【 2009年5月9日号 】
長期休暇で暇をもてあましている人へのぷちレビュー ~ 前編 ~
3.5インチHDDサイズのUMPC「mbook M1」を購入してみた
Text by 石橋 一衛
●理想的なネットブック/UMPCを求めて ~ ひ弱な筆者の叫び ~

 過去に筆者はASUS Eee PC 4G-X、Acer Aspire One、富士通 FMV-BIBLO LOOX U/C30Nといったネットブック/UMPCを購入した。それぞれ魅力的な特徴はあったが、どれも1~2週間程度使っただけで手放してしまった。理由はそれぞれあるが、共通しているのは「自分が普段持ち歩くには重くて大きすぎる」からである。最軽量のLOOX Uは565gと一般的なノートPCとは比較にならないほど軽量ではあるが、日頃、デジタルカメラと携帯電話しか持ち歩かない筆者からすると、565gでもやっぱり重たいのである。
●重量315gのUMPC ~ 本当にポケットに入るPC ~


ニンテンドー DS Liteとの比較

3.5インチHDDとの比較

右側面(USB+TTA 20ピンコネクタ)

左側面

ジーパンのポケットにも入る

BIOS画面

 前置きが少々長くなったが、こんなひ弱な筆者でも持ち歩きたくなるようなPCとして新たに購入したのが、メーカー公称重量315g、本体サイズ158mm×92mm×18.6mm(幅×奥行き×高さ)という韓国UMID社のUMPC「mbook M1」である。

 スペックやOS(Windows XP/Linux)の違いで複数のモデルが用意されているが、今回購入したのはLinuxを搭載した「M1-434KWA」というモデル。韓国からの輸入品で、購入金額は送料込みで約6万円。

 スペックは、CPU Atom Z520(1.3GHz/Hyper-Threading)、メモリ 512MB、SSD 32GB、IEEE802.11a/b/g無線LAN、Bluetooth、130万画素Webカメラ、microSDスロット、DMB(韓国のワンセグ)など。増設コネクタは、mini USB B×1、TTA 20ピン×1。液晶ディスプレイは、解像度1,024×600ドットの4.8インチタッチスクリーンタイプで、開閉角度は130~140度ほど。シャープ Linux搭載Zaurusのように液晶部分は水平にはならない。キーボードはハングル表記の56キーパンタグラフタイプ。キーピッチが狭いため、長文の入力やタッチタイピングはかなり慣れが必要だが、Linux搭載Zaurusのように、立ちながら両手持ちで操作することができる。

 写真を見ればご理解頂けると思うが、とにかく小さい。比較対象として用意したデバイスが、3.5インチHDDやニンテンドー DS Lite(133mm×73.9mm×21.5mm/重量218g)ということからも、その小ささは伝わるのではないかと思う。ちなみにジーンズのポケットにも違和感無く入る。

※初掲載時に搭載CPUの仕様に関して「デュアルコア」と表記しておりましたが、「Hyper-Threading」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。


●付属品あれこれ ~ 意外と充実、ただし別途購入が必要なアイテムも ~


充実した付属品

ACアダプタに変換プラグを装着

 付属品に関しては他社のネットブック/UMPCと比較しても充実している。

・キャリングポーチ
・液晶保護シート
・デコレーションシール
・ストラップ
・イヤホン+TTA 20ピンアダプタ
・ACアダプタ+ACケーブル(韓国仕様)
・mini USB Bコネクタ - USB Aコネクタ変換アダプタ
・ハングル表記マニュアル

 なお、日本国内で利用する場合は、ACケーブルやネットワーク接続用のLANアダプタ(理由は後述)を用意する必要があるので要注意。筆者の場合、エレコム製AC変換プラグ「T-PCAD22V」、アイ・オー・データ製1000BASE-T LANアダプタ「ETG2-US2」、グリーンハウス製可動式USB変換アダプタ「GH-USBK5」を別途購入した。このほか、OSセットアップ用やファイル転送用にバッファロー製ポータブルHDD「HD-PSG250U2-WHも用意した。


●国内利用における様々な制約 ~ 初心者お断りな仕様 ~


ハングルの刻印

大きいACアダプタ

すぐに取れそうなカバー1

すぐに取れそうなカバー2

 ここまで、読んで「是非欲しい」と感じる読者も多いと思うが、いろいろな制約もあるので注意が必要だ。具体的には以下の通り。

1.キーボードはハングル表記タイプ(全角/半角キーは無い)
2.スタイラスを使ったタッチ操作が前提のため、ポインティングデバイスが無い
3.メモリやSSDの増設・交換は不可
4.電波法の制約により、日本国内では無線LANとBluetooth機能が利用できない
5.日本のメーカー製PCと比較するとつくりがやや荒い
(特にUSBや独自コネクタを覆うカバー、microSDスロットカバーは簡単に引きちぎれそうなほどもろい)
6.本体は小型軽量だが、付属のACアダプタはやや大きめ
7.並行輸入品のため、不具合が生じたときの対応が煩雑

 このため、「自分には全く合わない」という人も多いと思うが、筆者のように「多少の制約があっても小型軽量のPCが欲しい」という人にとっては非常に魅力的なデバイスではないかと思う。


●標準OSの使用感 ~ 動作は軽快だが、ハングルがわかる人向け ~


ハングル表記のLinux

ハングル表記のLinux

 今回購入したモデルには標準でハングル表記のLinuxがインストールされている。動作は軽快で、UMPC向けのOSとしてはなかなか良くできているように見えるが、筆者のようにハングルが読めない人にとっては、無用の長物。内蔵SSDのファームウェアをアップデートを実行すると、SSDに保存されているデータは消去されるということなので、早速実行(ついでにBIOSもアップデート)。

 ちなみに、本製品にはOSのリカバリーCDなんてものは付属していない。なので、できればSSDのファームウェアアップデートの前にバックアップをとることをオススメする。筆者のように「使わないOSのバックアップに時間をかけるほど、暇じゃない」という方は、自己責任で対応してもらいたい。

 さあ、準備も整った。ついにWindowsのセットアップに挑戦だ(後編に続く)。

UMID mbook M1

※特記無き価格データは税込み価格(税率=5%)です。

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