1998年10月24日号 |
予定通りでなかったのは注目されていた「Ultra ATA/66対応」について。代理店側は発売前に対応をうたった資料を配布し、一部ショップが店内にそれを張り出すなどして注目を集めたものの、出荷された製品をチェックしてみれば、マニュアルを含めてどこにも「Ultra ATA/66対応」の記述はなし。なおかつ、来日していたVIAの技術者に対してApollo ProのUltra ATA/66対応について質問したところ、「現在使用しているサウスブリッジVT82C596は対応していない。対応するのはVT82C596Aからの予定だ」との返事。P6PRO-A5で使用されているApollo Proのサウスブリッジはまさに非対応のVT82C596だった。VIA自身が5月の時点で一度VT82C596がUltra ATA/66対応と発表していたことを考えれば、混乱の大元はVIAとも言えそうだが…。
もともとApollo Proチップセットにはいくつかのバリエーションがあるようで、先日販売されたFIC VB-601-Vには440BXチップセットとピン互換のタイプが搭載されており、今週P6PRO-A5のほかに初登場したExpertColor MVP8961には、サウスブリッジにMVP3と同じVT82C586Bが使われていたタイプが搭載されていた。VIAによれば、このうち440BXチップセットとピン互換のタイプは出荷をやめたとかで、なにやら状況が混沌としている。
謎めいたところがあり、かつ安くてスマートケーブルまで付属しているという意味では、まさにP6PRO-A5はマニア心をくすぐる製品なのだが、はたしてウケるだろうか?
□Tekram
http://www.tekram.com/
・P6PRO-A5
http://www.tekram.com/hot_products.asp?Product=P6Pro-A5
[撮影協力:USER'S SIDE槇町店]
パッケージのデザインは質素なもので、全体がシルバーの箱に黒字でCyrix M II PROCESSORと書いてあるほかは、CPUのモデル名がブルーの短い帯のようなシールに記されているというだけ。全体を一目で見ると国内大手周辺機器メーカーのメモリ用パッケージにも似た印象を受ける。中身もシンプルなもので、CPU本体と日本語マニュアルと保証書、それに金色のM IIエンブレムが入っているだけ。なんとCPUクーラーが入っていないというのだから驚き。必需品のCPUクーラーを、ユーザーが別途他社製のものから選んで使用しなければならないというのであれば、組み合わせによる動作保証問題がちょっと不安ではある。
バルクM IIに対して、「保証書+日本語マニュアル+金色M IIエンブレム」の追加要素でどれだけ価格差が出るのか、それが購入する際の評価ポイントになりそう。ちなみに、バルクのM IIを購入した時でも、ツクモパソコン本店IIなどでは、銀色のM IIエンブレム(金色ではない)をプレゼントしている。
□ナショナルセミコンダクタージャパン(株)
http://www.nsjk.co.jp/cyrix/
[撮影協力:PCiN秋葉原]
機能強化版といっても、実際にはPCIスロットが5本になったことと、DIMMスロットが3本から4本になったこと、ベースクロック124MHzに対応したこと(最大133MHz)、AGPへのクロック供給をベースクロックの1/1(100MHz)もしくは2/3(66MHz)のどちらかに指定できるようになったということくらい。いまどき人気の他社製マザーボードと比較してもそれほど目新しい点はない。「P2B-E」の話題が出始めた当初は、ベースクロックが最大150MHzまで設定でき、100MHz以降は5MHz単位で変更できるとの情報も出たことから期待が持たれていたものの、「P2B-F」でその対応はナシ。むしろ気になるのは、FDDケーブル接続用のコネクタがPCIスロット1と2の延長上中間に平行についていることで、これではFDDケーブルのとり回しがかなり面倒になりそうで不安になってしまう。
各ショップに一斉に出回り、実売価格は21,800円~25,800円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。他社の人気マザーボードがすでに1万円台に突入していることを考えると、価格の点でもちょっとハンデとなりそう。
□ASUSTeK COMPUTER(ASUS)
http://www.asus.com.tw/
[撮影協力:PCiN秋葉原]
設定できるベースクロックをすべて並べると、60/66/75/83/95/100/105/110/115/120/125/130/135/140、ということになる。各設定でAGPやPCIのクロックがどう変動するのかは確認できなかったが、いずれにしてもベースクロック95MHzからすべて5MHz単位でできとしまうというのは前代未聞の超優れモノ。Socket 7で仕様外のクロックを使って遊ぼうという人にはこれ以上ないマザーボードと言えそう。今週大幅安となったK6-2とセットで購入するのも悪くなさそうだ。
実売価格は14,800円~15,800円とSocket 7では標準的なところではあるものの、在庫ショップは3店とまだ少ない(詳細は「今週見つけた新製品」を参照のこと)。欲しいという人は素早く確保に動くべし。
□Iwill
http://www.iwill.com.tw/
・XA100Plus
http://www.iwill.com.tw/xa100plus.htm
[撮影協力:PCiN秋葉原]
円高も手伝って、440BXチップセット搭載マザーボードの相場は下がりつづけている。今週はDCSのP2BXAという製品で11,980円というビックリ価格が現われている(俺コンハウス)。また、ほかにもCOMPOWER AB-641が12,500円(DOS/Vパラダイス本店)、COMMATE P2BXAが12,500円(コムサテライト1号店)など、12,000円前後は珍しくない状況。さらに言えば、今一番人気の440BXチップセット搭載マザーボードであるAbit BH-6も、今では15,000円前後が相場。このぶんだと、マイナーブランドでは更なる低価格化が進みそうだ。 |
RIVA TNTビデオチップを搭載したビデオカードが今週は一挙に3種類も登場。ひとつはYUAN AGP-500Tで、16MBメモリを搭載してAGP対応、価格は18,500円~19,800円と安い。次はASUSのAGP-V3400TNT。これも16MBメモリ搭載でAGP対応、さらにビデオ出力機能を持っている。価格は22,999円~24,500円。最後はやっと出てきたSTBのVELOCITY 4400。しかもPCI版で、なんといきなりジャンク品扱いという荒っぽい(?)登場。価格は29,800円と高い。こちらも16MBメモリ搭載で、ビデオ出力機能を持っている。RIVA TNTは製品のバリエーションも増え、Voodoo Bansheeよりも勢いはかなりいいようだ。製品それぞれの実売価格や在庫店の詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと。 |