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リンクスのミニPC「LC7530」&「LC3501」で作る超小型デスクトップPC環境――省スペースPCもう一つの選択肢

AMD Ryzen搭載でアンダー10万円のお求めやすい価格も魅力 text by 竹内 亮介

 値上がりが加速しているPC市場だが、ミニPCはまだ値頃感がある。そんな中、リンクスインターナショナルが国内メーカーとして企画し、中国で生産する「LC7530」と「LC3501」は、コストパフォーマンスに優れた省エネ型のミニPCで、普段使いやビジネス用途などに適している。

手頃な価格ですぐ使えるサイズ違いの2モデルコンパクトなPCのもう一つの選択肢

 ミニPCとは、手のひらサイズの小さな筐体を採用するデスクトップPCである。「小さいPC」というとノートPCを思い浮かべるユーザーは多いと思うが、モニターやキーボードを内蔵するノートPCは、閉じた状態でもそれなりに場所を取る。一方ミニPCは、幅や奥行きは10~13cm、厚みも40mm前後とかなり小さく、設置場所を問わない。

今回紹介する「LC7530」(左)と「LC3501」(右)のサイズ比較。同じミニPCというカテゴリーでも、サイズやパフォーマンス面で異なるキャラクターを持つ2台。用途と設置場所、そして予算を事前に考慮して選ぶのが最善だ

 液晶モニターやキーボードは自分で用意する必要があるが、逆にそれはメリットにもなり得る。というのも、たとえば複数台の大型液晶モニターとお好みのキーボードを組み合わせた環境を構築済み、あるいは構築したいと考えているユーザーにとって、ノートPCよりもサイズが小さく、インターフェースポート数も多いミニPCのほうがマッチするからだ。特に自宅やオフィスで“据え置き”のPCとして利用することを想定するなら、ミニPCのメリットは大きいはずだ。

 百花繚乱の様相を呈しているミニPC。そこに長らくミニPCのディストリビューターを務めるリンクスインターナショナルが、自社ブランドの製品を投入した。サイズ違いの2モデル「LC7530」と「LC3501」を早速チェックしていこう。

主なスペック
LC7530LC3501
CPUAMD Ryzen 5 7530U
(6C12T)
AMD Ryzen 5 3501U
(4C8T)
GPUAMD Radeon GraphicsAMD Radeon Vega 8 Graphics
メモリLPDDR4-3200 16GB
(オンボード8GB×2、交換・増設不可)
DDR4-2666 8/16GB
(SO-DIMM 8/16GB×1、空きなし)
ストレージNVMe SSD 512GB
空きスロット(M.2 NVMe 2280)×1
SATA SSD 256GB(M.2 2280 SATA)
空きスロットなし
主な
インターフェース
USB 10Gbps Type-C(DP Alt Mode対応)×1、
USB 10Gbps Type-A×2、
USB 5Gbps Type-A×4、
3.5mmオーディオ×1、
HDMI×1、DP×1、1GbE×1
USB 5Gbps Type-A×2、
USB 2.0 Type-A×2、
3.5mmオーディオ×1、
HDMI×1、DP×1、1GbE×1
無線通信Wi-Fi 6、
Bluetooth v5.2
Wi-Fi 5、
Bluetooth v4.2
本体サイズ(W×D×H)128×128×41.3mm100×100×34mm
重量約610g約260g
OSWindows 11 ProWindows 11 Pro

3画面同時出力対応のスタンダードモデル「LC7530」

 「LC7530」は、AMDの「Ryzen 5 7530U」を搭載したミニPCだ。筐体は落ち着いたマットブラックでスタイリッシュだ。また幅と奥行きが128mm、高さが41.3mmとかなり小さいこともあり、オフィスはもちろんリビングなどにも置きやすい。

「LC7530」。天板は吸気口を兼ねたメッシュ構造になっており、天板の下に装備するファンで外気を取り込み、CPUなどをはじめとするPC内部をしっかり冷却。安心して長時間使用可能だ

 ディスプレイ出力端子は背面のDisplayPortとHDMI、前面のType-Cを組み合わせて3系統で、同時出力も可能。ビジネスユーザーなら、売り上げデータを整理したExcelファイルや資料のPDFファイル、Webブラウザーで調べた最新情報を複数の液晶モニターに表示して作業したい。また高校生や大学生なら課題作成、攻略サイトを見ながらのゲームプレイなど、マルチディスプレイならではの使い方が非常にはかどる。

LC7530では、DisplayPortとHDMI、USB Type-Cの合計3台のマルチディスプレイ環境を構築できる(後述のLC3501は2台に対応)。メインで利用する大型液晶モニターを2台、さらに手元に置いて利用するタッチ対応の小型モバイルモニターも追加して、PCの使い勝手を最大限に高めるというのもいいだろう

 購入時の比較対象は、同じ“コンパクトなPC”というカテゴリーだとやはりノートPCになるだろう。大手PCメーカー製のノートPCだと、同等の性能のPCは実売14~17万円前後。一方のLC7530の実売価格は10万円弱で、別途キーボード&マウスやモニターを用意する必要はあるが、それでもかなりお手頃に導入できる。また、Windows 11 Proを標準搭載している点も、特にビジネスユーザーにはメリットとなるポイントだ。

前面にはUSB 10Gbps Type-A×2とType-C×1(DP Alt Mode対応)、ヘッドセット端子×1を搭載
背面には、DisplayPortとHDMIが各1、USB 5Gbps×4、Gigabit Ethernetを備える。物理セキュリティ対策としてケンジントンロック用のホールも搭載

