2021年2月25日 06:00
発売から3か月が経ってなお人気が衰えていない「PlayStation 5」だが、単に次世代ゲームが動くだけの機器ではなく、多くの機能を備えているのも特徴だ。
そんなPlayStation 5の機能の1つに「リモートプレイ」がある。スマートフォンやタブレット、PCなど様々な機器が対応しており、外でもPlayStation 5のゲームが遊べる。
高画質なゲームを遊ぶならなるべく大きい画面で楽しみたいところ。テレワークが広がりノートPCを所持している人は多いと思うが、画面の大きいノートPCが活用できればそれに越したことはない。
今回は手ごろに入手できる中古ノートPCでも「リモートプレイ」が楽しめるのかチェックしてみた。
家の中でも外でも最新の大作ゲームを遊べるPlayStation 5の「リモートプレイ」
「リモートプレイ」機能は、簡単に言えば「家の中でも外でも好きなときにPlayStationゲームが遊べる」という機能だ。
仕組みとしては、PlayStation 5本体で動かしたゲーム画面をストリーミングして、スマートフォンやPCなどのクライアント側で再生&操作することでゲームが楽しめる。以前紹介したクラウドゲーミングサービス「PlayStation Now」のローカル版とでも言うべき機能で、嬉しいことに利用にあたって料金などは掛からず、無料で使える。
PlayStation 4にもリモートプレイ機能が搭載されていたが、PlayStation 5では画質面での対応などが強化されており、新たにHDRでの配信にも対応している。HDRを利用するにはPlayStation 5に接続されているTVまたはディスプレイ、リモートプレイに使うディスプレイの両方がHDRに対応している必要はあるが、環境が整っていればかなりの高画質で遊ぶこともできる。
また、PlayStation 4では720p(1,280×720ドット)までだった配信時の最大解像度が、PlayStation 5では最大1080p(1,920×1,080ドット)まで向上しているのもポイント。PlayStation 4 Proであれば1080p配信は可能だが、HDRなどもサポートしているのはPlayStation 5のみだ。
2コア/4スレッドCPUの中古ノートPCと組み合せて動作をチェック!CPUへの要件は高めなものの、実は負荷は軽い?
リモートプレイは、ゲームをプレイしたいデバイスに「PS Remote Play」アプリをインストールすることで利用できる。同アプリはWindows/macOS、さらにAndroid/iOSでも提供されている。
アプリの利用条件として、上下最低5Mbps以上(目安)のネットワーク通信速度が必要とされており、最高解像度のフルHDで遊ぶ場合は15Mbps以上が推奨されている。数字的には、光固定回線はもちろんLTE回線でも十分達成できる速度と言える。
公式のWindows PCの動作要件は以下の通り。第7世代Coreプロセッサが必要とされているが、これはHDRでリモートプレイを行う場合、10bit HEVC(H.265)のハードウェア再生支援の搭載が求められるためと考えられる。
OS | Windows 10 |
---|---|
CPU | 第7世代Coreプロセッサ以降 |
ストレージ空き容量 | 100MB以上 |
メモリ | 2GB以上 |
画面解像度 | 1,024×768ドット以上 |
サウンドカード | 必須 |
USBポート | 必須 |
今回は検証用のWindowsノートPCとして、中古の「VAIO S13 (VJS1311)」を用意。Core i5-6200U(2コア/4スレッド)に8GBメモリと、ゲームを直接動かすのは厳しいが、13.3型フルHD液晶搭載で1080p映像を再生するには十分なスペックだ。
CPUが第6世代Coreプロセッサのため、すべての要件はクリアできていないのだが、HDRを利用しない環境であれば第7世代Core以降のCPUでなくても問題なく利用できるようだ。詳しくは次節で紹介するが、CPUへの負荷自体は軽い。
今回使用するVAIO 13 (VJS1311)のスペック | |
---|---|
OS | Windows 10 Pro |
ディスプレイ | 13.3型1,920×1,080ドット液晶パネル |
CPU | Core i5-6200U(2.3GHz/2コア) |
GPU | Intel HD Graphics 520 |
メモリ | 8GB DDR3L-1600 |
ストレージ | 128GB NVMe SSD(Samsung製) |
