ASUSの「EeePC 4G-X」から大きな注目を浴びている低価格小型ノートPC、いわゆる“ネットブック”は、秋葉原の店頭でも大きな人気となっている。
これらネットブックは、従来のノートPCよりも低価格な点が大きな魅力となっているが、モバイルノート並の小型さや、製品によっては1kg以下という軽さも見逃せない。そのため、積極的に持ち歩いて使っているユーザーも多いと思われる。
となると、多くのユーザーは、持ち運ぶ際のカバー――インナーケースが気になるのではないだろうか。
しかし、このネットブック用のインナーケースは、実は意外と入手が難しい。というのも、本体に簡易的なカバーを付属する機種があるためか、インナーケースを手がける周辺機器メーカーなどでも、一部を除いて積極的な対応をしてこなかった。またネットブックは本体が小さいので、一般的なノートPC(13~15型液晶クラス)のインナーケースは内部のスペースが余ってしまい、事実上流用できないのだ。
そこで今回は、ネットブックに適したインナーケースを集め、実際に複数のネットブックを収納し、使いごごちを試してみた。
ネットブックとしては、小型モデルの代表として、7型液晶を搭載した初代Eee PCことASUS「EeePC 4G-X」を、中型(?)の代表として8.9型ワイド液晶のASUS「EeePC 901-X」を、大型代表としては10型ワイド液晶のMSI「Wind NetBook U100」と、大きさ別に3機種を選び、収納できるか否かを検証している。
今回は代表的な6機種の特徴と、簡単なレビューを紹介する。続く次回は、筆者がとくに気になった3機種のレビューと、番外編としてちょっと変わったケースやアクセサリを紹介する予定だ。少しでも読者諸兄の参考となれば幸いである。
□ネットブック/UMPC特集
http://www.watch.impress.co.jp/headline/extra/2008/netbook-umpc/
| PCショップで入手しやすい定番ケース
エレコム ZSB-IB019シリーズ |
ZSB-IB019のオレンジ色。PCケースでは異色だけに、「超衝撃吸収」のキャッチと共にかなり目立つ。
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本当にギリギリになるが、サイズとしてはWind U100でもなんとか収納可能だ
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内部はこのように、凹凸が付けられた構造となっている。たしかに衝撃吸収能力は高そうだ |
- 収納可能なネットブック -
EeePC 4G-X ○ / EeePC 901-X ○ Wind NetBook U100 △(ギリギリ)
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●特徴は?
現在、多くのPCショップでネットブック用ケースとして販売されている定番製品。特徴は、「ZEROSHOCK III」と呼ばれる衝撃吸収構造だ。
素材として採用された低反発ポリウレタンと、滑らかな起伏が作られた「ウェーブ・フォーム」と呼ばれる内部の構造により、インナーケースとしては衝撃吸収に重点が置かれた製品となっている。また、表面は撥水効果を持つため、少々の雨などもカバー可能だ。 開け口の固定もファスナー2個によりガッチリと行なえる。また、前面に取り付けられたポケットには、USBメモリやメモリカードなどの小物を収納可能だ。
対応画面サイズは「8.9インチワイド」とされているため、EeePC 901ーXまで収納可能なサイズのように思えるが、実際に本体を収納してみると、HP 2133や、Wind U100も収納可能だ(後者はギリギリになるが)。そのため実質的には、ほぼすべてのネットブックに対応する。
カラーバリエーションは、ブラック/オレンジ/ホワイトの3種類。中でもオレンジはノートPCのインナーケースとしてはほかにない色で、かなり目立つ。救命胴衣を思い起こさせる色なので、製品コンセプトに合わせた色、ということだろう。
●使ってみると…
使ってみた印象では、インナーケースとしては異例なほどのガッチリした感じが鮮烈で、ブラックなどであればアウターケースとして十分使えるのではないだろうか。サイズ的にもちょうどよいと感じた。さすが定番製品として選ばれるだけのことはあるという印象だ。
| EeePC対応をいち早く表明したもう1つの定番
サンワサプライ IN-WET6シリーズ |
「優柔素材」のキャッチが目立つパッケージ。外のパッケージはジッパータイプなので、他の用途などに流用できるエコ(?)設計だ
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EeePC 901ーXを収納しているところ。非常にぴったり入るため、気持ちがよい(笑)
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本体が大きなHP 2133では、このようにはみ出してしまう。買い換えの際の流用などは期待できないだろう |
- 収納可能なネットブック -
EeePC 4G-X ○ / EeePC 901-X ○ Wind NetBook U100 ×
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●特徴は?
