1998年12月26日号

読者が決める'98年10大ニュース投票結果発表
やっぱり1番のキーワードは「100MHz」

 読者に投票していただいた'98年10大ニュースの結果をここで発表しよう。

 投票受付期間:12月14日~12月21日
 総有効投票数:12,325票

'98年はベースクロック100MHz時代の幕開け

100MHz本番!! 100MHz Bus
 1位には、やはり「Slot 1とSocket 7のベースクロックが100MHzへ移行」が選ばれた。PCのベースクロックがこれまで長いこと標準だった66MHzから一気に100MHzまで引き上げられるとあって、対応製品が出る直前までは誰もが「CPUやメモリがはたして本当に100MHzで安定動作するのか、価格があがるのではないか、しばらく混乱するのではないか」などとやきもきしたものだが、4月15日に440BXチップセット搭載Slot 1マザーボードが登場したのをきっかけに、否応もなく100MHz時代へと突入することになった。

 Socket 7もSlot 1に少し遅れたものの、5月22日にAMD K6-2が登場して全ての環境が整った。移行が始まってみれば、大きなトラブルもなく、当初は高嶺の花で唯一の『移行への壁』だったPC/100メモリも急速に価格が下がり、今ではSIMMや従来のSDRAMよりも安いという状況。たった半年強で、すっかりベースクロック100MHzが当たり前の環境になってしまった。これをきっかけとしてPCの大幅アップグレードを行ったという人も多いに違いない。'98年はまさに100MHz時代の幕開けだった。

3D対応ビデオカードの熾烈な性能・価格競争

待ってましたVoodoo2 RIVA TNT
 2位に選ばれたのは「3Dビデオカード戦国時代、高性能化と低価格化が劇的に進行」。ビデオカードの性能・価格競争は何も今に始まったことではないが、今年のそれは特に激しかった。

 3月の3D専用ビデオチップVoodoo2を搭載したビデオカードの発売でまず火がつき、発売直後は稀に見る大争奪戦に。後の製品は全て性能面でVoodoo2と比較され、7月には前評判で「Voodoo2キラー」と言われたG200搭載のMillennium G200が登場。実際にはそこまでの性能は出なかったものの、2D/3D兼用としては高い評価を得て人気製品に。そして、9月には16MBものビデオメモリを積んだRIVA TNT搭載ビデオカードが発売され、Voodoo2に迫る3D性能と2Dの画質+性能というバランスの良さで人気を獲得。10月にはVoodoo2の性能をほぼ継ぎながら、2D機能まで盛り込んだVoodoo Bansheeビデオチップを搭載した製品がデビューし、性能はもちろん、その価格の安さで本格的な価格競争に火をつけた。BansheeとTNTは今や2大ライバルで、16MB搭載ビデオカードでどちらも1万円前半という実売価格になっている。

 このほかにも、i740やSavage3D、Ticket to RideIVビデオチップも出たものの、これらは苦戦…。製品もドラマも数多く生まれたのが、このビデオカード市場だった。ビデオカード競争も「生き残りをかけた戦い」と言われて久しいが、まだ決着はついていない。激戦はまだしばらく続きそうだ。

極めて高いコストパフォーマンスでCeleronが大ブレイク

Celeron入荷しました Celron SEPP Type
 3位は「予想に反してのCeleronブーム」。最初に発表されたCeleron 266MHzと300MHzには2次キャッシュがなかったため、「Celeronは売れない、短命で終わる」などとさんざんな前評判がたったものの、いざ4月に発売されてみれば、その価格の安さとメーカー保証外のクロックアップ耐性の高さでマニアを中心に人気が爆発した。ショップも堂々とクロックアップしたCeleron搭載PCをデモし、クロックアップが当たり前という風潮になってきたのもこの頃から。

 その後、8月に入って2次キャッシュ内蔵Celeronの300A MHzと333MHzが出て、人気がさらに過熱。同じ動作クロックのPentium IIとほぼ同じ性能を出しながら、価格が安くクロックアップ耐性も高いということで、クロックアップが容易な300A MHzのほうが333MHzよりも価格が高いという逆転現象も発売直後からしばらく続いた。また、この2次キャッシュ付きCeleronが出てからは、マザーボードの売れ筋もCeleron対応度とクロックアップ用に使える設定の豊富さで左右され、今ではAbit BH-6(440BXチップセット搭載マザーボード)とCeleron 300A MHzの組み合わせが定番となっている。ことアキバの自作PC市場に関して言えば、'98年後半はCeleron一色とも言える過熱ぶりだったことは間違いない。

K6-2の登場で一時はSocket 7の人気が頂点に

K6-2入荷しました Pentium II SL2W8ロット
 Celeronに続き、4位に入ったのは「AMD K6-2の登場でSocket 7の人気頂点に」。K6-2はSocket 7で初めてベースクロック100MHzをサポートしたCPUで、3Dゲームに特化した命令セット3DNow!を搭載したことでも注目を集めた。AGPとベースクロック100MHzに対応したSocket 7用チップセットが複数出てきたことから対応マザーボードも種類が豊富になり、2次キャッシュ付きCeleronが出るまでは完全に市場をリードした。今はCeleronに押され気味のK6-2だが、年末近くには新コアが登場して話題になり、K6-3への期待も高まって注目度は相変わらず高い。

 このほか、5位にはCeleronやPentium IIの特定ロットを対象に大ブームとなった「CPUクロックアップ(オーバークロック)の浸透」が入り、価格変動やCD-Rの普及といった周辺機器に関する話題も上位に入った。

