RADEON X800シリーズは、今月4日（米国時間）に発表されたばかりのハイエンド向けビデオチップ。「RADEON 9800 XTの順当な強化版」と評される内容で、今回発売された「PRO」では、レンダリングパイプラインがピクセルシェーダで8本→12本に、頂点シェーダで4本→6本に強化されたほか、クロックもコア412MHz→475MHz/メモリ730MHz→900MHzに向上、さらに新技術として描画品質の向上とビデオメモリ効率の向上を図れるバンプマップ圧縮技術「3Dc」やアンチエリアス効果を向上させるという「Temporal Anti-Aliasing」機能などが追加されている。ピクセルシェーダのバージョンは「2.0b」で、従来の「2.0」に小幅な改良を加えたもの。製造プロセスは0.13μmで、RADEON 9600 XTで実績のある省電力化/高クロック化用のLow-K素材も利用されており、発熱量は0.15μmのRADEON 9800 XTよりも少ないという。対応メモリはGDDR3。さらにATIでは、ピクセルシェーダ16本/コア500MHz/メモリ1GHzの上位チップ「RADEON X800 XT」も同時発表しており、こちらも「5月21日以降出荷する」（ATI）という。

　今回発売されたカードの大きさはRADEON 9800 XT搭載カードとほぼ同様。冷却機構もビデオチップ上のファンのサイズにも大きな変化は見られないが、消費電力の低いGDDR3を使用していることもありメモリチップを覆う裏面のヒートシンクがないのが特徴だ。HDDなどと同じ4ピンの外部電源コネクタを装備するのは従来同様。出力コネクタも従来同様のVGA/DVI/TV出力の3コネクタだが、TV出力に関してはコンポーネント出力用とも思われる3分岐出力ケーブルも付属しており、コンポジット/S出力のほか、コンポーネント出力ができる可能性も考えられる（詳細は不明）。

　リテールパッケージ品のほか、バルク品/茶箱パッケージ品も発売されており、こちらは「ゲームソフト“Half-Life2”のクーポンが付属しない」「ビデオチップクーラー上のラベルが異なっている」などの違いがある。また、さらにそのうちの一部はSAPPHIREではなくATI製と思われるドライバが付属しており、これについては「並行輸入代理店から、ATI純正品のバルク品と聞いている」（販売ショップ）という。

　T-ZONE. PC DIY SHOPでは店頭デモを実施中。

[撮影協力:パソコンハウス東映とドスパラ アキバ店とT-ZONE. PC DIY SHOPとツクモパソコン本店]

　ビデオカード本体を目で見て確認できる窓付きの新パッケージを採用している。

[撮影協力:ツクモパソコン本店とLAOX PC・DO SHOP]

　「DeltaChrome」シリーズは2003年1月に正式発表されたDirectX 9対応のビデオチップ。一般的なビデオカードと比較して、特に動画再生支援機能やTV出力機能が強化されたビデオチップで、パイプライン数と動作クロックの違いで上位から順に「DeltaChrome F1」「DeltaChrome S8」「DeltaChrome S4」の3モデルがラインナップされている。

　ウリとなる動画再生支援機能に関しては、ハードウェアIDCTなどをサポートした「Chromotion」機能を搭載しており、動き補償（Motion Compensation）やMPEG-2/4のハードウェアアクセラレーションといったベーシックな機能や、再生中の動画にエンボスやソフトフォーカスといったエフェクトをリアルタイムでかけることができる機能を装備している。このほか、2画面出力が可能な「DuoView」や、1080pまで対応したHDTV出力機能も搭載している。ビデオカードの性能については「GeForce FX 5900やRADEON 9800に競合する」(S3 Graphics)という。

　今回発売された「SS8-D3L」は2月上旬に発売が予定され、その後、「発売時期未定」と告知されていたTul（旧C.P.Technology）のDeltaChrome S8搭載ビデオカード。ファンレス仕様で、コアクロックとメモリクロックはともに250MHz(BLESS 秋葉原本店)。

　パッケージにはTV出力用の専用ケーブルが付属しており、コンポジットビデオ/S-Video出力やコンポーネント出力のほかに、付属の変換ケーブルを介してD端子出力も可能となっている。なお、「コンポーネント出力ができるのはWindows起動後のデスクトップ画面のクローンのみで、BIOS画面などは不可」(BLESS 秋葉原本店)という。

　このほか、BLESS 秋葉原本店では、「付属ドライバには不具合が多いため（S3 GraphicsのWebサイトで公開中の）最新版ドライバを用いてほしい」としている。

[撮影協力:BLESS 秋葉原本店とフェイスとパソコン ショップ アーク]

　製品内容は先に発売されたPowerColor(Tul)製「SS8-D3L」とほぼ同じ。メモリ容量が256MBである点や、コンポーネント/D端子出力が可能な点、ファンレス仕様な点も変わりない。

[撮影協力:TWO-TOP秋葉原本店とTSUKUMO eX.]

　ファンレス仕様のGeForce FX 5700ビデオカードは非常に珍しい。

　上記のほか、BLESS 秋葉原本店でも近日中に入荷予定。

[撮影協力:BLESS 秋葉原本店とTSUKUMO eX.]

　各カードの最大出力数は、Xentera GT 8シリーズがVGA×8またはDVI×4またはTV出力×4で、Xentera GT 4シリーズがVGA×4またはDVI×4またはTV出力×2。ビデオカード側のコネクタは独自形状で、コネクタの数だけ専用ケーブルが付属している。

[撮影協力:T-ZONE. PC DIY SHOP]