外の取り付けも可能だが、ワイヤークリップはファン1基分しか付属していないのでファンの増設はできない。
新採用の3DHPならMTP=250WのCore Ultra 7 265Kを冷やせる?
ここからは、Hyper 212 3DHP BlackをCore Ultra 7 265Kに搭載して冷却性能をテストする。
テスト環境は以下の通りで、冷却性能テストに用いるのは「Cinebench 2024」と「サイバーパンク2077」。今回はHyper 212 3DHP Blackの冷却ファンをPWM制御100%または50%に固定した際の冷却性能を評価する。

Cinebench 2024で全開動作のCore Ultra 7 265Kを冷やせるHyper 212 3DHP Black
まずは、Core Ultra 7 265Kが備える20コアが全開で動作するCinebench 2024のCPU(Multi Core)を実行した結果が以下のグラフだ。




CPU温度はPWM制御100%で平均84.4℃(最大91℃)、PWM制御50%で平均97.5℃(最大105℃)となっている。
Core Ultra 7 265Kのサーマルスロットリング作動温度であるTjMaxは105℃なので、PWM制御100%時は10℃以上の余裕を確保できた。ファン回転数に制限を設けたPWM制御50%では、最大温度がTjMaxに達しているが、ベンチマークスコアはPWM制御100%の1,978に対し、PWM制御50%は1,966と大差ない結果となっている。PWM制御50%でもサーマルスロットリングの影響は最小限に抑えられていることが分かる。
Cinebench 2024実行中のCPU消費電力は、PWM制御100%が平均191.3W(最大227.8W)で、PWM制御50%は平均205.5W(最大239.5W)を記録。温度上昇に伴うリーク電流増加の影響で消費電力差が生じているが、Core Ultra 7 265Kにおける200W級の発熱に対応できる冷却性能がHyper 212 3DHP Blackにあることは間違いない。
サイバーパンク2077で高負荷ゲーム実行中の冷却性能、静音動作も狙える
サイバーパンク2077では、フルHD解像度(1,920×1,080ドット)で、グラフィックプリセットを「レイトレーシング:ウルトラ」に設定して、15分間連続でゲームを実行した際のモニタリングデータを計測した。




テスト実行中のCPU温度は、PWM制御100%で平均65.5℃(最大73℃)、PWM制御50%で平均74.5℃(最大82℃)。いずれもTjMaxの105℃を大きく下回る温度であり、パフォーマンスにも有意な差はみられない。
サイバーパンク実行中の平均CPU消費電力は104.7~110.1Wで、この程度の発熱量であれば、Hyper 212 3DHP Blackはファン速度を絞ってもCore Ultra 7 265Kを十分に冷却することが可能だ。
PWM制御によるファン速度と騒音値の変化を計測1,000rpm以下での優れた静粛性とセミファンレス動作が魅力
続いては、マザーボードのBIOSが備えるPWM制御機能を利用して、PWM制御設定ごとのファン速度と騒音値を測定した結果を紹介する。
今回は、騒音計をHyper 212 3DHP Blackが備える冷却ファンの吸気口から約40cm離れた位置に設置し、CPUクーラー以外の冷却ファンをすべて停止した状態で測定した。なお、テスト用PCの電源をオフにした暗騒音は30.8dBA。


Hyper 212 3DHP Blackの冷却ファンは、PWM制御0~10%ではファンの回転が停止するセミファンレス動作となっており、PWM制御20%の465rpmからPWM制御100%の1,960rpmまで段階的に速度が上昇している様子がみてとれる。スペック上のファン速度は0~2,050rpm(±10%)なので、今回の測定結果はスペックの範囲内に収まっている。
騒音値については、PWM制御0~10%のファン停止中はまさに「無音」といった印象で、騒音値も暗騒音と同じ30.8dBAを記録。また、ファン速度が1,000rpm以下だったPWM制御20~50%もほぼ無音と言えるほど静かであり、騒音値は31.1dBAで横並びとなっている。
PWM制御60%以上になると徐々に騒音値の増加が体感できるようになり、ファン速度が最大の1,960rpmに達するPWM制御100%時の騒音値は38.7dBAに達した。PWM制御100%時の騒音はそれなりに大きなものだが、全体的には回転数のわりには静粛性に優れているという印象を受けた。
200W級のCore Ultra 7 265Kの発熱にも対応可能な3DHP採用クーラー3千円半ばで入手できる価格も魅力
3DHPを新採用したHyper 212 3DHP Blackは、Cinebench 2024実行中のCore Ultra 7 265Kが発する200W級の熱を捌ききる冷却性能を実現していた。3DHPによる効果が具体的にどの程度の数値になるのかを計測することは難しいが、薄型のサイドフロー型CPUクーラーとしては十分に優秀と言える冷却性能だ。
冷却ファンの静粛性もHyper 212 3DHP Blackの魅力であり、ゲームのように中程度の負荷でCPUを運用する機会が多い環境では、必要十分な冷却性能を高い静粛性で提供することができるだろう。こうした性能を持ちながら、安値店であれば3,480円で購入できる割安感もこのモデルの大きな魅力だ。
準ハイエンドCPUを静かに冷やせるHyper 212 3DHP Blackは、コスパ重視のユーザーが注目すべきCPUクーラーの一つとなりそうだ。
















