1999年1月23日号 |
Socket 370関連製品が続々と登場
簡単な工作でDual化できる変換アダプタに人気集中
【MS-6905パッケージ】 | 【MS-6905】 |
【SmartAdapterパッケージ】 | 【SmartAdapter】 |
【GA-6R7】 | 【TMCサンプル】 |
【MS-6153パッケージ】 | 【MS-6153】 |
●新マザーボードは5(+1)種類
今週になって新たに販売の始まったSocket 370対応マザーボードは、SOYO SY-6VZA(Apollo Pro)、SOYO SY-6ILA(440LX)、Microstar MS-6153(440BX)、Luckystar 6LX(440LX)、Elite P6EXP-Me(440EX)の5種類。これだけ出ていながら、チップセットがそれぞれ違っているというのが面白い。ほとんどが1万円台前半の低価格な製品だが、MS-6153だけは約19,000円と高い。MS-6153はSlot 1対応マザーボードMS-6163のSocket 370版で、CPUのコア電圧をマザーボード側で調整できるほか、ベースクロックが66~153MHzまで15通りも設定できるというマニアックな製品。Celeron PPGA版を極限までクロックアップして遊ぼうというPCマニアに受けそうな製品だ。
さらに、GIGABYTEのGA-686LX+GA-6R7のセット品も、広義ではSocket 370対応マザーボードと言ってもよさそうだ。この製品は、'98年3月に発売された440LXチップセット搭載マザーボードGA-686LX3に、同社製Slot 1→Socket 370変換アダプタGA-6R7をセットにした製品。ちょうど過去の旧製品を変換アダプタで補う格好になっている。これを含めると、今週出回り始めた新たなSocket 370対応マザーボードは実に6種類にも及ぶことになる。
●変換アダプタも計4種類発売に
Slot 1対応のマザーボードでCeleron PPGA版を使うためのSlot 1→Socket 370変換アダプタも、計4種類の製品が販売開始になっている。Elite SmartAdapterとMicrostar MS-6905、さらにメーカー名不明のS370 ADAPTER CARDと、前述のGIGABYTE GA-R67がある。ただし、GA-R67はあくまでも440LXチップセット搭載マザーボードGA-686LX3とのセット販売のみのため、単体販売はされていない。
この変換アダプタには人気があるようで、先週からCOMTRADERが販売を始めたA-MAXの製品もすぐに完売、その後もあまりに問い合わせが多いために、近々大量に再入荷する予定にしているそうだ。そして、いま最もマニアの間で人気が沸騰している変換アダプタが、MicrostarのMS-6905。ツクモパソコン本店IIをはじめとするツクモ各店では平日から販売を始めたところ、全店で週末までに一つ残らず全て完売したという。2,500円という安さも手伝って、購入する人の中には6枚同時に購入する人もいたそうで、電話で問い合わせてくる人も後を絶たないという。
変換アダプタに関しては、FlipFlapが店内でサンプル品を展示しているTMC製のものも含め、ほかにも発売をアナウンスしているメーカーが複数有り、今後も種類が増えるのは確実だ。
●MS-6905の改造で簡単にCeleronをDual化に
さて、MS-6905になぜ人気が集中したかというと、それはネット上に、ある改造情報が掲載され、一気にマニア達の注目を集めたため。なんと、このMS-6905を少し改造するだけで、簡単にCeleron PPGA版のDual CPUマシンが作れてしまうというのだ。詳細については「KIKUMARU's Technical Laboratory」のページを参照してもらうとして、改造の作業というのは2箇所のラインをジャンパ線でつなぐだけという簡単なもの。実際にその実証実験の結果も同ページに掲載されているが、このページは実は'98年6月の段階でCeleron SEPP版を改造してDual CPU化させる改造記事を載せたこともある、実績あるマニアには有名なページだ。SEPP版ではドリルで切削作業が必要など、とても簡単とは言えない作業が必要だったが、PPGA版+MS-6905の構成ではジャンパ線を1本接続するだけの簡単さということで、記事が掲載されるや注目度が急上昇した。
それにしても、Slot 1のデュアルCPUマザーボードを用意し、そこに改造したMS-6905とCeleron PPGA版のセットを2つ挿せばすぐにDualで動いてしまうというのだから驚いてしまう。現状ではマルチプロセッサに対応したOSはWindows系ではWindows NT 4.0しかないものの、Windows 98も統合した形で出てくる次期WindowsのWindows 2000もマルチプロセッサがサポートされるため、将来の布石としても注目度は大だ。ただし、もちろんIntelはCeleronでのDual運用については保証をしておらず、変換アダプタも改造が必要なことから、一切の動作保証やトラブル時のサポートはなく、全て自分の責任で行う必要がある。
約1万円のCeleron 300A MHzを2つと2,500円のMS-6905を2つ購入しても、トータルでたったの25,000円。あとはデュアルCPUマザーボードを用意さえすれば、最安のCeleron 300A MHzデュアルCPUマシンがつくれてしまうというわけだ。また、さらにクロックアップにも成功してしまうと、同じコストで例えば100×4.5=450MHzのデュアル構成も作れてしまう。Celeron PPGA版に大きな魅力が発見されたことで、むしろCeleronはSlot 1用のSEPP版からSocket 370用のPPGA版に一気に人気がシフトすることもありえそうだ。ツクモ各店では、週明けにもMS-6905が再入荷する予定ということなので、確実に入手したいという人は予約をしておくといいだろう。また、24日(土)の段階になって、Elite SmartAdapterでも同様の改造が有効なことが判明しているので、急ぎの人はこちらの入手に走ったほうがよさそうだ。
●Slot 1とSocket 370に両対応のマザーボードも?
Socket 370関連の製品では、DCSがSlot 1とSocket 370両対応のマザーボードを2種類発表していたり、今後もユニークな製品が出てきそうだ。Socket 370は、ややマニアックな魅力を垣間見せつつ、意外とすんなり受け入られていくことになるのかもしれない。
なお、ここで紹介した新製品の価格については、すべて「今週見つけた新製品」を参照のこと。
□KIKUMARU's Technical Laboratory
http://www.kikumaru.com/
http://kikumaru.w-w.ne.jp/
[撮影協力:ツクモパソコン本店IIとソフトクリエイトFM館とロビンマイコンショップとFlip-Flap]