先に紹介したエレコム製品と並んで人気が高いのがこのケース。貼られたステッカーにはEeePCなどへの対応が明記されているため、やはりPCショップでの定番製品となっている。
特徴は、素材として採用された素材「ネオプレン」だ。これはウェットスーツなどにも使われる柔らかい発泡ゴムで、伸縮性が高く、手触りがよい。開け口の固定方法は、ファスナー2個によるものだが、本体に比べてファスナー留めが大きく、開閉がスムーズとなっている。なおカラーバリエーションは、ブラック/ホワイトの2種類だ。
対応画面サイズは「7~8.9型」とされており、EeePC 901ーXがぴったり収納可能なサイズだ。それより大きなHP 2133やWind U100はまったく入らないので、メーカー側の発表通り、7~8.9型のネットブック用と考えるのがよいだろう。
また、内部の角に当たる部分には保護用のパイプが付けられているため、柔らかながら持ち運びに必要な保護性能も考えられた構造だ。素材の特性を活かしクッション性に配慮された構造となっているため、触った感じの柔らかさとは逆に、対衝撃性は確かに悪くなさそうではある。
●使ってみると…
使ってみた感じでは、素材の柔らかさから来る使いやすさが印象的だ。
使い始めは素材のゴム臭が若干目立つが、これは使っているうちに落ちると思われる。また、デザインもいい意味で普段使いのインナーケースとして癖がなく、扱いやすい。とくに、EeePC 901-Xにはぴったりくる本体サイズも相まって、相性は抜群だろう。
| 気楽に持ち運べる巾着タイプ
バッファローコクヨ(アーベル) SIBG05BK |
低価格なだけあり、パッケージも非常にシンプル。同シリーズはさまざまなサイズがあるので、右上の「05」という数字を目印に購入するのがよい
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Wind U100を収納しているところ。幅はほんとにギリギリという感じである
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Wind U100を収納して口紐を引っ張ると、これぐらいが余る。紐を持って移動するには短いが、他のバッグの中に入れるには十分な感じだ |
- 収納可能なネットブック -
EeePC 4G-X ○ / EeePC 901-X ○ Wind NetBook U100 △(ギリギリ)
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●特徴は?
非常に低価格なソフトタイプのインナーバッグだ。特徴はPC用のケースとしては非常に安価な点と、非常に珍しい巾着タイプである点が挙げられる。
素材はポリエステルとポリウレタンという定番の構成で、ソフトケースの中でもかなり柔らかい部類に入る。高価な製品とは異なり、残念ながら耐衝撃性はあまり期待できないが、この価格であれば十分納得できるのではないだろうか。色も地味ながら非常にそつがなく、使いやすいブラックとなっている。
メーカー公式サイトでは「周辺機器用」となっているが、パッケージでは「モバイルパソコン用」と書かれている。実際の大きさとしては、EeePC 901-Xはぴったりで、Wind U100もギリギリ入る(ただし若干紐が締まり切らない印象があるほどギリギリだが……)程度となっている。
●使ってみると…
使ってみた印象では、パッと入れてサッと持ち出せる気軽さは、今回紹介する製品の中でも随一である。
価格も非常に安価なので、衝撃保護性能の高いカバンに収めるインナーバッグなどとしてはかなりよい選択肢となるのではないだろうか。
| 単体のインナーケースでは貴重なフラップタイプ
バッファローコクヨ(アーベル) PKSPR11WBK |
パッケージはやはりシンプルだ。大きさは対応するノートPCの液晶サイズに合わせた表記だが、上級者はかえって選びやすいだろう
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Wind U100を収納しているところ。まさにちょうどよい具合になっているのがおわかりいただけるだろうか
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対してEeePC 4G-Xは若干幅が余り気味となる。といっても、中で動くほど余るというわけではないので、インナーケースとしては十分使えるレベルだ |
実売価格:オープンプライス(実売700円前後) 【
製品情報】
- 収納可能なネットブック -
EeePC 4G-X △(余る) / EeePC 901-X △(ちょっと余る) Wind NetBook U100 ○
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●特徴は?
