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SSDは10年間で速度6倍・容量16倍に!Samsungのモデルで振り返るSSD進化の歴史
最新のTLC NAND搭載SSDは速度だけでなくレスポンスも最高性能に text by 坂本はじめ
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2026年1月26日 00:00
Samsungが初のコンシューマー向けM.2型NVMe SSD「950 PRO」を市場に投入してから約10年。その間SSDは様々な改良が加えられ、現行モデルの「9100 PRO」は、950 PROと比較すると最大速度は約6倍、最大容量は約16倍に到達している。
ちょうど良い機会なので、今回はSamsung製SSDの上位モデル「PRO」シリーズに注目。パフォーマンス重視のSSDが10年の間に辿った進化の歴史を振り返ってみよう。
10年間で飛躍的な進化を遂げたM.2 SSD、速度は14,800MB/s、容量は8TBに到達
2015年にM.2型NVMe SSDである950 PROを発売したSamsungは、以降もSSDの高性能モデルの開発を継続。これまでPROシリーズのM.2型NVMe SSDを6世代にわたり市場に投入している。
950 PRO発売からの10年間でSSD関連技術は飛躍的な進化を遂げ、バスインターフェイスも950 PROが採用したPCIe 3.0 x4からPCIe 5.0 x4に更新された。その成果として、最新のPCIe 5.0 SSDである9100 PROの最大速度はリード14,800MB/s、ライト13,400MB/sを実現した。また、NANDの高集積化や積層技術の進歩などにより、最大容量も8TB(8,000GB)に到達している。
9100 PROのスペックを最初の製品である950 PROと比較すると、最大速度はリード約6倍、ライト約9倍、最大容量は約16倍という圧倒的な数字が並ぶ。こうして比べてみると、SSDが10年という時間で桁違いの進化を遂げたことが分かる。
950 PRO(2015年)から9100 PRO(2025年)に至る進化を振り返る
ここからは、これまでに発売されたPROシリーズのM.2型NVMe SSDを製品ごとに紹介しながら、Samsung製SSDが歩んできた進化の歴史を確認していこう。
2015年、SATA SSDを圧倒する2,500MB/s、コンシューマー向けNVMe SSD「950 PRO」登場
Samsung初のコンシューマー向けNVMe SSDとして2015年11月に発売されたのが「950 PRO」だ。
Samsung独自の3D NANDフラッシュメモリ「V-NAND MLC」と自社製造の「UBXコントローラ」を備え、インターフェイスにPCIe 3.0 x4を採用した950 PROは、当時主流の6Gbps SATA(600MB/s)では不可能なリード2,500MB/s、ライト1,500MB/sという最大速度を実現。容量ラインナップは256GBと512GBの2モデルが用意された。
SATA SSDの数倍の速度を実現した950 PROは、Intelの第6世代Coreプロセッサー(Skylake)との組み合わせで人気を博し、現在ではコンシューマー向けSSDの主流となっているM.2型NVMe SSDの普及を牽引した。

2016年、3,500MB/s・2TBを実現、2世代目の上位NVMe SSD「960 PRO」
2016年12月、950 PROの後継として発売されたSSDが「960 PRO」だ。
960 PROは950 PROと同じPCIe 3.0 x4をインターフェイスに採用しながらも、新開発のPolarisコントローラとV-NAND MLCの組み合わせや、銅箔を内蔵して放熱を促進するヒートスプレディングラベルの導入などにより、最大速度がリード3,500MB/s、ライト2,100MB/sに向上。さらに、2TB(2,000GB)モデルを追加することで大幅な大容量化を実現した。
TLCタイプのV-NANDを採用した普及価格帯向けのNVMe SSDである「960 EVO」と同時にリリースされたことで、960 PROは従来よりも性能を追求したSSDとなっており、最大容量の2TBモデルは発売当時に税込み159,800円前後(消費税率8%)という価格が設定されていた。

