1998年5月9日号


ベースクロック112MHzまで設定可能なSocket 7マザー登場
MVP3チップセット搭載の「AOpen AX59Pro」に注目

AX59ProAX59Pro
【AX59Pro】【112MHz設定】
AX59ProAX59Pro大量入荷
【シルク印刷】【AX59Pro大量入荷】
XA100XA100発売中
【Iwill XA100】【XA100発売中】

 ここのところ、マザーボードでは440BXチップセットが出てきたことでSlot1用の話題ばかり続いていたが、Socket 7用もまた確実に新しい動きが出てきている。5月第2週には、新型Socket 7マザーボートとしてMVP3チップセット搭載の製品で2種類、AladdinVチップセットで1種類の製品が登場している。

 中でも、AOpenから出たMVP3搭載の「AX59Pro」はベースクロックが112MHzまで設定できる点など、マニアックな設計のマザーボードとして注目度は大。AOpenといえば、最近では440BXチップセット搭載の「AX6B」でAGP TURBO設定を持たせるなど、かなりマニア指向の設計が目立つようになってマニアの間では「わかっている」メーカーとして認知度が上昇中。今回の「AX59Pro」でも見事にそのマニアックさが活かされ、ユーザーが自由にいじれる設定内容は実に幅広い。すぐに目に付くところでは、ベースクロックは最高で112MHzまで上げられるようになっており、マザーボード上のシルク印刷はもちろん、マニュアルにもその設定方法がしっかり書かれている。ただし、もちろん100MHzを越えた場合の動作はメーカー保証外だが。このほか、CPUのコア電圧の設定にいたっては5本のDIPスイッチを使って実に1.30V~3.5Vまで32通りもの設定が可能になっている。1.30~2.05Vまでは0.05V刻みで設定変更できる(それ以上は0.1V刻み)のがすごいところだが、実際には2.2Vより下は今のところ利用するケースは考えられないので、意味がないといえば意味はない。ただ、「気まぐれSocket 7」の世界ではこうした幅広い対応がいつ活きてこないとも限らない。

 ベースクロックは60/66/60/75/83/90/100/112MHzと8通り。60MHzが2つあるのは、この2つも含めて実際には全ての設定パターンでAGPとPCIのクロックが微妙に異なってくるからで、ベースクロックが100MHzと66MHzの場合のみにAGP 66MHz/PCI 33MHzの標準クロックが割り当てられ、ほかは微妙に上下する。このあたりはほかのSocket 7マザーでも同様だが、全てのパターンでどの部分がいくつのクロックになるかを全てマザーボード上にシルク印刷でもしっかり書かれ、すぐに確認して設定できるようになってるのはいかにもマニアック。CPUの内部クロック倍率は、1.5~5.5倍までの0.5倍刻みで設定可能。もちろん、独立してメモリへの供給クロックをAGPと同期させるか、CPUのべースクロックと同期させるかという設定も持っている。

 2次キャッシュで使用するPBSRAMもUMC 6464AF-5という5nsの高速チップが搭載され、ハードウェア的には設定範囲の広さも含めてなかなか遊び甲斐のある製品と言える。スペックは、ATX/AGP×1/PCI×3/(ISA/PCI)×1/ISA×1/DIMM×3/SIMM×2/PBSRAM 512KB。実売価格は1万円後半(「今週見つけた新製品」参照のこと)とそれほど高くもないので、かなりの人気を呼びそう。実際、8日(金)時点では大量に在庫していたにもかかわらず、翌日までに全て完売してしまったというショップもある。また、同じMVP3搭載マザーボードでは、SOLTEKからもSL-54U5という製品が格安で登場(「今週見つけた新製品」参照のこと)しているので、こちらも見逃せない。

 このほかのSocket 7マザーボードの動きでは、またAladdinVチップセット搭載の製品が出まわるようなってきている。最初にAladdinVを採用したMicrostar MS-5169も、再びゴールデンウィークあたりから潤沢に出回り始めており、また、新しいところでは第2弾のAladdinV採用製品として、IwillからXA100が発売になっている。こちらはATX/AGP×1/PCI×3/(ISA/PCI)×1/ISA×2/DIMM×3/PBSRAM 512KBというスペックで、もちろんベースクロックは100MHzまで対応する。ただし、こちらは設定ではほとんど遊びはない(隠し設定があれば別だが)。ベースクロックは66/75/83/100MHz、CPUの内部クロック倍率は2~5.5倍速まで0.5倍刻み、CPUのコア電圧は1.8/2.2/2.7/2.8/2.9/3.2/3.5Vに設定できる。面白いのは、採用されているBIOSがAMIであるにもかかわらず、設定画面の項目やインターフェースデザインがまるっきり今のAWARDにソックリというところで、一見するとAWARD BIOSかと勘違いしてしまう(486時代のことを思い返せば、もともとはAMIの方がオリジナルとも言えるが)。

 XA100の実売価格はややバラついているものの、およそ1万円後半(「今週見つけた新製品」参照のこと)で、安いところでは15,000円台で購入できる。以前からベース100MHzでの安定性能では高い評価のあるAladdinVを採用しているだけに、こちらにも人気が集まりそう。なお、AladdinVに関しては「MS-5169友の会」というページで、いろいろ動作状況や技術情報が集められているので、興味のある人はそちらを参考にしてみるといい。

 ベースクロック100MHz対応のCPUも、いよいよAMDから「K6-2」(K6-3Dを改称)として5月28日(米国時間)に出荷されるという報道もあり、真のSocket 7 ベース100MHz時代の到来もいよいよカウントダウンに入ったようだ。ベースクロック100MHz対応のマザーボードが一挙に3種類デビューしてきたのも、こうした状況の証明と言えるのかも知れない。

□AOpen
http://www.aopen.com.tw/
・AX59Pro
http://www.aopen.com.tw/products/mb/ax59pro.htm
□Iwill
http://www.iwill.com.tw/
・XA100
http://www.iwill.com.tw/xa100.htm
□SOLTEK COMPUTER
http://www.soltek.com.tw/
・SL-54U5
http://www.soltek.com.tw/product/SL54u5.htm
□MS-5169友の会
http://www.skz.or.jp/tomoka/ms5169/

[撮影協力:BLESSツクモパソコン本店II]


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