1999年3月13日号

2次キャッシュを統合したK6-III/400がついにデビュー
意外にも在庫ショップは多く、実売価格は3万円後半

実売価格は3万円後半33,800円は売りきれ
【実売価格は3万円後半】【33,800円は売りきれ】
K6-III/400表K6-III/400裏
【K6-III/400表】【K6-III/400裏】
FW-TI5VGF表FW-TI5VGF裏
【FW-TI5VGF表】【FW-TI5VGF裏】

 2次キャッシュを統合した注目の最新Socket 7用CPU「K6-III」がついにアキバで販売開始となった。現在入手可能な製品は100MHz×4=400MHzで動作するK6-III/400のバルク品のみで、実売価格の相場は3万円後半(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。

 以前からK6-IIIはAMD側の供給不足が懸念されていたが、いざ販売が始まってみれば在庫ショップがいきなり20店を超えるほどの大量流通となり、入手は容易な状況だ。

在庫ショップは23店

 13日(土)の調査結果では、K6-III/400の在庫ショップは実に23店。これはPentium III 500MHzのリテールパッケージが一斉に出回ったときとまったくの同数で、調査時点で売りきれていたショップも加えると、Pentium III 500MHzリテール登場時を超える24店という多さになる。これは日本AMD代理店からの正規ルートと、並行輸入業者からの並行輸入ルートでの出荷時期がちょうど重なったためで、結果的には一斉大量販売という華々しいデビューを飾るかたちになった。このあとも継続して安定供給が続くのかどうかが気がかりだが、少なくとも来週にも再入荷の予定があるというショップが複数存在しているのは確か。

 実売価格範囲は35,500円~42,800円、平均価格は約37,700円。Intelの製品と比較すると、Pentium II 400MHzリテールパッケージ品の約38,500円とほぼ横並び。K6-IIIの性能に関する前評判は、同クロックのPentium IIと同等、もしくはそれ以上とも言われており、これを考えれば妥当な線と言ってもよさそうだ。実際には33,800円というダントツの最安値つけているショップもあったのだが、調査時点では売りきれとなっていた。

見た目はK6-2とほぼ同じ

 Pentium IIIとPentium IIがほとんど見た目で変わらないのと同じで、K6-IIIもK6-2と外見上に大きな違いはない。違うのはマーキングのみで、放熱板上の「K6-2」が「K6-III」になっていることと、セラミックパッケージ上の5桁の数字が「26351」から「26369」になっているのが違う程度。電圧や温度仕様を表す製品型番の英字後ろ2桁が「HX」である点やコア電圧が2.4Vという仕様も、K6-2/450とまったく同じ。ちなみに現在出回っているK6-III/400の製造コードは「B 9907EPAW」となっていることから、これらは'99年の第7週、つまりちょうど1ヶ月前の2月中旬に製造された製品であることがわかる。

 ただし見た目ではK6-2とK6-IIIは一緒だが、中身は随分と異なっている。コアと同一クロックで動作する2次キャッシュ256KBを内蔵し、さらにマザーボード上のキャッシュをすべて3次キャッシュとして使える「TriLevelキャッシュ」アーキテクチャを採用している点で大きくK6-2とは異なっている。Socket 7マザーボードでは512KBや1MB、大きいものでは2MBもの大容量キャッシュを搭載した製品もあり、これらと組み合わせることで、1次キャッシュから3次キャッシュを含めた最大利用可能キャッシュ容量は実に2,368KB(64KB + 256KB + 2,048KB)にも達する。コアと同じ速度の2次キャッシュという意味ではIntelにはCeleronもあるが、こちらは正規仕様ではベースクロックが66MHzと低く、2次キャッシュ容量も128KBと半分で、3次キャッシュも使えない。CeleronとK6-IIIとでは価格では比較にならないほどの開きがあるが、そもそも仕様が随分と異なっているので単純比較はできない。

アップグレード用にも期待度大か?

 コア電圧が2.4Vに上がり、消費電力も上昇したことで従来のマザーボードでは動かないのではないかという心配もあったが、続々とネット上に上がっている購入者によるK6-IIIのテストレポートによれば、環境によっては2.2Vで安定動作したという例や、AMDの推奨マザーボードでなくとも動作したという例も多くあがっている。また、Socket 7ユーザーにとっては嬉しいことに、最新のベンチマークソフト「3DMark99MAX」の計測でK6-2よりもかなり速い結果が出たというレポートや、ゲームの動作スピードが体感で大きくあがったなどの例が続々とあがりはじめている。これらのレポートについては、K6関連情報が集まる国内有数のWebサイトとして知られる「it's AT Compatible ?! -K6情報箱」に詳しいので、参考にしてみるといいだろう。これらユーザーの生の情報を参考にすれば、現在Socket 7のマザーボードを使用している人にとっては確実なアップグレードの手段としてK6-IIIが使えるかもしれない。あるいは、FREEWAYブランドからPCIスロット6本とキャッシュ2MBを搭載した真赤なK6-III対応Socket 7マザーボード「FW-TI5VGF」が14,800円で新たに発売になっているので、これらと組み合わせてシステムを構築しなおしてみるという手もある。ただし、EPoX製の一部マザーボードについては、代理店側からK6-IIIを使うとマザーボードが損傷する(レギュレーターが焼ける)というアナウンスも出ているので、EPoX製品のユーザーでK6-IIIへのアップグレードを検討している人は注意が必要だ。

 このところSlot 1やSocket 370システムに話題を奪われっぱなしだったSocket 7も、K6-IIIの登場で挽回の材料を得ることに成功したようだ。次のK6-III/450についても、複数のショップが約6万円の予価とともに近日入荷を予告しており、登場はもう間近に迫っている。

□AMD-K6-IIIプロセッサ
http://www.amd.com/japan/products/cpg/k6iii/index.html
□日本AMD、3DNow!テクノロジAMD-K6-III/400プロセッサの発売を開始
http://www.amd.com/japan/news/prodpr/nr99005j.html
□FW-TI5VGF(フリーウェイ)
http://www.freeway.co.jp/fwproducts/fw-ti5vgf/index-j.htm
□AMD K6-3とMVPマザーの互換性について(マスタードシード)
http://www.ask.or.jp/~jmc/k63.mvp.gokan.htm
□it's AT Compatible ?! -K6情報箱
http://www2.itjit.ne.jp/~kisegawa/

[撮影協力:ツクモパソコン本店IIフリーウェイ]


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