1998年1月31日号


Socket 7マザーボードも外部100MHz対応の時代に突入!
SiS5591搭載で100MHz設定可のElite P5SD-Bマザーボード発売

Elite P5SD-BElite P5SD-B
【パッケージ】【P5SD-B(AT)】
AGP TXチップセット100MHz設定
【AGP TXチップセット】【100MHz設定】
P5SD-A100MHz SDRAM
【P5SD-A(ATX)】【100MHz SDRAM】

 ベースクロック100MHz設定が可能なSocket 7マザーボードがついにアキバでデビューを飾った。製品はリリース前から話題を呼んでいたEliteのP5SD-B。ATフォームファクタのマザーボードで、チップセットは最新SiS5591チップセットのOEM版「AGP TX」を搭載している。アキバでの実売価格は13,600円~15,800円。同社からは、同時にATXフォームファクタのP5SD-Aもリリースされ、店頭に並んでいる。ただし、こちらは残念ながらマザーボードのシルクやマニュアルを確認する限り、100MHzの設定は用意されていない。

 P5SD-Bは、以前から海外でも100MHzベースクロックの設定を持った世界初のSocket 7マザーボードとして話題になっていた最新プロダクト。発表当初、同社の製品情報ページに100MHzのジャンパ設定が掲載されていたことで、一気に注目を集めた。その後、しばらくしてそのページから100MHz設定の項目のみが削られ、心配する声も多く上がったが、リリースされた製品を確認してみれば、きっちり100MHz設定は用意されていた。Eliteは期待を裏切らなかったわけだ。

 ベースクロックの設定は、マザーボード上のシルク印刷で詳しく書かれているほか、マニュアルにも記述があり、どちらにも100MHzまでの設定方法が紹介されている。ただし、残念ながらメーカーとしては100MHzは公式サポート外の扱いのようだ。マニュアルにはベースクロック設定の一覧が2か所に記され、第4章のリファレンスには100MHzを含めて設定可能なすべてのクロックが掲載されているにもかかわらず、第3章のインストール手順の紹介では83MHzまでしか掲載されていない。また、Web上の製品情報から100MHz設定の項目が削除されたことも考えれば、「非公式サポート」と考えるのが道理だろう。

 さて、具体的にベースクロックの設定を見てみよう。単純に設定可能なベースクロックを並べると、 60 / 66.8 / 68.5 / 75 / 83.3 / 90 / 100MHzと実に多彩だ。これだけでも、結構いろいろな設定ができるのだなぁ、と感心してしまうが、実は75MHzに限ってはPCIバスとAGPバスのクロックの違いでさらに2種類に分かれている。つまり、計8種類の設定を選ぶことが可能になっている。ちょっと変に思うかもしれないが、このマザーボード、実はPCIバスとAGPバスのクロックを33.3MHzと66.6MHzに完全固定しているわけではない。マザーボード上には、先日発表されたばかりのIntegrated Circuit Systems(ICS)の100MHz対応マザーボード用クロックジェネレーター「ICS9148-17」が使われ、ベースクロックをxとしてx/2、x/2.5、x/3に分周したクロックのうち、33.3MHzに「近い」クロックをPCIバスに割り当て、そしてAGPバスはその2倍を割り当てるという方法でクロックを供給している。前述のベースクロックの順に、割り当てられるPCIバスクロックを並べると、30 / 33.4 / 34.3 / (37.5/32.0) / 33.3 / 30. 0 / 33.3という具合になる。システムのベースクロックを75MHzにした場合に限り、PCIバスへのクロックはx/2の37.5MHzとx/2.5の32.0MHz(これだと厳密にはx/2.34になるが)の2種類が用意されている。システム75MHz/PCI 37.5MHz/AGP 75MHzなんて設定を選ぶと、これはこれで動けばI/Oは速そうではある。ただ、ベースクロックによってPCI/AGPのバスがそれぞれ標準値から上下してしまうというのは、パフォーマンスの変化、互換性の確保という点でも不安材料には違いない。このあたりは、アキバに集結する通称「人柱」と呼ばれるマニア達のさまざまな体当たりの検証が待たれるところだ(逆に言えば、彼らにはまた楽しみなマザーボードがやってきたということ)。

 P5SD-AとP5SD-Bは、どちらもSIMM×4/DIMM×2/PBSRAM 512KB/PCI×3/ISA×3/AGP×1という構成。PCIスロットが少ないというのが気になるけれども、価格が安いことから、テスト用として入手していろいろ試すのも面白そうだ。現在アキバでは、P5SD-Aが3店、P5SD-Bが4店で取扱中。BLESSの店内では、P5SD-Bを使ったベースクロック83.3MHzで稼働させたマシンをデモ中だ。

 このほか、100MHz関連ではメルコのMTCブランドから出た100MHz対応SDRAM「MTSD-PC100E」の販売が始まっている。すでに100MHzでも動くと言われているメモリは幾つかあるけれど、公式にPC100規格対応をうたっているのは、市販品ではこれが初めて。容量は今のところ32MBのみで、実売価格は29,800円(BLESS)。64MBタイプも発表になったので、近いうちに出てくるはずだ。

 さぁ、Socket 7用の100MHzマザーボードも出た。公式100MHz対応SDRAMも出た。あとはCPUだ..。それとも、待ちきれずに既存のCPUでオーバークロックに挑戦する?。

【Elite製SiS5591チップセット搭載マザーボード価格表】
製品 ショップ 価格

Elite P5SD-B
PCiN秋葉原 13,600円
ソフマップ1号店"Chicago" 13,799円
BLESS 15,800円
PC-NEXT 15,800円

Elite P5SD-A BLESS 15,800円
ツクモパソコン本店II 15,800円
CQプロショップ ツクモ9号店 15,800円

□Elitegroup ComputerSystems
http://www.ecs.com.tw/
・日本エリートグループ
http://www.ecs.com.tw/ecs/ecsjpn/
・P5SD-B
http://www.ecs.com.tw/ecs/ecs/p5sd-b/p5sd-b.htm
□Integrated Circuit Systems(ICS)
http://www.icst.com/
・Motherboard Clock Generators製品一覧
http://www.icst.com/products/mboard.htm
□メルコ
http://www.melcoinc.co.jp/
・MTC(Melco Technical Component)
http://www.melcoinc.co.jp/product/mtc.html
・MTSD-PC100-ED32M
http://www.melcoinc.co.jp/product/mtc/mtsdpc10.html

[撮影:DIJEDS-20 協力:BLESS]


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