1999年1月15日号

Celeron 300A MHz SEPP版にさようなら?
ダントツ人気の300A MHzを巡るあれこれ

きみのことは忘れない300A完売
【最後の入荷です】【300A完売】
クロックアップ動作保証変換アダプタ入荷
【クロックアップ動作保証】【変換アダプタ入荷】
300Aと333が同価格PPGA版本当に出ました
【300Aと333が同価格】【PPGA版本当に出ました】

 PCマニア達に今もっとも人気のあるCPUと言えば、それはもちろんCeleron 300A MHz。もとの基本性能が良いうえに、クロックアップ耐性が高く、価格も安いとなれば、そうなるのも当然だ。しかし、その300A MHzを巡って、最近暗い話題が多くなってきている。最近出まわっている製品はクロックアップ耐性が落ちているという話題がのぼっているほか、Celeron 366MHzと400MHzの登場と時を同じくして、300A MHzが製造中止になってもう手に入らなくなるのではないかという話が急速に盛り上がっている。実際、アキバでは店先に「これが最後の入荷です」と大きく掲示するショップも現れ、また一部のショップでは価格上昇の動きも出ている。

「さようなら、君のことは忘れない」

 アキバ界隈では、もはやCeleron 300A MHzの入手困難話は常識になっている。各ショップに聞いてみても、特にSEPP版の300A MHzは今後の入荷予定が立っていないというところが多く、正規代理店からはっきり「もう入らない」と言われたと証言するショップもある。そして、こうした話を象徴しているのが、現在あるショップの店先に掲げられているCeleron 300A MHzに関する張り紙。

 そこには、こう書かれている。

 「さようなら きみの事は忘れない 超お待たせしました。 Slot 1用Celeron 300A リテール入荷!! 最後の入荷です。本当にさようならです!!(;_;) 今後はPPGA版Socket 370になっちゃいます」

 つまり、今回入荷した分を最後に、もうCeleron 300A MHz(SEPP)は入荷しないと堂々宣言しているのだ。そして、今後はSocket 370用のPPGA版のみに切り替わってしまうとも言っている。この内容からすると、Celeron 300A MHz自体が全てすぐになくなってしまうわけではなく、SEPP版だけが消えて代わりにPPGA版のみが出まわるというように解釈できる。しかし、実際にはこのあたりの情報は流通経路でやや錯綜しており、PPGA版も含めて300A MHzの全てがもう手に入らなくなるというところもあれば、海外ルートからまだしばらく流通在庫も含めてとれるし、バルク品はまだ流通するので心配ないと楽観視する向きもある。

 いずれにしても、300A MHzはデスクトップPC用CPUとしては事実上Intelの最下位製品であり、ラインナップから消える日がもっとも近い存在にあることは確か。どの段階にあるのかはともかく、流通量がすでに絞られる方向に動いていることもまた事実。泣いても笑っても、そう長く続く製品ではない。これまでCeleron 300A MHzは確実に自作PC市場を熱くし、ショップ側も、もっとも売れる商品として重宝してきた。それが急になくなってしまうというのだから、ショップとしても思わず「さようなら、君のことは忘れない」と、悲哀のこもった文学的名文句を頭に浮かべることになったに違いない。

救世主はSlot 1→Socket 370変換アダプタ

 300A MHzは、リテールパッケージで約1万円と価格が安く、そのうえ本来66MHz×4.5=300MHzの仕様を保証外の100MHz×4.5=450MHzにして簡単に動かせてしまうというところがPCマニア達にとっての最大の旨みになっている。しかし、これも440BXチップセットを搭載し、ベースクロックや電圧値などの設定を各種変更できるSlot 1用マザーボードがあっての話。Socket 370用のマザーボードはまだ種類がほとんどなく、こうした自由度の高い製品もないことから、300A MHzがSocket 370専用のPPGA版に切り替わると、この旨みが事実上なくなってしまうことになる。

 しかし、PPGA版でも300A MHzがしばらく生き残るのであれば、彼らにも救世主となりそうな製品がある。それがSlot 1→Socket 370変換アダプタだ。Celeron 300A MHzのSEPPに「さようなら」を言った後は、このアダプタに「こんにちは」というわけだ。このアダプタは、既存のSlot 1マザーボードをSocket 370対応マザーボードにしてしまう優れもので、構造的にはSlot 1に挿す基板の上にSocket 370が実装されているというだけの単純なもの。GIGABYTE、Abit、Microstar、ASUS、A-MAXなどが製品を出荷する予定で、このうちA-MAXの製品は、予定より少し遅れたものの、16日(土)にはCOMTRADERに入荷することになっている。価格も1,980円と安い。これさえあれば、PPGA版Celeron 300A MHzをこれまで通りSEPP版Celeronと同様に扱うことができ、既存のSlot 1マザーボードで使用することができてしまう(ただしアダプタとマザーボードの組み合わせによって相性の問題が起こる可能性はある)。また、ASUSが最近になってプレスと流通関係者向けに公表した資料によると、同社の製品はアダプタに複数のジャンパが用意され、アダプタ側単独でコア電圧の調整が可能になっている(1.8V~2.6V)。これが出てくれば、むしろ電圧設定が変更できないマザーボードでも電圧が変更できるようになるという意味で、よりマニアックな世界が広がりそうだ。

今が最後の買いどき?

 Celeronに関しては300A MHzに限らず、クロックアップしての動作を保証して販売するショップや、「自己責任で」としながらも店先にクロックアップの実績を明示するところがあるなど、マニア向けの商品としてはいまだに衰えを見せていない。しかし、はたしてこの先どうなるのかはまだ見えない。今はあくまでも過渡期で、マザーボードも含めてSocket 370へと一気に移行していくことになるのかも知れないし、今ではTOM'S HARDWARE GUIDEなどが書いているように、海外発の噂として、ベースクロック66MHzでしか動作させないようにIntelがもうじきロックをかけるという話も流れている。

 一部ショップでは、海外ルートからの仕入価格があがったことからCeleron 300A MHz(SEPP)のリテールパッケージを値上げしたところもあり、価格の面でも動きがもう出始めている。もしかすると、ほんとうに今が最後のCeleron 300A MHzの買い時となってしまうのかも知れない。

[撮影協力:ツクモパソコン本店IIパソコン工房秋葉原1号店]


[ Back ]戻る