日本AMDは6日(土)、TSUKUMO eX.で店頭イベント「黒箱の選択肢と兄貴のPhenomアップデート」を実施した。Athlon 64 X2 Black EditionシリーズやPhenomをテーマにしたプロモーションイベントで、“兄貴”こと土居憲太郎氏が登場した15時の回では100名を超える人が集まった。
メインのテーマは、先週発売されたばかりのAthlon 64 X2 5000+ Black Edition(以下、5000+と表記)について。このモデルはクロックの内部倍率が固定されていないため、オーバークロック(AMDは「ファインチューニング」と呼ぶ)ができる楽しみがあると強くアピール、実際にその場で内部倍率を標準の13倍から15.5倍に上げ、コアクロックを3.1GHzにしてWindows Vistaを起動させることに成功。さらにそのままAthlon 64 X2 6400+ Black Edition(3.2GHz)とのベンチマーク競争を実施し、CINEBENCH 9.5で25秒(5000+ OC)対26秒(6400+)とほぼ互角の結果になるところを見せた。なお、5000+の標準クロック(2.6GHz)でのCINEBENCH 9.5の結果は31秒。日本AMDのテスト結果によると、5000+を2.6GHzから3.1GHzにオーバークロックさせることで、CINEBENCH 9.5で18%、3DMark05で8.8%、3DMark06で8.5%のパフォーマンスアップが確認できたという。
標準クロック以上にした場合の動作保証はしないものの、こうしたオーバークロックができる“楽しみがAMDにはある”と再三強調し、さらに同社のRadeon HD 2000シリーズ搭載ビデオカードもデバイスドライバーでオーバークロック設定が可能で、3DゲームなどでCPUとGPUに負荷がかかる処理をする場合には、CPUにAthlon 64 X2シリーズ最上位の6400+ Black Edition、GPUにはRadeon HD 2000シリーズ最上位の2900XTが最適だとした。
デモの最後にはプレゼン画面に「青より深い、黒の世界をのぞいてみませんか…」の意味深長なメッセージも。
計3回行われたイベントの最終回では土居氏が登場、Phenomのロードマップなどを解説した。まず、「他社では絶対に真似できない」というPhenomのトリプルコアのモデルを取り上げ、ユーザーがデュアルコアからクアッドコアへ移行するうえでの中間モデルとして重要な存在だとした。クアッドコアがソフトウェア環境の整備にまだ時間がかかる状況を考慮すれば、まずデュアルコアからトリプルコアへのアップグレードが現実的だと解説。デュアルコアが普及した現状を踏まえて「SingleでクロックあげるよりDualの方が体感速度が速かったですよね?そしてDual-Coreにもう限界を感じていませんか?」とも。
ロードマップについては、今年12月に発売されるPhenomシリーズを皮切りにSTARSコアと呼ぶ新アーキテクチャのコアへ移行し、2008年には45nmプロセス製造のコアを出荷すると解説。さらにSTARTSコア関連の開発コードネームを紹介し、AgenaやAgena FXといった聞き慣れた名前はもちろん、2008年前半に出るというデュアルコアを「KUMA」、2008年に出る45nmの製品についても、2008年後半のL3キャッシュ共有型のクアッドコアを「Deneb FX」「Deneb」、L3キャッシュ無しのクアッドコアを「Propus」、2009年前半のデュアルコアを「Regor」と呼ぶと紹介した(トリプルコアについては開発コードは未発表)。なお、Phenomのロゴがまだ決定していない時期に「KUMA」に関する情報が日本AMDに流れた際、社内ではAthlon X2のロゴに熊のイラストを合わせたロゴが作られ、社内にジョークとして出回ったとのエピソードがロゴ写真と合わせて紹介された。
近く発表されるとみられているTDP 45WのAthlon X2の新モデルについては、「近いうちに何か出るかなと軽く流しておきます。」と話すにとどまった。
□黒箱の選択肢と兄貴のPhenomアップデート(日本AMD)
http://www.amd.com/jp-ja/Corporate/AboutAMD/0,,51_52_116~121290,00.html
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【2007年9月29日】10月6日にAMDイベント実施、“黒箱”とPhenomなどがテーマ
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20070929/etc_amd1006.html
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[撮影協力:TSUKUMO eX.]