 全ての投票結果を見ると、今年1年間どこに多くの人たちの関心が集まり、そしてその逆はどこだったのかが一目瞭然になって面白い。全投票結果を下に掲載するので、今年1年を振り返りながら、自分自身とほかの多くの人達との関心事の差を比べてみるといいだろう。

 順位    ニュース/解説
1位
(1,283票)
Slot 1とSocket 7のベースクロックが100MHzへ移行
(Slot 1は4月に、Socket 7は5月にベースクロック100MHz化)
2位
(1,115票)
3Dビデオカード戦国時代、高性能化と低価格化が劇的に進行
(Voodoo2、i740、G200、RIVA TNT、Banshee、T2R4など)
3位
(999票)
予想に反してのCeleronブーム
(クロックアップ耐性の高さからCeleronの人気が予想外に過熱)
4位
(893票)
AMD K6-2の登場でSocket 7の人気頂点に
(K6-2は5月に販売開始、対応マザーボードに人気が集中)
5位
(878票)
CPUクロックアップ(オーバークロック)の浸透
(クロックアップに適したCPUとマザーボードに人気集中、上位製品との価格の逆転も)
6位
(873票)
CD-Rメディアとドライブの低価格化と普及
(4倍速ドライブは3万円割れ、PD対応CD-Rや8倍速CD-Rドライブの登場)
7位
(777票)
IDE HDDの高速化と大容量化、および価格の下落
(主流が4GBから8GBへ、7,200rpmも登場、年末には10GBが2万円後半に)
8位
(609票)
Windows 98の発売と対応製品の登場
(7月の深夜0時販売は意外な盛り上がりを見せ、USB対応製品などが続々登場)
9位
(575票)
メモリ価格の下落続く
(SDRAM 64MBは1年で2万円前半から1万円割れと、半額以下に)
10位
(555票)
PC/100規格SDRAMメモリの登場と普及・低価格化
(1月後半から出まわり始め、4月の440BXチップセット登場から価格急落)

11位
(394票)
AGP対応ビデオカード製品の普及
(PCIバス対応の製品からAGPへの移行が進む)
12位
(349票)
マウスやスキャナなどUSBデバイスの普及
(Windows 98発売の7月以降にマウスなどを中心にUSB対応機器が増えた)
13位
(301票)
老舗ショップのA-Masterが破産して閉店に
(DOS/Vブーム初期から営業していた老舗が9月に閉店)
14位
(292票)
DVD-ROMとDVD-RAMドライブの普及、ソフトDVDの発売
(DVD-ROMドライブは低価格化、DVD-RAMは4月、ソフトDVDは11月発売)
15位
(273票)
秋葉原でアニメ・同人誌系ショップが急増
(アニメ・同人誌系ショップが乱立し、パソコンショップと混在)
16位
(272票)
3Dゲーム用命令セット「3DNow!」搭載のCPUが発売に
(K6-2とWinChip 2が3DNow!に対応、ゲームソフトも一部対応)
17位
(262票)
PCIサウンドカードの製品種類増え、低価格化と普及進む
(YMF724チップが話題になりPCIサウンドカードが一気に普及、Sound BlasterシリーズもPCIに)
18位
(217票)
Pentium Proに代わってPentium II Xeonが登場
(サーバー用CPUとしてPentiumProが姿を消し、8月にXeonが登場)
19位
(187票)
PCIモデム/サウンドカードの普及とISAデバイスの衰退
(モデムもPCIバス対応製品が出まわり、ISAデバイスはほとんど市場から姿消す)
20位
(168票)
デジタルI/Oを搭載したサウンドデバイスが流行
(MP3と関連して、SB Live!やDA-Port USBなどデジタルI/O対応が人気の的に)
21位
(146票)
Intel互換チップセットの種類増加と混乱
(Socket 7を中心に互換チップセットの種類が増え、AGPの互換性問題も話題に)
22位
(140票)
マザーボードのさらなる低価格化
(人気製品でもSlot 1は1万円中盤、Socket 7は1万円前後に)
23位
(135票)
各メーカーのCPUラインナップの幅が広がる
(ローエンドからハイエンドまでCPUのモデル数が飛躍的に増える)
24位
(105票)
カラー基板を採用した製品が流行
(赤いマザーボード、青いビデオカード、スケルトンカラーのHUBなど)
25位
(104票)
Ultra2 SCSIインターフェイスの登場と普及
(Adapatec AHA-2940U2Wは1月、対応HDDは3月下旬に発売になった)
26位
(100票)
CPUクーラー製品の高性能化と多様化が進み、人気商品に
(風神、Windy、水冷式などなど)
27位
(99票)
ケース用エンブレムの流行、CPUの名前からエヴァンゲリオンまで
(PC本体のケースに取り付けるオリジナルエンブレムがブームに、人気定着)
28位
(69票)
microATXとNLXフォームファクタの登場
(NLXは1月下旬、microATXは5月に販売開始、静かなブームに)
29位
(52票)
WinChip C6とWinChip 2シリーズの人気定着
(WinChip C6は昨年12月末、WinChip 2は11月から販売開始)
30位
(38票)
ノート用MMX PentiumをSocket 7化した「黄金戦士」が販売される
(台湾製の改造CPUが秋葉原で6月に販売される)
31位
(34票)
Cyrixの新Socket 7用CPU、M IIが登場
(6x86MXのブランド名を変えたM IIが5月に登場、いろんなバージョンも)
32位
(31票)
Intelに続き、AMDとCyrixからもCPUの日本語リテールパッケージが発売に
(AMDは9月、Cyrixは10月下旬から日本語リテールパッケージ発売)


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