ゲーム操作のため、PlayStation 5用のDualSenseワイヤレスコントローラーも必要となる。ただし、リモートプレイの場合はPlayStation 4用のDUALSHOCK 4コントローラーでも操作が可能、この部分は嬉しいところだ。
家の中(同じLAN内)でPlayStation 5と繋いで遊んだときは実機に近い操作感PCへの負荷はかなり軽め
まずは、最も接続が安定しているであろう「同じLAN上のPlayStation 5とPCでリモートプレイ」を『Marvel's Spider-Man: Miles Morales』で試してみた。
想像していた通り、回線速度が高速のため安定した映像とスムーズな操作が可能で、まるでPCでゲームを動かしているかのようにプレイできる。ストリーミングのため、操作から映像に反映されるまでに極僅かな遅延は存在するものの、格闘ゲームのようにフレーム単位を争うものでなければまず気にならない。
1080p設定で全画面モードならドットバイドットで表示でき、レイトレーシングを使った最新グラフィックスのタイトルが中古のモバイルノートPCで遊べるというのは感動的だ。
DualSenseコントローラーを繋いだところ、トリガーが重くなるなどのハプティックフィードバックも有効になっており、そういった面でもPlayStation 5本体で遊んでいるときと遜色ないプレイが楽しめる。
基本的に動画を再生しているだけということもあり、PCへの負荷は低い。CPU使用率は20%前後、GPU使用率も40%程度のまま横這いだ。HDRでリモートプレイを行わない場合には、第6世代Coreプロセッサでも過剰なくらいの負荷と言えるだろう。
通信量については1080p設定で14Mbps(≒1.75MB/s)程度を記録した。1時間でおよそ6.3GBほど通信する計算になるので、LAN外からの接続時には通信量に注意したい。
家の外からでも回線が安定していれば十分快適Wi-Fiスポットに接続してPS5のゲームが遊べる
続いて、ノートPCとコントローラーを持ってオフィスに行き、オフィスのWi-Fiから自宅にあるPlayStation 5との間でリモートプレイを試してみた。回線はオフィス/自宅とも光回線で、注目したいポイントはLAN内とWAN経由での遅延の差だ。
試した限りでは、目に見える遅延の差はなく操作感に違いは感じられなかった。画質の面でもLAN内接続と変わらず、1080pで安定した表示が可能だ。
モバイル回線があればどこからでもPS5のゲームが遊べる!遊びすぎてパケット量の大量消費には注意
最後に、モバイルルーターのテザリングを使ってLTE回線を経由したリモートプレイを試してみた。これで遊ぶことができれば、まさにいつでもどこでも最新ゲームが楽しめる。
結論としては、これまでの検証となんら変わらないプレイが可能だ。1080p設定でも目立った遅延の問題はなく、操作もスムーズに行える。なお検証にはソフトバンクのLTE回線を利用しており、Speedtest.net(マルチ)の測定では下り30Mbps前後、上り20Mbps前後となっていた。
途中、回線速度が低下したのか解像度が下がり画質が低下するシーンもあったが、映像が止まることはなく操作は続けられた。ゲームを遊ぶ上では、高画質を維持して画面が固まってしまうよりも、画質が下がっても操作を止めずに済むことのほうが重要なのは当然と言えるが、このあたりも上手く調整されている印象だ。
また、この検証ではDualSenseではなくDUALSHOCK 4コントローラーを繋いでみたが、ソニー公式の説明している通り、しっかり操作が可能だった。
なお、テザリングでリモートプレイを使う場合は、動画を受信し続けるという仕組み上、パケット通信量の消費が激しいため、SIM契約プランなどを考慮した上で楽しんでほしい。家庭内LANでのテストでも紹介したが、1080pで1時間遊ぶとデータ量は6.3GB程度になる計算なので、遊びすぎには注意だ。
使わないのはもったいない!いつでもどこでも本格ゲームを遊べる「リモートプレイ」
今回実際に触ってみて、リモートプレイは十分に実用的な機能と言って良い完成度で、「早く続きが遊びたいけど家に帰らないと遊べない」というゲーマーが誰しも抱える悩みを解決してくれる存在だ。これだけの機能が無料で使えて、なおかつスペックが高くないPCでも快適に動作するとなれば使わない手はないだろう。
テレワークの普及で場所に縛られず仕事をこなすことは当たり前になりつつあるが、休暇を兼ねてワーケーションが導入されている環境もちらほらと見聞きする。出先で仕事をするついでに、コントローラーも持ち物に加えてゲーミングバケーションを過ごしてみるのも一興ではないだろうか?