2018年、TLCが普及する中でMLCを継続採用、性能と耐久性を強化した「970 PRO」
2018年5月、第4世代V-NAND MLCと新設計のPhoenixコントローラを採用したPCIe 3.0 SSD「970 PRO」がリリースされた。
この頃、SSDに搭載されるNANDフラッシュメモリの主流はメモリセルに3bit記録が可能なTLCへ移行していたが、970 PROは2bit記録のMLCを引き続き採用。これにより、最大速度はリード3,500MB/s、ライト2,700MB/sという960 PROを上回るライト性能を実現し、書き換え耐久性(TBW)も960 PRO比で1.5倍に増加した。
970 PROの容量ラインナップは512GBと1TBの2モデルのみで、960 PROに存在した2TBモデルは廃止された。2018年時点で、同じ数のメモリセルでMLCの1.5倍の容量を実現できるTLCが大容量SSDの主役であり、Samsung製SSDに関しても大容量製品はV-NAND TLCを採用する「970 EVO」が担当し、970 PROは性能特化という位置づけとなっていた。

2020年、PCIe 4.0に移行、PROシリーズ初のTLC採用モデル「980 PRO」
2020年10月、Samsung製SSDで初めてPCIe 4.0 x4をインターフェイスに採用した「980 PRO」が登場した。
980 PROは、PROシリーズのNVMe SSDで初めてTLCタイプのV-NANDを採用した製品で、新設計の自社製SSDコントローラとSLCキャッシュ技術「Intelligent TurboWrite」により、リード7,000MB/s、ライト5,100MB/sというPCIe 3.0 x4では実現不可能な最大速度を実現。容量ラインナップは250GB、500GB、1TB、2TBの4モデルが用意された。
V-NAND TLCの採用に伴い、980 PROは上位モデルでありながらも普及価格帯向けとしての役割も同時に担う形となった。これにより、7,000MB/s級のリード性能を実現しながらも発売時点の価格は1TBモデルで24,980円前後に抑えられ、コストパフォーマンスにも優れた製品として注目を集めることとなった。

2022年、7,450MB/sの最大速度を実現、第7世代V-NAND TLC採用の「990 PRO」
2022年12月、第7世代V-NAND TLCと新設計のSSDコントローラを採用したPCIe 4.0 SSD「990 PRO」が発売された。
990 PROの最大速度はリード7,450MB/s、ライト6,900MB/sで、これはバスインターフェイスのPCIe 4.0 x4を採用するNVMe SSDで実現可能な速度の限界に近いもの。発売初期の容量ラインナップは1TBと2TBの2モデルで、後に最大容量となる4TBモデルが追加された。
現在主流のPCIe 4.0 x4対応M.2スロットで利用可能なSSDとして、990 PROは最高の性能が得られる製品の一つ。発売から3年が経過した現在でも高性能なPCIe 4.0 SSDを求めるユーザーにとって有力な選択肢であり続けている。

2025年、10GB/s超えのPCIe 5.0時代に突入、最大14,800MB/s・容量8TBの「9100 PRO」
2025年3月、バスインターフェイスにPCIe 5.0 x4を採用した「9100 PRO」が発売された。
9100 PROの最大速度はリード14,800MB/s、ライト13,400MB/sで、PCIe 5.0 x4に対応するSSDの中でも最速級の性能を実現している。発売時点での容量ラインナップは1TB、2TB、4TBの3モデルで、2025年10月にV-NAND TLCを基板両面に実装した8TBモデルが追加された。
IntelとAMDが展開する最新プラットフォームはPCIe 5.0 x4接続が可能なM.2スロットをサポートしており、9100 PROの速度を生かせる環境は増えつつある。また、一部の環境ではすでに複数枚のPCIe 5.0 SSDを搭載できるので、9100 PROを2枚用意すれば10GB/sを超える速度でファイルのやり取りが実現可能だ。

950/960 PROと9100 PROで性能差を確認10年間の進化がよくわかる圧倒的な差に
950 PROから始まり9100 PROに至るSamsung製SSDの歴史を一通り振り返り終えたので、ここからは旧世代SSDと最新鋭SSDのパフォーマンスを比較してみよう。
今回パフォーマンスを比較するのは、Samsungの初代M.2型NVMe SSDである950 PRO(512GB)と、2世代目の960 PRO(2TB)、そして最新鋭製品である9100 PRO(8TB)の3製品。いずれも各シリーズの最大容量モデルをテストする。

各SSDをテストするのは、Ryzen 7 9800X3Dを搭載したAMD X870環境。使用したマザーボードはASUS ROG STRIX X870-F GAMING WIFIで、テスト対象のSSDをPCIe 5.0 x4対応のM2_1スロットに搭載。ファイル転送テスト用として2本目のPCIe 5.0 x4対応M.2スロット(M2_2)には9100 PROの4TBモデルを搭載した。

