1998年12月19日号

「全身がヒートシンク」という総アルミボディのPCケースが登場
WinDyでおなじみの星野金属工業がPCケースを開発

WinDy MT-PRO2000横WinDy MT-PRO2000表
【WinDy MT-PRO2000横】【WinDy MT-PRO2000表】
オプショナルパーツロレットネジ
【オプショナルパーツ】【ロレットネジ】
各所にWinDyのマーキング製品箱
【各所にWinDyのマーキング】【製品箱】

 なんとも凄いPCケースがやってきた。世にも珍しい総アルミ製のミドルタワーで、メーカーは「全身がヒートシンク」だと豪語している。冷却性のほかにも高剛性とメンテナンス性を兼ね備えたというこの国産製品、価格も約35,000円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)と並ではない。

WinDyで知られる星野金属工業製

 開発したのは、CPUクーラーのWinDyブランドで知られる星野金属工業。国産ならではの高品質のオリジナル製品をつくるべく、市場に出ているさまざまなケースを研究して開発したそうで、パンフレットには「日本の技、日本だから日本人だからできる仕事があります」などという文句まで踊っている。

 製品名は「WinDy MT-PRO2000」。一般的なスチールに比べて熱伝導率が2.4倍も高いアルミ材(A5052)を使用して作られたケースで、例外はフロントパネルのプラスチックとマザーボードI/Oパネル部分のステンレスなど一部だけ。外側のカバーすらアルミ材で作られ、まさに「全身がヒートシンク」といった構造になっている。さらに特徴は冷却性だけにとどまらず、メンテナンス製や静粛性、高剛性などの点も挙げられる。例えば、使われているネジのほとんどはドライバー要らずのロレットネジ(手回しネジ)で、拡張カードのブラケットや外側カバーの取り外し、ドライブベイの取り外しも一切ドライバーが必要ない。また、加工した部分のバリはなく、大きく切削加工した部分には手を切らないようにカバーが取りつれられている。パンフレットによると、精密な加工と設計のため強度が高く、ねじり強度試験と落下試験でも優秀な結果を出し、共鳴によるビビリ音もシャットアウトされているそうだ。実際に人間の手でケースへ無理な力をかけてみても、確かに微動だにしない。

 この「WinDy MT-PRO2000」にはHDD増設用のオプショナルキットも用意されている。ケースのフロントからリアにかけてとりつける3.5インチ幅のアルミ材レールとファンなどがセットになったもので、レールにはHDDを2台まで設置でき、ファンはフロント部にとりつけるかたちになる。こうすることで、ちょうどフロントからリアへレールに沿った風の流れができ、アルミ材でHDDの熱を逃しつつ、さらに確実な送風ルートで放熱されるという仕組み。このキット、始めから同梱されていてもよさそうなものだが、これをつけるとケースの価格が実売で4万円を超えてしまうのでオプションにしたそうだ(オプション単体の実売価格は約5,000円)。

高くても売れ行き好調?

 アルミ材で作られたことによるともうひとつの利点は重量が軽いこと。実際に持ってみると、「これがケースか?」というくらいに本当に軽い(5.8Kg)。これなら、アキバで購入して手持ちで帰るのもずいぶんと楽だ。

 このケースの魅力は、質感も含めて実物を見たり触ったときに初めてわかるものなのかもしれない。実際、代理店も口頭ベースで各ショップに営業した段階ではほとんど相手にしてもらえず、サンプル品を持ちこむ段階になってからは次々と注文が入るようになったそうだ。現在販売しているショップも多数あり、価格の高さにもかかわらず、一部のショップでは発売日の18日(金)のうちに完売してしまい、急遽19日(土)に再入荷したというところもある。前宣伝がほとんどなかったにもかかわらず、一目見て購入していく人が多いそうだ。アキバでは各ショップで実物を展示中なので、興味のある人は見に行ってみるといい。

 最近はCPUクーラーを中心に冷却関係の製品に人気と注目があつまっているが、このケースも唯一無二の製品として、ちょっとした人気を呼ぶことになりそうだ。

[撮影協力:ツクモパソコン本店IIBLESS]


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