 なお、今回紹介する2モデルはいずれもVESAマウントに対応しており、モニターの背面などに設置できる(マウントキットが製品に付属する)。コンパクトなのでどこに置いても邪魔にはならないミニPCだが、机の上に設置スペースを確保する必要すらないというのは大きなメリットのひとつだ。

製品パッケージにはVESAマウント用のプレート(75/100両対応)、モニターにプレートを固定するネジ、プレートに本体を“引っ掛ける”ためのネジが付属
本体裏のネジ穴に金色のネジを取り付け、プレートはモニター裏のVESAマウントにネジ止めする
本体底面に取り付けたネジをプレートに引っ掛けるように取り付ける(写真左)。本体がコンパクトなので、モニターの裏に無理なくすっきりPC本体が収まる

手の平で包める超小型軽作業なら十分な性能「LC3501」

 より低価格で小さいなミニPCが欲しいなら、「LC3501」にも注目したい。本機はAMDの「Ryzen 5 3501U」を搭載する製品で、AMD製CPUを搭載するミニPCやノートPCの中では最もお求めやすい価格帯の1台となる。

「LC3501」。幅と奥行きは100mm、厚みも34mmとミニPCとしてもかなり小さい筐体を採用する。LC7530と同じくマットブラックの渋い色合いを採用しており、置き場所を選ばず利用できる

 筐体サイズは幅と奥行きが100mm、厚みは34mmとLC7530よりさらに小さく、より置き場所を選ばない。実売価格は6万5,000円前後(16GBモデル)とかなり安く、LC7530と同様にWindows 11 Proを標準搭載しているため、新入学時の新PC、機材更新や部署新設などで大量に導入するオフィス向けPCとしても適性が高い。

 また、安くても「性能が低くて使いにくい」ということはなく、CPUは4コア8スレッド対応なので仕事の書類作成や大学の課題対応、動画や音楽コンテンツの利用、ブラウザゲームなどの軽作業程度ならまったく問題なくこなせる。

前面にはUSB 5Gbps Type-A×2とヘッドセット端子を搭載
背面にはUSB 2.0 Type-A×2、DisplayPort、HDMI、Gigabit Ethernet、物理セキュリティ対策のケンジントンロック用ホールを装備

 LC3501でも2系統のディスプレイ同時出力が可能なほか、メモリスロットやM.2 SSDに簡単にアクセスできる構造を採用しており、後から必要に応じてメモリやストレージの容量を強化しやすい。小さくても長く付き合えるPCになってくれるだろう。

メモリスロットやM.2スロットにアクセスしやすいのもLC3501の特徴。背面上部に装備するスライドスイッチでロックを解除すると天板が外せるようになる
ロック解除後、天板は工具不要で簡単に外せる。内部にアクセスすると、熱伝導シートに覆われた状態のメモリとSSDが現れる
熱伝導シートをめくると、メモリスロットとM.2スロットにアクセスできる。それぞれ1基ずつ装備しているため、容量を増やしたい場合は“換装”(使用中のものを外して新しいものと交換する)になるが、作業自体は容易だ

性能は必要十分で低消費電力動作音は静かで使いやすい

 実際に起動して利用したところ、どちらもWindows 11や各種アプリの起動、操作感で不満を感じる場面はない。特にLC7530ではメモリを16GB搭載していることもあって、アプリの切り替えなどもスムーズで快適だった。また両機種ともに内蔵ファンの動作音が小さく、静かに利用できる。ミニPCはユーザーに近い場所に設置して使う機会が多いだけに、これは大きなメリットだ。

 それでは、基本的なベンチマークテストを実行した結果を見てみよう。LC3501と価格帯が近い、CPUにIntel N100を搭載するミニPCを比較対象に加えている。

PCMark 10の計測結果。一般的にEssentialsが6,000前後以上ならWindows 11の操作は快適と言われており、両モデルともにその水準を満たしている
PCMark 10 Applicationsの計測結果。LC7530は総合Scoreが10,000を超えており、Officeアプリの操作感は上位PCに勝るとも劣らない。LC3501やN100の総合Scoreもかなり高い

 日常的な軽作業アプリやMicrosoft Officeでの操作感を検証できるPCMark 10系のテストを見ると、LC7530は上位エントリークラスのノートPCに近い結果。10万円弱という価格帯を考えるとかなり魅力的だ。一方のLC3501は、現在は入手が難しい人気ミニPC、Intel N100搭載機と同等のスコアに。N100搭載ミニPCも軽作業中心なら十分であることを考えると、同じような用途ならまず不満を感じることはないだろう。

3DMarkで計測できるグラフィックス性能は最新世代の上位CPUを採用した高額モデルに比べれば控えめ。グラフィックス重視のゲームは流石に荷が重いが、息抜きにサクッと遊ぶ程度の軽量なゲーム(ブラウザーゲームなど)は問題なく遊べた
消費電力の計測結果。高負荷時はCinebenchi 2026実行中の平均値、アイドル時は起動後10分間の平均値。CPUコア部分をフルに利用する高負荷時でも、LC7530は39W、LC3501ではさらに低い26Wと、消費電力はかなり少ない。アイドル時にいたっては両モデルともに7Wだった

 こうした性能に加えて注目したいのが消費電力で、アイドル時、高負荷時ともにいずれもかなり低い。それぞれ性格の違いはあるものの、いずれも省スペースで省エネ、そして必要十分な性能を兼ね備える優れたバランスのミニPCと言ってよいだろう。