CrystalDiskMarkで各SSDの速度を比較、シーケンシャルアクセスは圧倒的な性能差
定番のストレージベンチマークテスト「CrystalDiskMark」では、NVMe SSDモードでベンチマークテストを実行した。
各SSDが記録したシーケンシャルアクセス時(Q8T1)の最大速度は、950 PROがリード2,600MB/s、ライト1,501MB/s。960 PROはリード3,509MB/s、ライト2,087MB/s。9100 PROがリード14,849MB/s、ライト13,396MB/sだった。
いずれもほぼスペック通りのパフォーマンスを発揮しており、9100 PROが記録した速度は950 PRO比でリード約5.7倍、ライト約8.9倍。960 PRO比でもリード約4.2倍、ライト約6.4倍であり、PCIe 5.0 SSDが旧世代のPCIe 3.0 SSDを圧倒している。
3DMark「Storage Benchmark」でSSDのゲーミング性能を比較、新旧で50%前後の差に
ゲームに関連したストレージデバイスのデータアクセス性能を計測する3DMark「Storage Benchmark」を実行。各SSDのベンチマークスコアを計測したほか、サブスコアである平均転送速度と平均アクセスタイムも取得した。



各SSDが記録したベンチマークスコアは、950 PROが2,142、960 PROは2,098、9100 PROは3,322で、9100 PROは旧世代SSDを1.6倍弱も上回ってみせた。
9100 PROはサブスコアの平均転送速度でも旧世代SSDの約1.5倍の速度を記録し、平均アクセスタイムは40%も削減しており、ランダムアクセス性能が問われるゲームなどでの実行性能に関しても大きく向上している様子が見て取れる。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークでゲームのロード時間を計測
ゲームにおけるシーンチェンジ時のローディングタイムを計測できる「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」では、グラフィックプリセットを最高品質、画面解像度を4K/2160p(3,840×2,160ドット)に設定してベンチマークテストを実行。各SSDのローディングタイムを比較した。

950 PROのローディングタイムが6.890秒、960 PROは6.997秒と旧世代SSDの結果がほぼ横並びとなっている一方で、9100 PROはそれらより約1秒短い5.854秒を記録。9100 PROは実際のゲームがベースのベンチマークテストでも、SSD由来のロード時間を明らかに短縮してみせた。ゲームのロード時間は、過去にはMLC NAND搭載SSDにTLC NAND搭載SSDが負けるといったこともあったが、コントローラやNANDが改良された9100 PROであればそういったこともないようだ。
FastCopyによる大容量ファイルの転送テスト、速度の進化を最も感じる結果に
テスト用に搭載した各SSDと、データ用の9100 PRO(4TB)の間でファイル転送を実行した際のデータ転送時間とデータ転送速度を比較する。
このテストでは、ファイルコピーツールの「FastCopy(v5.11.2)」を管理者モードで使用して、231GiB(248,613,385,445バイト)の大容量動画ファイルをテスト用SSDと9100 PRO(4TB)の間で転送。テスト用SSDから9100 PROに転送した読み出し時と、9100 PROからテスト用SSDに転送した書き込み時の転送時間と速度を計測した。


