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1998年5月16日号
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Cyrixの新Socket 7 CPU「M II-300GP」がデビュー
66MHz×3.5＝233MHzで2.9Vと「Cyrixらしからぬ」普通の仕様
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| 【M II-300GPの表】 | 【M II-300GPの裏】 |
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| 【M II-300GP 入荷しています】 | 【実売は2万円後半】 |
M IIは言わずと知れたCyrixの6x86MXに続く新シリーズ。といっても、従来の6x86MXとの変更点が明確にアナウンスされていないことなどから、実質は6x86MXとほとんど中身は同じで、性能表記と動作環境を一新して新ブランドに変えただけのもの、とも言われている。流通関係者の間では、「単に6x86MX PR266のベースクロックが83MHzから66MHzになったもの」と説明している人もいる。実際、最新のマザーボードでテストしても、BIOSで「6x86MX PR266」として認識される例がいくつも報告されている。このあたりの製品に対するわかりにくいイメージが拭えないところは、相変わらずCyrixらしいと言えばCyrixらしい。「らしくない」のは動作環境仕様で、今回の300GPはベースクロック66MHz×3.5＝233MHz、コア電圧2.9V、I/O電圧3.3Vと、ごくごくまっとうな仕様になっている（データシートには、75MHz×3.0＝225MHzのタイプも記述されている）。6x86MXのような、電圧が2.7Vだのベースクロックが83MHzだのといった異端な仕様はすっかりなくなってしまっているわけだ。
ちなみに、M II-300GPも含めて最近のCyrixのCPUには「CX-JP」などの国内の代理店経由の証明スタンプが押されていないが、これはナショナルセミコンダクタージャパンが直接ショップに流すものにはそれがないためで、特に直輸入品ということではない。このあたりのわかりにくさもまた、Cyrixブランドならでは、とも言える。
Cyrixではこの300GPを「Pentium II 300MHzと同等性能」としていることから、実際に記録するベンチマーク結果などが気になるところだが、それについてはFlip-Flapが入荷と同時にテストしてホームページ上に掲載しているデータが参考になる。それによると、実動作クロックが大幅に上がった影響もあるのか、トータルではPentium II 266MHz程度の数値しか出ていないものの、特にビジネスアプリケーションなどで威力を発揮すると言われている整数演算では際立った性能が出ており、Pentium II 300MHzを遥かにしのぐ好結果が出ている。100MHz×2.5にクロックアップして動作したという報告例もあるので、浮動小数点演算を多用するゲーム用途でもなければ、かなりコストパフォーマンスの高いCPUという見方もできる。価格もこれから徐々に下がっていくと予測する向きも多く、純粋に実用とコストパフォーマンスでCPUを選ぼうという人には気になる存在かもしれない。
実のところ、M IIの本命は今回の300の次に出てくる333と350にある。これで初めて0.25ミクロンルールで製造された製品になり、ベークロックも新標準の100MHzに対応し、それぞれ×2.5（250MHz）、×3（300MHz）で動作する。この場合、クロックアップ耐性のことも考えると、いったい整数演算の性能はどこまであがるのか、実に興味深いところではある。
とにかく、現状の300の実売価格がPentium II 233MHzとCeleron 266MHzとほぼ同等の2万円後半というのが悩ましいところ（もう少し安いとインパクトも大きい）。価格設定とイメージアップ戦略さえうまく行けば、意外と面白い動きも期待できそうなのだが。このあたりは、Cyrix全体の動きも含めてしばらく目を離さず推移をチェックしておく必要がありそうだ。
□Cyrix
http://www.cyrix.com/
http://www.nsjk.co.jp/cyrix/
・MII
http://www.cyrix.com/mii/mii-main.htm
http://www.nsjk.co.jp/cyrix/6x86MX/Technical/mii.html
□FlipFlapによるベンチマーク結果
http://www.flipflap.com/whatsnew/whatsnew.html#m2
http://www.flipflap.com/whatsnew/m2bench.gif
[撮影協力:A-MasterとNC-market]
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