1998年4月18日号


440BXマザーとPentiumII 350/400MHzが15日に一斉デビュー
Slot 1は「公式」システムバス100MHz時代に突入

440BX解禁!440BX
【440BX解禁!】【440BX】
100MHz本番!100MHz時代到来!
【100MHz本番!】【100MHz時代到来!】

 大方の予想通り、440BXチップセットとPentiumII 350/400MHzが15日に正式発表され、その直後からアキバの各ショップでは続々と販売が開始された。440BXチップセット搭載マザーボードは初日から異例の10種類以上の製品がショップに並び、新型パッケージ箱に入ったPentiumII 350/400MHzも、待ってましたとばかりに商品棚に陳列された。数が豊富で価格も意外と安く、まるで合わせたかのようにPC/100メモリも大幅安の動きが出るなど、「公式」システムバス100MHzも急速に普及しそうな気配を見せている。

 実は今回の一連の発表は、日本が少しだけ先行したかたちになっている。Intel本社は米国時間15日(水)に発表しているため、本来なら日本では16日(木)に発表されるところだが、なぜか日本では前倒しの発表となった。海外からの報道などで「米国は15日発表」というのが公然の秘密となっていたため、「日本の発表と販売解禁は16日」と見る向きが当初多かったが、直前になって流通関係者の間では「日本では15日正午解禁」という説が一気に広まっていた。このことは、すでにお伝えしていた通りだが、結果的にはこの内容がまさに正解だったわけだ。

 実際には、アキバで販売が始まったタイミングはショップによって微妙にズレがあり、「13時より」と台湾の現地時間に合わせたショップや、12時ジャストというところ、なかには11時の段階で始めていたところもあった。これは、日本の記者発表が11時から行われたことを察知していたためらしい。また、これはどこでも聞かれた話なのだが、Elite(ECS)の440BXマザーボード「P6BX-A」については代理店側から「14日から売っていい」という指示が出ており、確かに一部のショップが14日(火)に販売を始めていたことを認めている(ほとんどのショップは15日にしたようだが)。その日に実際に購入していった人は、店員にしつこく「これ本当に買っていいんですねっ!」と念を押し、興奮しきりだったそうだ。

440BXマザーボードは10種類以上、価格は2万円前半から

440BXで23,500円!ASUS 440BXマザー入荷
【440BXで23,500円!】【ASUS 440BXマザー入荷】

 さて、18日(土)の段階でショップに並んでいた440BXチップセット搭載マザーボードは、確認できたところで実に14種類にも及んでいる。驚いたことに、マイナーブランドの製品のほか、早くもデュアルCPU対応のマザーボードが出るなど、いきなり入手可能な製品が豊富な状態になっている。430TXや440LXのときを思い浮かべるまでもなく、チップセットの発表と同時にこれだけの製品が出回るというのは非常に珍しい。価格も安いものでは2万円前半からあり、従来の440LXマザーボードとの価格差はそれほどないと考えていい。この価格の安さと、一挙に多数の製品が入荷したことで、ショップによっては440LXチップセットのマザーボードをすべてショーケースから取り去り、440BXのものに置き換えてしまったところもある。

 具体的な製品については、下記にリストとして掲載した通り(価格は「今週見つけた新製品」を参照のこと)。ASUSやGIGABYTEといったメジャーどころから、SUPERMICROやTYANなどの高信頼ブランド、意外なところでは「TOMATO」ブランドで知られるZidaからも製品が出ている(しかも安い)。人気があるのは、総合するとやはりASUSやGIGABYTEだが、ショップによっては比較的価格の安いEliteが売れるというところや、AGP TURBO設定を持つA-Open「AX6B」の在庫問い合わせが殺到している、というところもある。AX6Bは事前に製品の情報が流れたこともあって非常に関心が高いようで、実は15日の時点でも正午に販売を始めていたところもあったのだが、あるショップでは製品詰めのダンボール箱が店に運ばれるやいなや、待ち構えていた人たちが会計カウンターまで持ち去ってしまい、あっという間に完売してしまったそうだ。商品棚に並べて価格をつける暇もなかった、とのこと。我々の調査では、15日(水)以降にAX6Bの店頭在庫はひとつも確認していないが、これはもともと品薄であるということと、人気が高くてすぐに売りきれてしまうということの両方の理由があるようだ。


アキバに実在する440BXマザーボード一覧
(1989/4/18)