950 PROが231GiBのファイル転送を行った場合、読み出しで95秒、書き込みで163秒を要した。読み書き速度が向上した960 PROでも、読み出しで70秒、書き込みでは109秒かかっているのだが、9100 PROは読み出しで19.2秒、書き込みでは18.8秒でファイル転送を完了した。
9100 PROのデータ転送速度は読み書きともに約13GB/s(13,000MB/s)を記録。このように、複数のPCIe 5.0 SSDを搭載しFastCopyで転送すれば、CrystalDiskMarkで計測された最大速度に匹敵する超高速なファイル転送を実現できる。
最新のTLC NAND搭載のSSDは超大容量のデータ転送でも速いのか
NANDメモリは多値化することで1セルあたりに記録できる容量を増やすことができる。書き込み速度や書き込み寿命とトレードオフになる面はあるが、改良も進んでおり、1セルに1bitで記録するSLC NANDから始まり、2bitのMLC、3bitのTLC、4bitのQLCと開発されてきた経緯がある。現在高性能なSSDにはTLC NAND、コストパフォーマンス重視のSSDにはQLC NANDが搭載されているケースが多い。
SamsungのSSDであれば、970 PRO(※TLC NAND搭載初期モデル)から後継の980 PROに移行した際、TLC NAND搭載SSDでも書き込み性能を維持するために高速キャッシュ(Intelligent TurboWrite)を活用する機能が搭載されている。キャッシュを使い切ってしまうと書き込み速度は低下するため、NANDメモリの改良と合わせキャッシュ性能も改良が続けられている。
231GiBのファイル転送では旧世代SSDを圧倒してみせた9100 PROだが、高速キャッシュの容量はどの程度確保されているのか、キャッシュを使い切った後にどの程度MLC NANDに迫る性能が引き出せているのか、大容量ファイルを転送して挙動を確かめてみた。なお、データ転送元のSSDには4TBの9100 PROを使用している。
1.8TiBのデータ転送で9100 PROと960 PROの速度の推移を確認
960 PRO 2TBと9100 PRO 8TBに1.8TiBのデータ転送を行い、パフォーマンスを比較した結果が以下のグラフだ。
960 PROが記憶容量の全域で一貫した速度(平均2,268MB/s)を維持しているのは驚愕なのだが、9100 PROの8TBモデルもキャッシュ切れを起こすことなく平均13,189MB/sという最大級の速度を維持してみせた。



結果から9100 PRO 8TBの高速キャッシュはかなりの容量が確保されていることがわかる。高速キャッシュの容量はSSDの空き容量に連動して確保されるので、低用量モデルはそもそもキャッシュ容量が少なかったり、大容量SSDでも空き容量が少なくなれば減ったりしてしまうのだが、運用方法を工夫すればTLC NAND搭載のSSDでもMLC NAND搭載SSDを上回る使い方ができる。
3.61TiBのデータ転送で9100 PRO 8TBのキャッシュ外の速度も確認
1.8TiBのデータでは9100 PRO 8TBの高速キャッシュに収まってしまったので、倍の容量となる3.61TiBのデータを転送して、キャッシュを使い切った場合の挙動を確かめてみた。960 PROの最大容量モデルは2TBなので、ここからは9100 PRO 8TB単体でのテストになる。



大容量ファイルを転送した際の挙動は、2TB弱のデータを転送したあたりでキャッシュを使い切り、その後の書き込み速度は1,500~1,800MB/sほど。平均データ転送速度は3,034MB/sで、3.61TiBといった大容量のファイルを転送しても平均書き込み速度は960 PRO 2TBを上回る結果となった。
今回のテスト結果をみると、9100PRO 8TBモデルは最大で2TB近いキャッシュを確保されていることがわかる。おそらく、4TBモデルであれば1TB前後のキャッシュを、2TBモデルであれば500GB前後のキャッシュが最大で確保されるのではないだろうか。
キャッシュを使い切った後は大きく速度が低下してはいるものの、2TB程度のデータであれば10GB/sを大きく超える書き込み速度を維持可能。4TB近いデータでも、平均でみればMLC NAND搭載の960 PRO 2TBの書き込み速度を超える性能で利用できる。9100 PROのパフォーマンスは、速度と記憶容量の両面で改良を重ねてきた進化を象徴するものと言えるだろう。
10年間で速度6倍・容量16倍と大きく進化したSamsungのSSD
950 PROの登場からの10年間でSamsungのSSDは世代を重ねるたびに進化を遂げ、PCIe 5.0 SSDである9100 PROは旧世代SSDを圧倒する性能と記憶容量を実現した。
かつては単体で1GB/sを超えたSSDの速度に感動したものだが、いまや9100 PROは単体で14GB/sを超える速度を実現し、記憶容量も8TBに達した。あらためて振り返ってみると、SSDが驚異的な進化を遂げてきたことを実感するのだが、9100 PROもまた進化の途上にあるSSDのひとつである。
NANDフラッシュメモリを製造するメモリメーカーであるSamsungは、950 PROの発売当時から現在に至るまで、自社の最先端技術で高性能なSSDを提供し続けてきた。今後もSamsungはSSD技術を研鑽し続け、それによってコンシューマー向けSSDも進化し続けて行くのだろう。


























