【 2011年6月4日 】
「神様」インテル天野氏が最後のプレゼン、雑誌「PCfan」のイベントで
7月から異動

 「神様」の愛称で長らく親しまれていたインテル 天野 伸彦氏が部署を異動することになり、最後のセッションを4日(土)のイベント「PCfan CAFE」で行った。

 ちなみに部署の異動はセッション最後に初めて公表、会場全体が驚く事態に。

 「技術部」という立場ならではのマニアックな情報を多数伝えてきた同氏だけに、惜しむ声も多数聞かれたが、最後は拍手と記念撮影で締めくくられた。


●4日(土)開催の「PCfan CAFE」
 再配信ユニット「VULCANO FLOW」もデモ


山本彩乃さんと森田氏

小林ゆうさんと鷲崎健氏

VULCANO FLOWのデモ

VULCANO FLOWのデモ

HP ENVY100

WiMAX製品の展示もあり
 まず、舞台となったイベントは、雑誌「PCfan」が主催するPCマニア向けイベント「PCfan CAFE」。

 イベントでは、天野氏のセッションのほか、日本マイクロソフト 森洋孝氏による「暑い夏をいかに乗り切るか?」やライター山田祥平氏の「ITジャーナリストに聞く 2011年のPC事情」、さらには声優・山本彩乃さんがPC DIY SHOP FreeT名物スタッフの森田氏と自作PCを組む「彩乃のパソコン作っちゃうぞ!」、TVアニメ『まりあ†ほりっく あらいぶ』で祇堂鞠也役をしている小林ゆうさんなどが出演する「小林ゆうのキャラクターおもいっきり 生電話 IN 秋葉原」といったセッションを実施。

 また、会場では自宅で受信したテレビなどをインターネット経由で再配信、iPhone/Androidなどで視聴できるアイ・オー・データの「VULKANO FLOW」や、メールを送ることで印刷できるHPのプリンタ「ENVY100」などがデモされていた。


●今回の解説は、Z68のSRTやSandyBridge内蔵GPU、
 Intel 320の信頼性など


SRTの感想

Z68の気をつけておけ「ネタ」
 天野氏のセッションは、このイベントの最後に実施。

 主な内容は、Z68 Expressチップセット、特に同チップセットならではの機能とされるSRT(Smart Response Technology)の使い方や「SATA II世代における完成形」(天野氏)という同社製SSD「320」シリーズをアピールするもの。

 まず、Z68についてはSSDをHDDキャッシュとして使うSRTや、CPU内蔵GPUを使ったハードウェアエンコードについて解説。

 前者については「オフィスをメインに」「決まったゲームを」など、使い方が決まっているユーザーにとってはとても効果があることを説明。

 また、手軽に導入できる「拡張モード(ライトスルー)」とさらに高速化できる「最大モード(ライトバック)」の2種類があることや、「GPTブートドライブを高速化することもできるが、使ってみるとなかなか上手く行かないので時期尚早、やっぱりMBRサイコー」(同氏)であることなどが語られた。



Virtuは必要?

HWエンコはできる筈…
 また、CPU内蔵GPUについては、「Virtuを使わなくても内蔵GPUを使ったハードウェアエンコードができる」として、PC切替器を使った手法を披露。

 これは、理屈としては、「マザーボードの画面出力に“何か”をつないでおけばHWエンコができる…はず」というもの。具体的には、マザーボードからの画面出力をPC切替器に接続し、そちらはそのまま画面に出さず、画面出力はプライマリのビデオカードから出力、この状態でCPU内蔵GPUによるハードウェアエンコードが利用出来ることが示された。



内蔵キャパシタについて

キャパシタの位置

耐久性の評価

SMARTのコマンド
 SSDについては、Intel 320の信頼性に関して主にアピール。

 内蔵バッファ容量が「1MBの1/4ぐらい」(同氏)と少ない代わりに、動作中に電源が落ちても内蔵キャパシタでデータを書き出せる構造になっていることや、X25-M(G2)では(SSD内で)ソフト処理していた暗号化処理をハードウェアで処理するようにしたこと、またJEDECの耐久性評価基準での数値が公開されていることなどが示された。

 なお、Intel 320やX25-M(G2)では、ユーザーが指定する特定期間内のアクセス量や、ライト/リード比率を報告するSMARTコマンドが拡張されているそうで、こうしたコマンドを駆使してアクセスパターンを解析、寿命を推定することなどもできるという。

 このほか、セッション中には「来年はP系やりません。Z系オンリーで(1種類か2種類?)」「今年は2画面同時出力(来年以降は判らないですよ)」などなど、将来の「何か」を連想させるコメントもところどころに登場。



ボード交換の件

東日本大震災後の状況
 さらに、セッション冒頭では、IntelのSandy Bridgeマザーボードの交換対応が遅れたことの内部事情も暴露。実は3月11日の17時の告知する予定だったが、東日本大震災でつくば事務所が被災、さらに延期する羽目になってしまったことや、地震で揺れるつくば事務所の様子を動画で公開。スプリンクラーが誤動作、事務所が水浸しになっていたことなどが生々しく語られた。


●イベント登壇はこれが最後
 7月から別ジャンルの担当に異動


来場者と記念撮影
 そして最後に明かされたのが、冒頭でも触れた「異動」の件。

 まったく違うジャンルの製品、まったく違うメーカーの担当として7月から活動することになり、今回のようにイベントで登壇するのもこれが最後になるとのこと。

 そして最後の最後には、「営業技術」という立場でこうしたイベントに登壇し続けた苦労話を紹介。「広報にならない?」という話もあったが、広報では製品の悪いところを口にしにくいこともあり、結局断ったなどのエピソードを語っていた。

 なお、同氏が今後、どういった製品の担当になるのかは明かされなかったが「ゴーウェスト」がヒントなんだとか。

 ちなみに今後、同氏のような独特のセッションを行う担当者は居ない模様。インテル製品の技術的な詳細を、非常にマニアックな視点で伝えてきてくれただけに氏の異動は自作ユーザーとしては残念な話と言えそうだ。.

 氏が「神様」と呼ばれるようになった由来などはこちらも参照のこと。

※記事初出時、天野 伸彦氏の表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。(6/6)


□PCfan CAFE(マイコミジャーナル)
http://journal.mycom.co.jp/ad/2011/pc/pcfancafe/

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