アーベルブランドのインナーケースだ。価格はオープンプライスだが、実売は700円前後とかなり手頃である。
特徴は、メーカー純正のケースには多いが、市販品のインナーケースでは意外と少ないフラップタイプ(蓋付きポケット形状)である点。蓋の固定はベルクロによるものなので、出し入れはかなり気楽に行える(さすがに巾着タイプのSIBG05にはかなわないが)。
素材は外装がナイロンと合成皮革(蓋の銀色の部分)、そしてポリウレタンだ。ポリウレタンの厚みは10mmと厚いため、耐衝撃性もある程度は期待できる(高級製品と比べるとそれなりになってしまうが)。
メーカー側の対応機種は、10.6~11.1型となっているが、10型のWind U100では、ちょうどよい余裕を持って収まる。逆にEee PC 4G-Xなどは若干余り気味となる。ただし、ぶかぶかの状態ではない程度なので、持ち運ぶと内部で動いて困る……といったことはない。
●使ってみると…
使ってみた印象では、やはりフラップタイプならではの使いやすさが印象的だ。デザインも良い意味でそつがないため、室内や短距離モバイル用途としては好適だろう。
また、Wind U100やHP 2133を収めた際の収まりのよさは、非常に魅力的。とくにWindユーザーにとっては、定番の一つとなりそうな予感もするほどだ。
| ポーチタイプで低価格。気軽なインナーケース
エレコム BMA-A5 |
パッケージはこれも低価格だけあってシンプル。サイズ表記は「A5サイズノートPC対応」なので、実際には収められないWind U100のユーザーは注意が必要だ
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EeePC 901-Xを収めているところ。本当に幅がピッタリというレベルなのがお分かりいただけるだろうか
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HP 2133やWind U100ではこのように幅が完全にオーバー。実質的にEeePCシリーズ用の製品と言えるだろう |
- 収納可能なネットブック -
EeePC 4G-X ○ / EeePC 901-X ○ Wind NetBook U100 ×
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●特徴は?
エレコムの低価格なインナーケースだ。
前述のZSB-IB019は耐衝撃性に配慮した結果、インナーケースとしてはかなりの重装備(そして価格)となっているが、本製品はインナーケースとして標準的な装備と価格となっている。構造はポーチタイプで、開け方はファスナー1個、素材も柔らかいナイロン製となっており、ある意味で没個性的な点が特徴とも呼べる製品となっている。
メーカー側では「A5ノートパソコン対応」としているが、実際は比較的小さめとなっており、EeePC 901-Xがぴったりという印象だ。HP 2133やWind U100では、完全にはみ出してしまい入らない。
●使ってみると…
使ってみた印象では、ノートPCケースでは一般的なポーチタイプである点と低価格から、手軽に持ち運べるのがメリットと言える。
また、デザインは、(実は珍しい)完全な黒一色なので、ビジネス用途などでもいい意味で浮かない。大きさ的には、EeePC 901-Xを収めたときの収まりの良さが心地よい。
| 対衝撃性を重視したセミハードケース
ロアス SZC-603BK |
パッケージはシンプルだが、本体がしっかりとしているため、かなりゴツい印象だ。シリーズ名の「Kahogo」が目を惹く
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開いた状態で、Wind U100を収めたところ。大きさのバランス的にはかなりよく、推奨できる組み合わせと言える
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EeePC 4X-Gではこのような感じに。大きさは余り気味となるが、閉めた状態でのホールドは悪くないので、十分使える印象だ |
- 収納可能なネットブック -
EeePC 4G-X △(ちょっと余る) / EeePC 901-X ○ Wind NetBook U100 ○
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●特徴は?
ロアスの発売する、セミハードタイプの高級インナーケースだ。
表側になだらかな突起が付けられたデザインとなっており、見た目の印象は非常に個性的だ。これは見た目だけではなく、靴のインソールなどに使われる、衝撃吸収性に優れた「EVA」と呼ばれる素材が採用されている。凸部分は片側で約10mmと厚いため、実際の対衝撃性能も十分なものが期待でき、さらに撥水効果も高い。
また、内側のクッションは低反発タイプの素材が採用されており、ケース内でのズレや移動、傷の防止などに配慮されている。 開け口の固定もファスナー2個タイプなので、密閉はガッチリと可能だ。
大きさの点では、メーカー側では「B5ノートパソコン対応サイズ」としているが、実際の大きさもそれに準じており、HP 2133やWind U100でも余裕で入る。EeePC 4G-Xは若干余る印象があるが、内部のクッション素材のためか、持ち歩いていてのズレなどは感じられない。
●使ってみると…
使ってみた印象では、外観のシックさと、ガッチリとした固さが魅力的。
対衝撃性能から考えれば、アウターケースとしても十分使えそうだ。比較的サイズに余裕があるため、Wind U100用のセミハードケースとしてはかなり”使える”印象だ。インナーケースとしてはかなり効果な方だが、価格分のコストパフォーマンスは十分にあると感じられた。
| (サプライ品) |