1999年2月27日号 |
K6-IIIを搭載したPCのデモがスタート、CPUの単体販売なし
使用中のK6-IIIはコア電圧2.4V版のES品
【デモ風景】 | 【DEMO中!】 |
【K6-III ES表】 | 【K6-III ES裏】 |
【BIOS表示】 | 【Win98プロパティ】 |
もっとも気になるK6-IIIのCPU単体販売は、残念ながらまだ行われていない。
●コア電圧2.4V版のES品
日本AMD側からのアナウンスでは、「26日以降」に4店舗でK6-III搭載PCのデモが実施されることになっているが、27日(土)時点でデモの実施が確認できたのはツクモパソコン本店IIとTWO-TOP本店の2店のみ。デモ中のPCはオリジナル構成のもので、マザーボードはツクモパソコン本店IIがAOpen AX59Pro(1MBキャッシュ)、TWO-TOP本店が真赤な基板を採用したオリジナルマザーボードFREEWAY FW-TI5VGF(2MBキャッシュ)を使用していた。
ツクモパソコン本店IIのデモ用PCで使用されていたCPUはK6-III/400のES(Engineering Sample)品で、形状は一見したところK6-2と特に変わっていない。マーキングを見ると、コア電圧は発表の通り2.4V。台湾メーカー筋の話によれば、この2.4VのES品は非常に貴重だという。というのも、発表間近に仕様が2.4Vに変更されたためにES品の数が少なく、マザーボードメーカーでも2.4V版を持っているところは稀で、メーカーによっては2.4Vに変更されたことがうまく発表前に伝わっておらず、発表直後に社内で緊急会議まで開いたところさえあったのだという。実際、これまで台湾マザーボードメーカー筋から日本国内へ伝わってきていた情報もES品2.3V版の情報のみで、ある大手メーカーが最近持っているものとして見せてくれた実物も「K6-3」と古い表記でマーキングされた2.3V版だった。
K6-III/400 65℃ 2.4V Core / 3.3V I/O Z14525X (m)(c)1998 AMD Engineering Sample USA |
このマーキングを見ると、動作保証温度が65度までであることがわかる。また、セラミックパッケージにある5桁の番号は「26369」となっており、K6-2の最新コアにつけられた「26351」とは異なっている。同店のデモ用PCでHDBENCHを使って調べたところ、CPU IDは591と出た。さらに、Windows 98のシステムプロパティでは「AMD-K6(tm)3D+ Processor」と表示された。これは、Windows 98側に登録されているCPU IDに対するCPU名称がWindows 98リリース当時の古い内容になっているためと考えられる(注:同店のデモ用PCはその後ツールでこの部分を書き換えたため、現在はK6-IIIと表示するようになっている)。
●Trilevel Cacheを体験するチャンス
K6-IIIの最大の特徴は、CPUの中に256KBの2次キャッシュを内蔵したうえ、マザーボード側のキャッシュを3次キャッシュとして使えること。これをAMD側は「Trilevel Cache(トライレベルキャッシュ)」と呼んでいる。FREEWAY FW-TI5VGFなどのように、マザーボード側に2MBの大容量キャッシュを積んでいる製品と組み合わせれば、「1次キャッシュ64KB+2次キャッシュ256KB+3次キャッシュ2MB」という巨大なキャッシュが利用できることになる。AMD側は、3次キャッシュのスピードアップ効果は非搭載時に比べ2MB搭載時で1.08倍としている。
単体販売がいつ始まるのかがハッキリしていないというのが最大の難点だが、3月には少量アキバに入ってくるという話もあり、うまくいけばデビューまではそう待たされずに済むかもしれない。いずれにしても、K6-IIIのES品を使って誰もが「Trilevel Cache」のシステムを体験できる場所というのは、世界広しといえども恐らくアキバだけ。
いずれのデモ用PCもWindows 98がインストールされた状態で開放されているので、K6-IIIに期待している人は直接足を運び、実際に体験してみるといいだろう。
□秋葉原にてAMD-K6-IIIプロセッサ搭載システムの展示開始(日本AMD)
http://www.amd.com/japan/products/cpg/bguide/shopdemo.html
□秋葉原本店にてFW-TI5VGF+AMD K6-3採用ViPデモンストレーション中(TWO-TOP)
http://www.twotop.co.jp/events/MVPN-FS400/index.html
[撮影協力:ツクモパソコン本店II]