1998年12月5日号 |
Pentium IIのSECC2形状への移行が始まる
350MHzリテールパッケージのSECC2版が登場
【SECC2(1)】 | 【SECC2(2)】 |
【SECC2(3)】 | 【シール】 |
【型番表記】 | 【新ロット!】 |
【SECC2リテンション提供】 | 【マニュアルより】 |
SECC2版として出回っているのは、今のところPentium II 350MHzのリテールパッケージのみで、代理店側はショップに対して「Pentium IIはこれを皮切りに、全モデルが順次切り替わる」と説明している。販売ショップなどのデータは「今週見つけた新製品」参照のこと。
●SECC2はSECCの簡易版
SECCは「Single Edge Contact Cartridge」の略で、基板上にCPUコアと2次キャッシュを個別に搭載し、これをファミコンカセットのように全面カバーで覆った形状のこと。つまり、見慣れている今までのPentium IIの形状がこれにあたる。一方のSECC2は、SECCの簡易版とでも言うべきもので、基板表面の片側だけをカバーする簡単なプラスチックカバーをつけただけのもので、基板などは基本的に丸見えになる。構造的には、CeleronのSEPP(Single Edge Processor Package)とほとんど変わりがない。
実際に確認したSECC2版Pentium II 350MHzは、リテールパッケージのため、すでにCPUクーラーも装着された状態になっている。クーラーはCeleron用によく似た形状のものが使われている。細かいところを見ると、2次キャッシュのチップがCPUクーラーとまったく接触しない構造になっている点が目新しい。従来は、CPUコアの部分と2次キャッシュチップが放熱板に接触していたのだが、このSECC2版では2次キャッシュチップはどこにも接触しておらず、自然放熱に任されている。またプラスチックカバー上に製品型番などがマーキングされているが、これが今までのフォーマットと変わっていて、「350/512/100/2.0V S1 18440550-0019 Philippines '97 SL37F」というように、Pentium II Xeonと同様のわかりやすいスペック表記になっている。
●Retention Kitに注意が必要
この形状変更により、エンドユーザーが直接影響を受ける点は、CPUをマザーボードに固定するためのRetention Kitが変更になること。従来のSECC用のものではなく、SECC2サポートをうたった新型か、Celeron用のタイプを使わなければならない。最近のマザーボードに付属しているものは、少なくともCeleronでも使えるはずなので、特に影響はなさそうだが、古いマザーボードで使おうという人は別途入手しなければならない。また、調べたところ、Intel SE440BX-2やASUS P2B新ロット、P2B-VMといったごく最近出荷されたマザーボードは、SECC2を含む全サポートをうたったRetention Kitが付属しているほか、マニュアルにもきちんとSECC2の場合の装着方法までが解説されている。
●SECC2版の見分け方
リテールパッケージの外観デザインにまったく変更がないため、パッケージに印刷されている製品写真(SECC)と実際の内容物(SECC2)が異なる状況になっており、ショップで一見しただけでは、SECCかSECC2かの判別はできない。見分け方のポイントは、リテールパッケージ横に貼りつけられたシールで、型番や生産国などのデータのほか、SECC2の場合には「Package : S.E.C.C.2」「S.E.P.P or Universal Retention Mechanism(URM) Required」との記述がなされている。
SECC2と言っても、実質的にRetention Kitに関する注意だけ守ればよいだけのため、認知度さえあがれば移行に大きな支障はなさそうだ。ただし、認知度0の現状ではショップ側が対応するしかなく、「SECC2版」と店頭で明示して販売している例がいくつか見られるほか、Retention Kitに関して、マザーボード購入時にSECC2対応版を無償提供するというサービスを行うショップもある。なかには、「Pentium II 350MHzの次回入荷分がSECC2版になると代理店が知らせてきたので、急いでSECC版の在庫を探して確保した」と言うショップもあり、サポートの負担が増えるなどの点でSECC2版は今はなるべく避けたいと考えるショップもあるようだ。
●KatmaiもSECC2
もともとは、SECC2はKatmaiから採用されてると言われていた形状で、それが前倒しになってPentium IIにも適用された格好。基本的にはコストダウンのための変更だが、製品写真も変えずに、リテールパッケージの中身をまず入れかえるというのはやや強引で、しばらく認知度があがるまで多少の混乱は起きそうだ。
Pentium IIの購入を考えている人は、「SECC2版というのもあってRetention Kitには注意」ということだけは頭に入れておこう。
□Intel
http://www.intel.com/
・Pentium II Processors Quick Reference Guide(SL356 SECC2)
http://developer.intel.com/design/pentiumII/qit/database/SL356.htm