1998年9月19日号


HDDの騒音を解決?HDDサイレンサー「SilentDrive」
防音材付きBOXでHDDを密封する単純構造

SilentDriveSilentDrive内部
【SilentDrive】【SilentDrive内部】
上から見た図HDDを内蔵したところ
【上から見た図】【HDDを内蔵したところ】

 日本では狭い家屋が当たり前という住宅事情もあって、「HDDの騒音」に悩まされているパソコンユーザーは多い。一人暮しや一戸建ての個室でパソコンを使用している人ならともかく、マンションやアパートで家族と一緒に暮らしている人にとっては、家人からのクレームもあって悩みは深刻だ。そんな日本特有の「悩み」を解消してくれそうなのが、HDDサイレンサーとでもいうべきアメリカ製の「SilentDrive」。ニーズの高さを物語るかのように、販売を始めたアキバのショップではたちまち完売してしまったという。

 「SilentDrive」は、Silent Systemというアメリカのメーカーが開発した製品で、同社は特許も取得している。そう聞くとかなり高度なものをイメージしてしまうかも知れないが、実際には製品の構造はかなり単純。外観も、黒い弁当箱のようなプラスチックケースが一つあるだけ。中には防振ゴムとスポンジと金属板が入っており、この中にHDDを入れて密封するという実にシンプルな仕組み。電源ケーブルと信号ケーブル(IDEもしくはSCSI)は、蓋にあたる部分に用意されている細いスリットから外に出すようになっている。実際にはかなり分厚いスポンジでケーブルを挟み込んでいるため隙間はなく、基本的にそこから音が漏れることはない。ただ、HDDを完全密封してしまうと今度は熱の問題が出てしまうため、ケースの数ヶ所に熱を逃がすための穴があり、またドライブベイに取りつけるための金具も放熱板の役目を兼ねている。3.5インチHDDをこのケースに入れ、あとは5インチベイに装着すれば取り付け作業は完了。構造が単純なだけに、取りつけるまでの作業も実に単純だ。

 さて気になる効果のほどだが、実際にやってみたところ確かに効果があり、まったく無音とまでは行かないものの、体感で元の2分の1程度には音が抑えられるようだ。モーターの回転から発生する高周波の「キーン」という音や、ヘッドが移動している「ジリジリ」という音が明らかに小さくなっている。これならば、かなりの人に有効なものとして使えそうだ。実験で録音したサウンドファイルを掲載するので、興味のある人は実際にその差を耳で確かめてみて欲しい。ただし、時間の都合などもあり、厳密なテスト環境で行なったものではないため、あくまでも「参考程度」にとどめていただきたい。

テスト結果 SilentDriveなし:(約1分,約500KB) sdoff.wav
SilentDriveあり:(約1分,約500KB) sdon.wav
(注)「チッチッ」という定期的なノイズは録音機器側で発生しているもの。「PCの電源ON→ビープ音→Windows 95をロード→Windows 95起動時のサウンド再生」というシーケンス。

 「SilentDrive」の問題点は、やはり構造上どうしても避けられない放熱の弱さ。メーカー側も、発熱の大きい5,400rpm以上の高速回転ドライブには使用しないよう条件をつけている。そもそもHDDは製品によって発熱の大きさに差があり、根本的に通気無しで使用することは考慮されていないため、どうしてもSilentDriveを利用する際にはそれなりのリスクが伴うことになる。どうしても使いたいという人は、この点を良く理解した上で使うべきだろう。

 まさに日本のパソコンユーザーのために生まれてきたような「SilentDrive」。まだ一部のショップでしか販売されていないものの、ここでの評判次第では多くのショップへ出回ることになり、大ヒットとなる可能性もありそう。今のところ扱っているのはUSER'S SIDE秋葉原店USER'S SIDE本店のみで、価格は3,980円。来週にも再入荷する予定があるそうだ。

□Silent Systems
http://www.silentsystems.com/
・SilentDrive
http://www.silentsystems.com/oem/silentdrive.htm

[撮影協力:USER'S SIDE秋葉原店]


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