1998年11月21日号

「26351」の新コアK6-2はCeleronを超えられるか?
6倍速設定を持ち、クロックアップ耐性も向上

26351新タイプK6-2の裏
【26351】【新タイプK6-2の裏】
HDBENCHCPUID
【HDBENCH】【CPUID】

 このところCeleronに話題を奪われっぱなしだったK6-2に、再び注目が集まり始めている。K6-2/380や400の発表、K7のデモといったAMDの動きが影響しているのはもちろん、なにより「26351」と呼ばれる新タイプのK6-2がショップに出回り始めたということが大きい。一部ショップには、この新タイプを探し求める客がすでに出没し始めており、電話での問い合わせや、「新タイプか旧タイプか確認したいので、在庫中の実物をショーケースから出して見せて欲しい」と買い物客から依頼されるケースも出始めているという。

新タイプはK6-2/380や400と同じコア?

 この新タイプは、10月頃から海外で「新コア」ではないかとの噂が流れていたもので、CPUコアの改良がなされ、パフォーマンス改善とクロックアップ耐性が高くなっていると言われている。実際、ネット上ではすでにこの新タイプのK6-2/300を入手し、400MHz超のクロックで動作させているという例がいくつも報告されている(クロックアップはメーカー保証外)。CPU IDを調べてみると確かにSteppingの値が「C」(ツールによっては12と出る)という今までにない値になっている。これは中身が確実に変わっていることを示している。データシートをあたってみると、この新タイプ(Stepping 8からF)では、Write Allocate関連の仕様が変更されており、制御レジスタbitの位置変更とbit幅拡張、さらにWrite Merge Bufferという複数の書きこみを1回でまとめて行う機能が追加になっていることがわかる。

 新タイプの見分け方は簡単。K6-2を真上から見ると、左下の部分に必ず5桁の数字がマーキングされている。これが「26351」だと新タイプ。マーキングの方法は、セラミック部分に掘り込まれているものと、金色の字で書かれているものなど、何種類かあるので注意。旧タイプは「26050」となっているため、末尾の数字が「0」か「1」かを見れば素早く確認できる。この「26351」というのは、K6-2/380とK6-2/400にははじめから適用されているようで、アキバの一部ショップで展示とデモが行われている両者の実物を見てみると、いずれも「26351」と書かれていた。逆にいえば、一部に出回り始めた「26351」のK6-2/300は、K6/2-380や400の選別で落とされたもの、とも考えられる。今のところ、この新タイプはK6-2/300でしか確認されていないが、今後は現行モデル全てが徐々に切り替わっていくものと考えられる。

新タイプは内部6倍速設定も持っている

 ただし、アキバにはまだ新タイプの流通量は少なく、貴重な存在。21日(土)に探し回ったところでは、K6-2/300の新タイプを在庫していたのはCOMTRADERのみ(11,500円)で、これも夕方の時点で残り1個となっていた。このK6-2に関してはアメリカから輸入で仕入れたものとのことで、このことから推測すると、海外ルートから入ってくるK6-2には新タイプが含まれている率が高いのかも知れない。また、あるショップの調べでは、K6-2ではなくK6で「26351」マーキングのものがあったという話もある。なお、この新タイプからマーキングが一部変更になったのか、同店で販売されていた実物を調べたところ、CPUの型番を示すマーキングには「AMD-K6-2 300AFR-66」と、「-66」という数値が新たに加わっていた。デートコードは「9844」('98年第44週)だった。

 データシートによると、新タイプには内部倍率6倍という設定も用意されている。2倍の設定にすると6倍と認識するわけだ。こうなると、ベースクロックを下げて内部倍率を上げるという方法も使えるわけで、マニアックな人たちにはこれだけでも人気が出そうだ。

 マニアたちの間では、K6-2/300で400MHz超が簡単に出るのなら、K6-2/380や400を使ったらどこまでいくのか、などと早くも皮算用が始まっている。言うまでもなく、K6-2のシェアをさらうかのようにCeleronがこれほどまで人気が高まり、「Celeron 450MHz」がマニアの間で常識化したのは、そのクロックアップ耐性の高さのため。今度のK6-2新タイプは、まるでその逆襲かのようにも思えなくもない。

 はたして、「26351」はCeleronを超えることができるのかどうか。うまくいけば、Slot 1に押され気味のSocket 7(Super 7)も、また人気を取り戻せるかも知れない。



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