1998年5月16日号
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440EXチップセット搭載のMicro ATXマザーが各種お目見え
初の440EXマザーとしてFICとGIGABYTEから製品が登場
【FIC VL-603 \17,800】 | 【440EXチップセット】 |
● FIC VL-603
【FIC VL-603】 | 【Celeronが入らない?】 |
【Pentium II 266MHz?】 | 【BIOSバージョン】 |
やや気になるのは、この両端のリテンションキット間の幅が狭すぎるのか、なんらかの構造的な問題なのか、このVL-603にCeleronを挿そうとする場合、そうとう力を入れて押し込まないときちんと入らないという問題が確認されている。Celeronに取りつけるCPUクーラーは、現在手に入る純正のものやCoolerMaster製も含め、幅がCeleron本体より横長で、出っ張るかたちになっており、その出っ張り部分がVL-603ではリテンションキットに引っかかってしまう。アキバで唯一このVL-603を扱っているコムサテライト1号店では、実際に2人がかりでこのリテンションキットを無理やり横に広げることで、やっとCeleronを挿すことに成功したそうだ。また、これを抜く作業も一苦労で、抜いてみると、リテンションキットにあたっていたCPUクーラーの端部分が傷だらけになっていたとのこと。このあたりは、初物らしいよくある苦労なのかも知れないが、少々気になるところだ。また、搭載されているBIOSのバージョンが「03/26/98-i440LX(EX)-2A69JF09C-00」と古く、Celeronを2次キャッシュなしの「PENTIUM II-MMX CPU at 266MHz」として認識してしまうという問題もある(実用上は何の問題もないが)。価格は17,800円。
□First International Computer(FIC)
http://www.fic.com.tw/
・VL-603
http://www.fic.com.tw/fic/Products/Mainboards/1stMain/vl-603.htm
● GIGABYTE GA-686EX2
【GIGABYTE GA-686EX2】 | 【ベース100MHz設定あり】 |
440EXは440LXをベースにしたチップセットのため、ベースクロックは公式には66MHzまでだが、このマザーボードは、DIPスイッチで66/75/83/100MHzと4つのモードが選べるようになっている。CPUの内部クロック倍率は3~5.5倍まで0.5倍刻みで設定可能。440LXチップセットのATXマザーボードでも、100MHz設定をもっている製品は少ないので、これはちょっとした驚き(動くかどうかはともかく)。CPUのリテンションキットは、VL-603と違って従来のPentium II用のものがそのまま付属している。在庫ショップは3店で、価格は16,800円~17,800円(「今週見つけた新製品」参照のこと)。
□GIGABYTE
http://www.giga-byte.com/
・GA-686EX
http://www.giga-byte.com/GA686EX.html
● Microstar MS-6126
【Microstar MS-6126】 | 【サンプル品展示】 |
この製品の特徴は、YAMAHAのOPL3相当のサウンドチップ(YM715)とATI 3D RAGE PRO(2MB,AGP)をオンボードにしている点。AGP接続のビデオがオンボードのためAGPスロットは用意されていないが、PCIやISAスロットの数などはほかの製品とまったく同じで、サウンドとビデオがオンボードになっているぶんだけ拡張性は比較的高くなっている。ただし価格は当然ほかより高く、実売価格は27,800円。販売しているのはT-ZONEミナミのみで、ほかにP-10がサンプル品を店内に展示中だ。
□Micro-Star International
http://www.msi.com.tw/
・MS-6126
http://www.msi.com.tw/product/6126/6126.htm
● あと足らないのはMicroATXケース
MicroATXという意味では新たに3種類のマザーボードが登場してきたわけだが、「BasicPC」(のIntel推奨モデル)を構成するにはまだ足りないものがある。それはMicroATXのケース。MicroATXは現在のATXケースでも利用できるとはいえ、これでは無駄にケースの中を余らせるだけでほとんど意味がない。小型省スペースのMicroATXケース+440EX搭載MicroATXマザーボード+Celeronとセットになって、やっと初めて全てがそろうことになる。いくつかのショップがあちこちで探し回っているとは言うものの、どこもまだMicroATXケースは入荷の見込みが立っていないとのこと。こちらの方はまだしばらく先になりそう。
それにしても、こうしたセットは日本で果たしてウケるだろうか? 小さいという意味では魅力があるかも知れないが、ここ日本の自作リテール市場では、ここまで拡張性がなく、現時点で価格メリットもないという状態ではとても売れる要素はないようにも思える。拡張性を捨てた省スペースシステムとしては、Socket 7のNLXマザーボードとケースのほうが、よほど現実的(入手性や価格の点で)。実際、アキバのショップ関係者の間では否定的な観測をする人が多い。
ただ、このあたりは少なくともMicroATXケースが出そろった段階で、改めてアキバの反応を探らないと、なんとも結論の出しようがない。なにしろ、このアキバでは「出してみないと何が売れるかわからない」というのが合言葉。意外と、半年や1年先にはMicroATXのシステムが大ブレイクしている、ということになっているなんてことも、考えられなくもない。
[撮影協力:コムサテライト1号店とパソコン工房秋葉原1号店とT-ZONEミナミとP-10]