440BXマザーボードの気になるクロックリミッター

FREEWAY DESIGNオリジナルBIOS
【FREEWAY DESIGN】【オリジナルBIOS】

 製品種類が多いため、実際に購入しようとすると目移りしてしまうところだが、今はとにかくカタログスペックしかわからないことから、440BXマザーボードは品定めが非常に難しい状況にある。というのも、440BXマザーボードを今すぐにも欲しいという購買層には、カタログスペックではわからない部分への関心が非常に高いからだ。440BXマザーボードは、BIOS側の仕様でベースクロック100MHz対応のPentiumIIを使用した場合、動作クロックの内部倍率を自動判別して固定化してしまうものが多いそうで、製品によってはマニアの楽しみの一つであるクロックアップに制限がつくという「重大問題」を抱えている可能性がある。これがカタログスペックでは見えてこない。今後、人柱達のレポートで徐々に明らかにされることになるだろうが、今はまだ情報が足りない状態だ。複数のショップの話によると、A-TREND「ATC-6220」などはこうしたクロック固定の問題が確実に回避できるとのことで、マニアには人気が出そう。また、同じA-TRENDでも、TWO-TOPのオリジナルBIOS(!)を搭載した「ATC-6220BX/133」では、さらにべースクロックも133MHzまで設定可能という特徴も持っている。ちなみに、このオリジナルBIOSでは、起動時にTWO-TOPの運営会社であるフリーウェイのロゴとして「FREEWAY DESIGN」という文字が表示される。ASUS「P2B」では、隠し設定でベースクロックを133MHzまであげられるものの、残念ながら内部倍率はリミッターがかかってしまうとのこと。

 このあたりは、国内では例によって「Masashi's Maniacs」のページが詳しいので参考にするといい。

今までのバルク品とは中身が違う!?PentiumII 350/400MHz

PentiumII 400MHz新BOX
【PentiumII 400MHz】【新BOXは小型に】
100MHz System Busシール
【100MHz System Bus】【シール】

 PentiumII 350MHzと400MHzについては、15日(水)時点からIntel純正のリテールパッケージ品が出回り始めている。価格は9万円前後と12万円前後(「今週見つけた新製品」を参照のこと)。いくつかのショップで聞いた話では、かなりの勢いで売れていくそうで、特に400MHzは仕入れてもすぐになくなってしまうのだそうだ。

 この新しいPentiumIIは、ベースクロック100MHzに対応しているという技術的な点ではもちろん新しいのだが、アキバでは以前からフライングでバルク品が売られていたため、あまり感覚的に新味はない。ただ、箱パッケージに変化があり、サイズが全体的に一回り小さくなっているほか、表面に「100MHz System Bus」というロゴがあり、見た目の新しさは認められる(デザインそのものは従来から変わっていない)。サイズが小さくなった点は、ショップ側は在庫スペースが減るという意味で大歓迎のようだ。

 気になるのは、PentiumIIの実物を比較してみると、いままでフライングでバルク品として販売されていたものと、リテールパッケージ品のものとは少し違っている点があること。すぐに気がついたのは、プラスチックカバーに印刷された型番の部分。前者は「80523PY400512 SL2S7」という記述だったが、後者では「B80523P400512E SL2SH 2.0V」とあった。先頭に英字でBとついたこと、Pのあとの英字がなくなっていること、512のあとにEがついたこと(ECCの意味?)、ロットナンバーが異なること、電圧値が後ろについたこと、といった違いがある。この違いが何を意味するのかは不明だが、Intel純正のものは少なくともこうなっている、ということは予備知識として覚えておくとよさそうだ。

まさに「100MHz本番!!」

 PC/100メモリがある。ベースクロック100MHz対応のCPUもマザーボードも出た。Socket 7の100MHz対応がもたもたしているあいだに、Slot 1は予定通り、完全な「公式」ベースクロック100MHz時代へと突入した。すぐにでも冒険に出るのか、それとももう少し見極めるのか、その判断はアナタ(の財力?)次第というところだ。

□プレスリリース
http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press98/980415c.htm
http://www.intel.co.jp/jp/PentiumII/home.htm
□Masashi's Maniacs
http://www.kk.iij4u.or.jp/~masashik/
・440BX Test Room
http://www.kk.iij4u.or.jp/~masashik/440BX0.html

[協力:ツクモパソコン本店IIUSER'S SIDE秋葉原店BLESSコムサテライト1号店(COM/1)]


[ Back ]戻る