【 2002年11月16日号 】
Hyper-Threading対応のPentium 4 3.06GHzデビューも極端な品薄
出荷量少なく多くは組み込み用途向けのみ、単体販売例は少ない
パッケージ(表)3.06GHz
【パッケージ(表)】【3.06GHz】
1.55V max.Hyper-Threading
【1.55V max.】【Hyper-Threading】
オレンジの二重線CPU表面
【オレンジの二重線】【CPU表面】
CPUクーラーCPUクーラーの裏
【CPUクーラー】【CPUクーラーの裏】
2つのCPUCPU使用率も2つ
【2つのCPU】【CPU使用率も2つ】
TWO-TOPツクモ
【TWO-TOP】【ツクモ】
パソコン工房論理Dual CPU
【パソコン工房】【論理Dual CPU】
フェイス年内絶望
【フェイス】【年内絶望】

 Hyper-Threadingテクノロジに対応した新型Pentium 4が14日(木)に正式発表され、それと同時にアキバでも販売がスタートした。登場したのは、動作クロックでも現時点で最上位となる3.06GHzモデルで、実売価格は86,000円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。

 ただし、出荷量が極めて少なく、ほとんどのショップは完成PCへの組み込み用として少量入荷したのみで、単体販売されている例は極めて少ない(16日調査では1店のみ)。搭載PCがショップブランドで続々と発売になる一方で、どうやら年内の単体入手はきわめて難しいようだ。

●Hyper-Threading正式対応

 Hyper-Threadingテクノロジ搭載版Pentium 4はその名のとおり、CPU内で複数のスレッドを並列処理するというIntelの独自技術「Hyper-Threading」をインプリメントした新型のPentium 4。Hyper-Threadingテクノロジは、物理的に1個のCPUでもシステム上ではデュアル構成のCPUとして認識されるというユニークな特徴を持っており、これまではサーバー向けCPUのXeonやXeon MPで採用されていたが、デスクトップ向けのCPUで採用されるというのはもちろん今回が初めてとなる。

 ただし、OS、チップセットなどといった環境が一定の条件を満たしていなければHyper-Threadingを利用することができない点には要注意だ。Intelが示している対応環境の具体的な内容は、OSがWindows XP Home Edition/Professional、チップセットがi850E/i845GE/i845PE/i845GV/i845G/i845E(i845GはB-1ステッピングが対応)などというもので、さらにBIOSがHyper-Threadingに対応している(BIOSメニューにHyper-Threadingを有効/無効に設定する項目を持っている)必要もある。

●単体販売が後回しになったひとつの理由

 ちなみに、今回の3.06GHzモデルがリテールパッケージ品ではなく完成PCへの組み込み用として中心に出荷された背景には、この対応環境の複雑さもあるようだ。ある程度PCの自作経験があるユーザーならこうした環境の理解は容易かもしれないが、未経験者や初心者にとっては難しいもの。そこでIntelは、Hyper-Threadingテクノロジを広くユーザーに認知してもらうために、あらかじめHyper-Threadingが利用できる状態に組み上げられている完成PCを多く市場に流すという戦略に出たようだ。

 実際、ツクモDOS/Vパソコン本館TWO-TOP秋葉原本店パソコン工房秋葉原店フェイス秋葉原本店などで、プレス向けイベントで実際に使用したというHyper-Threadingテクノロジ対応Pentium 4マシンを展示するなど、これまでのPentium 4の新モデル登場時にはあまり見られなかった販促キャンペーンも行われている。

●発熱量が増大?CPUクーラーが新型に

 さて、実際に登場したPentium 4 3.06GHzについて見てみると、青、白、オレンジといった色を基調としたパッケージデザインにとくに大きな変更はなく、表面に書かれている「533-MHz System Bus」「512-KB L2 Advanced Transfer Cache」といった仕様も従来どおりとなっている。ただ、パッケージ表面の右上にオレンジ色の斜めのラインが2本入っているのは従来と異なる部分で、もちろん裏面や側面にはHyper-Threadingテクノロジをサポートする旨もしっかり記載されている。とくに明示されてはいないが、とりあえず現時点ではこのオレンジ色の2本線が新型Pentium 4を表わす目印となりそうだ。

 CPU本体もピン形状やヒートスプレッダを搭載するといった外観にとくに変化は見られないが、付属のCPUクーラーは従来品よりも大型で、かつCPUとの接触部に銅素材を用いた新型のものに変更された。3.06GHzモデルは従来モデルより動作クロックが上がったのももちろんだが、Hyper-ThreadingテクノロジのサポートによりCPUの内部リソースの利用率が上昇し、それに伴って発熱量も増えると見られている。現時点(14日15:00現在)では同社のWebサイト上で3.06GHzモデルに関するデータシートが公開されていないため具体的な発熱量は不明だが、CPUクーラーが強化されたことは発熱量の多さを物語っているといってもよいだろう。冷却能力が高くない小型のキューブ系ケースなどを利用しているユーザーは要注意といえそうだ。

●年内の単体入手は難しい?

 Hyper-Threadingテクノロジのサポートや初の3GHz突破など、自作PCユーザーには非常に興味深い存在といえるこのPentium 4 3.06GHzだが、それだけに各ショップともリテールパッケージ品の入荷量が少ないというのが残念なところ。「年内は(出荷量の関係から)もうリテールパッケージ品が入荷する可能性はほとんどない」と話すショップも複数あり、もしかすると今年中に3.06GHzモデルを入手するチャンスは今回が最初で最後ということになるのかもしれない。

 いち早くHyper-Threadingの威力を自分で確認したいのならば、店頭にあるデモPCを実際に触ってみるのがいいだろう。Pentium 4 3.06GHz搭載PCはまだ大手メーカーからの出荷はないため、実際に触れたり購入できる状態にあるのは自作PCショップのみだ。なお、15日(金)~17日(日)にかけてはASOBITCITY(ブロックE2-[a5])では「Pentium 4 プロセッサ3.06 GHz発売記念イベント」も開かれているので、こちらも要チェックだ。

□Pentium 4(Intel)
http://www.intel.co.jp/jp/products/desktop/processors/desktop/pentium4/
□Hyper-Threading Technology
http://www.intel.co.jp/jp/home/processors/pentium4/hyperthreading.htm
□「インテル(R) Pentium(R) 4 プロセッサ 3.06 GHz 発売記念イベント」を開催
http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2002/021114b.htm

 (Intel Pentium 4 3.06GHz)

[撮影協力:コムサテライト3号店パソコン工房秋葉原店ツクモDOS/Vパソコン本館TWO-TOP秋葉原本店フェイス秋葉原本店高速電脳]


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