1999年2月27日号

Pentium III発表と同時にリテールパッケージの販売開始
27日から国内でも事実上の解禁

パッケージ表シール
【パッケージ表】【シール】
27日より販売開始Pentium III価格表
【27日より販売開始】【Pentium III価格表】
CPUクーラー名無しのCPU
【CPUクーラー】【名無しのCPU】
電圧は2.0V入荷したてのほやほや
【電圧は2.0V】【入荷したてのほやほや】

 米国時間の26日(金)にPentium IIIがIntel米国本社から発表され、アキバでも27日(土)から一斉にPentium IIIリテールパッケージの販売が開始となった。パッケージのデザインは黄緑を基調色とした目新しいデザインで、表面には巨大なPentium IIIロゴマークがついている。価格は500MHzで84,980円~98,000円、450MHzで60,980円~69,800円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。

一斉フライング販売

 27日(土)の段階でPentium IIIリテールパッケージの販売を始めていたショップは、確認できただけで500MHzが23店、450MHzが21店。まさに「一斉発売」という表現がピッタリの状況だが、実態は国内ではまだ未発表の製品の販売であり、言わばアキバ全体による前代未聞の一斉フライング販売というのが正しい。

 実のところ、代理店側が通達していた正式な発売日は国内正式発表の日となっていたものの、本社発表と国内発表までには大きなタイムラグがあり、これを守ると給料日直後の週末という絶好の商機を逃してしまうため、流通関係者の間では発売解禁日を巡ってずいぶん前から丁々発止のやりとりが続けられていた。結果を見る限り、アキバでの発売解禁日は米国発表に合わせるというかたちで、どうにか折り合いが最終的についたようだ。

 これは結果的に販売促進の効果も発揮したようで、なんと一部のショップでは早々とPentium IIIが売り切れとなったところや、中にはPentium III 500MHzを2つセットで買っていく人が何人もいたというショップもあり、売れ行きは全体的に好調だった様子。特にPentium III 450MHzは、ちょうどPentium II 450MHzと価格的に入れ替わるかたちとなって意外に売れ行きを伸ばしたようだ。このぶんだと国内正式発表日までにはモノがなくなってしまうのでは?という余計な心配もしたくなる。

名無しのCPUはIntel初?

 Pentium IIIのリテールパッケージは目新しいデザインで、全体の配色は黄緑を基調とした明るいもの。正面中央には巨大なintel insideマークと融合したPentium IIIロゴが描かれ、代わりに今まで正面右上にあった小さなintel insideマークはなくなっている。ほかに目につくところでは、背面に列記された機能一覧に、これまでKNIと呼ばれてきた新命令「Streaming SIMD Extensions」、CPUに埋め込まれたシリアルナンバー「Processor Serial Number」の記述が見られる。

 さて、注目はCPUの外観。これまでアキバでバルク品として販売されてきたPentium IIIは、形状がPentium IIのSECC 2と同様ながらカートリッジにCPU名称のマーキングがなく、さらにコア電圧の仕様に関するマーキングが海外で定説化していた1.8Vではなく2.0Vになっていることなどから、一部で「仮の姿説」や「偽物(リマーク品)説」をパブリックに唱える者もいた。

 では、はたしてリテールパッケージの中身はどうなのか…。

 編集部では実際にPentium III 450MHzのリテールパッケージを購入して検証してみた。結果は「これまでのバルク品とまったく同じ」だった。リテールパッケージに収められたIntelの正式な製品でも、やはり本体にはPentium IIIの名称記述はどこにもなく、電圧の仕様も2.0Vだった。カートリッジに記述されていた仕様やsSPECは次のように書かれていた。「450/512/100/2.0V S1」「99050544-0375 MALAY」「i(m)(c)'98 SL3CC」。1.8V説というのは、どうやらかなり初期のES品仕様をもとにした古い情報が根拠だったようだ。

 これで、これまでのバルク品も本物のPentium IIIであることが証明されたかたちになるが(今回のリテールパッケージが本物であるというのが前提だが)、CPU本体にCPUの名称がどこにもないというのはIntelの製品では異例であることに違いなく、いずれリビジョンの変更などでCPU名称がマーキングされるなどの変更が行われる可能性はありそうだ。

アメリカはサブ1,000ドルPC、日本はサブ1,000ドルCPU

 Intelは発表と同時に、各国語対応のWindows NT用Pentium III SIMD対応ドライバやシリアルナンバー制御のツール、新命令に関連するマニュアルなどを公開し、積極的に技術公開やツール公開に力を入れている。これは、結果的に新しいCPUの性能を活かすために、対応BIOS、対応ドライバ、対応アプリケーション、その他ツールなどいろいろなものをそろえて導入する必要が出てくるということでもあり、一般的には大変面倒なこと。しかし、それも新しいもの好きの自作派やチャレンジ精神旺盛な「人柱」にとっては、むしろ面目躍如の格好の材料(魅力)となるのかも知れない。「誰かがやる前に」いろいろと試すのは、今が絶好の機会だ。

 Pentium IIIの最大の売りである新命令Streaming SIMD Extensions(SSE)はまだ実力の程度や実効性の点で未知数の部分が多く、Pentium III自体の価格も高いという壁があるが、少なくともアキバでの販売は、給料日直後の週末という好条件も重なって好調な滑り出しとなった。

 アメリカではサブ1,000ドルPCが売れているようだが、日本では局地的にサブ1,000ドルCPUが飛ぶように売れている。

□Intel Launches the Pentium III Processor(Intel)
http://www.intel.com/pressroom/archive/releases/dp022699.htm
・Pentium IIIストリーミングSIMD拡張命令サポートWindows NT 4.0用ドライバ
http://support.intel.com/vtune/optidrvr/info_jap.htm
・Pentium III Processor Serial Number Control Utility
http://support.intel.com/support/processors/pentiumiii/snum.htm?iid=psncu+supp1&
・Intel Architecture Software Developer's Manual
http://developer.intel.com/design/pentiumii/manuals/243191.htm


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