1998年7月18日号


DynaBook提唱者のアラン・ケイ氏がアキバでお買い物
おみやげはSONYのグラストロン3個

Dynabookギャルと..DynaBookSSの前で
【Dynabookギャルと..】【DynaBookSSの前で】
ミニノート物色中とんかつを箸で食べるアラン氏
【ミニノート物色中】【とんかつを箸で食べるアラン氏】

 アラン・ケイ氏(Alan C. Kay)をご存知だろうか。'70年代、あらゆる人が鉛筆や紙や本のように使える理想のコンピューター“DynaBook”構想を提唱した歴史的人物だ。この構想をベースに、スティーブ・ジョブス氏らが作ったのが、Macintoshの前身であるLisa。DynaBookには、その当時はまだ誰も思いつかなかったウィンドウタイプのインターフェース(GUI)、平面のビットマップディスプレイ(LCDなど)、キーボードのない手書き認識などが想定され、まさに今ではパソコンの原形とも呼べる内容になっている。その意味では、彼は現代パソコンの父と言ってもいいのかも知れない。彼が考えた最終的な仕様(最後は板のような形状で、まさに紙のように誰でも使えるようなものにならなければならない)の実現は、まだまだ先になりそうだが、確実にゴールに向かって近づきつつある。DynaBookというと、東芝のノートPCをすぐに思い浮かべてしまうけれども、実はもっと深い歴史的な意味がある。

 そのアラン・ケイ氏は今はWALT DISNEY Imagineering R&DのVice President。プログラミング環境Smalltalkの創案者でもある彼は、現在PDAなどでも使える移植性の高いシンプルなフリーソフト版Smalltalk「Squeak」の開発支援もしている。

 Squeak開発者らと来日していた彼は18日(土)、忙しい合間を縫ってアキバに買い物へ。とにかくカラーLCDを搭載した製品に興味があるとのことで、いくつかのショップでPDAやノートを中心に物色。本当は反射型カラー液晶を搭載したザウルスの購入を熱望していたのだが、もちろんまだ発売されていないために、これは断念。日本人としては、どうしても東芝のDynaBookと結び付けたいところだけれども、店で新型の超薄型モデルを見て驚いたり、アキバの路上で発見したDynaBookのキャンギャルと記念写真を撮ったり(彼は右手人差し指でわざわざミニスカートについていたDynaBookのロゴを指差した)はしたものの、購入の意志は初めからなかった様子。ちなみに、DynaBookのロゴ付き団扇をもらって喜んだりもしていた。

 「まだアメリカには来てない日本の新しい技術の製品はないか」と新しいモノに貪欲だった彼にとって、アキバははたしてどんな街にみえたのだろうか。短いショッピングを楽しんだ彼は、結局SONYのグラストロン3つを購入して帰っていった。


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