1999年5月1日号 |
RIVA TNT2とVanta搭載の最新ビデオカードが3社から登場
LeadtekとinfoMagicらが発売、動作クロックは各社各様
【RIVA TNT2】 | 【入荷しました】 |
【Magic!TNT2パッケージ】 | 【Magic!TNT2】 |
【WinFast 3D S320IIパッケージ】 | 【WinFast 3D S320II】 |
【WinFast 3D S320Vパッケージ】 | 【WinFast 3D S320V】 |
【PA3010パッケージ】 | 【PA3010】 |
Voodoo3とRIVA TNT2を搭載した最新3Dビデオカードがショップに並んだことで、このゴールデンウィークは激しいハイエンド3Dビデオカード戦争が繰り広げられることになりそうだ。
●気になる動作クロック
RIVA TNT2は、3dfxと並んでもっとも人気の高いビデオチップメーカーNVIDIAが開発した最新の3D対応ビデオチップ。従来のRIVA TNTが持っていた機能を継承しつつ、AGP4xに対応、RAMDACを300MHzに強化、32MBまでのメモリに対応、さらに32bitのZバッファ/ステンシルバッファや、32bitフレームバッファなどに対応して3D性能を大きく向上させている。このほかにも、製造プロセスが0.25ミクロンになったことやDigital Flat Panelへの対応といった点も特徴として挙げられる。
RIVA TNT2の仕様に関して特に関心が集まっているのは動作クロックの部分。NVIDIA側は動作クロックに関して正式な仕様を一般に公開していないこともあって、以前からユーザー間ではさまざまな憶測や観測が流れており、現在ではコア125MHz/メモリ150MHzが標準仕様で、コア150MHz/メモリ183MHzで動作するものがTNT2 Ultraと呼ばれる高クロックバージョン、というのがほぼ定説化している。高クロックバージョンの名前に関しては、DiamondがアナウンスしたRIVA TNT2搭載ビデオカードの高速バージョン「Viper V770 Ultra」のスペック中、搭載ビデオチップの名前が「NVIDIA RIVA TNT2 ULTRA」となっているのが一つの論拠になっているようだ。NVIDIA自身はメディアのインタビューなどで「動作クロックをいくつに設定して製品保証するかはビデオカードベンダーが決めること」といった主旨の発言をし、具体的な数値を明かしていないため、実際に発売となる製品の動作クロックがいくつになっているのかが、今やマニア達にとって大きな関心事になっている。
●一番乗りはinfoMagic
RIVA TNT2を搭載したビデオカードの国内一番乗りは、infoMagicブラントで知られる(株)東和商工の「infoMagic Magic!TNT2」。事前に発売日を複数のショップが告知していたことから、平日にもかかわらず27日(火)や28日(水)には各ショップで爆発的な売れ行きを見せ、いくつかのショップは初回入荷分があっという間に売れきれてしまったという。現在販売されているものは、すでにその後の再入荷分であるケースがほとんどのようだ。
Magic!TNT2は日本語化されたリテールパッケージ品で、日本語マニュアルと日本語ドライバが同梱されている。カードは32MB SGRAM(SEC KM4132G112Q-7)を搭載し、TNT2上には冷却用のファンが取りつけられている。面白いことに、このカード上に貼られた「Magic! TNT2」と印刷されたシールをはがしてみると、下から「WinFast 3D S320II」というシルク印刷が現れる。つまりこれは、後述するLeadtek製カードのOEM品で、ハードウェア的にはほとんど同一のものと考えられる(一部仕様が異なる部分もある)。
動作クロックに関しては、実際に入手して調べてみたところ、この製品はコア140MHz/メモリ150MHzとなっていた。これまでの「定説」のいずれにもあてはまらないクロックである点がなかなか興味深いが、TNT2 Ultraと呼ばれる高クロックバージョンに近いことは近い。
実売価格は27,700円~32,800円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。赤を基調としたデザインのパッケージで、infoMagicおなじみのロボットのイラストが目印。また、Magic!TNT2には16MB SDRAMを搭載したバージョンもあり、こちらはバルク品として実売価格19,800円~21,800円で出回っている(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。
●Leadtek製カードはAbit BH6で動作せず?
【ご注意】 | 【S320IIクロック】 |
カードの仕様はほとんど先のMagic!TNT2と同じだが、こちらにはTV出力端子がついている。また、32MB版にはDDWG仕様のDigital Flat Panel用接続コネクタもついている。動作クロックは、16MB版で試したところではコア140MHz/メモリ160MHz。Magic!TNT2よりもメモリのクロックが10MHzほど高い。
気になるのが、このWinFast 3D S320IIのパッケージに貼られた注意書きのシール。その内容によると、「供給電源容量の関係により、ABIT社製マザーボードBH6で使用した場合、Final Reality等の一部アプリケーションが動作できないことがあります」とのこと。ユーザー数の多いBH6に限って動作保証がないというのはかなりのハンデになりそう。ハードウェア的にはほとんど同じであるはずのMagic!TNT2にも同様の問題があるのかどうか、あるいはRIVA TNT2搭載ビデオカード共通の問題なのか、BH6ユーザーにとっては気になるところだ。
実売価格は32MB版が29,000円~34,800円で、16MB版が19,800円~23,800円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。サングラスをかけた男の顔が写っているデザインの小型パッケージが目印。なお、廉価版のVantaチップ搭載の製品は「WinFast 3D S320V」で、メモリは8MBを搭載している。実売価格は9,799~10,200円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。
●AOpenはクロック調整ツール付き
【PA3010 CD】 | 【PA3010クロック】 |
この製品の特徴は、コアとメモリのクロックを調整するツールが標準でついていることで、画面のプロパティ経由でこのツールを呼び出してスライドバーを操作すれば、どちらの項目も最大256MHzまで任意の値に設定することができる。もっとも、Leadtekらのカードも、インターネット上で入手できるPowerStrip(シェアウェア)などのTweakツールを使えば、好きなクロックに設定が可能だ。
実際に入手して試したところ、動作クロックはコア125MHz/メモリ140MHzだった。標準と言われているクロックに近い値だが、Leadtekとの差を考えると、現実的にはここからどこまで上げられるのか(安定動作する上限がどこなのか)がこの製品の人気の分かれ目になりそう。
恐竜のイラスト付きのパッケージが目印。価格は19,800円~24,999円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。
●連休明けにはCreativeらからも登場
【RIVA TNT2 ULTRA】 | 【AGP-V3800】 |
いずれにしても、このゴールデンウィークを境にして'99年の最新ビデオカード戦争に本格的に火がつくのは確実のようだ。
□RIVA TNT2(NVIDIA)
http://www.nvidia.com/home.nsf/htmlmedia/riva_tnt2.html
□Magic!TNT2(infoMagic)
http://www.infomagic.co.jp/japanese/news/tnt2-j.html
□WinFast 3D S320 II(Leadtek Reasearch/バーテックスリンク)
http://www.leadtek.com.tw/ES320II.htm
http://www.vertexlink.co.jp/vga.html
□PA3010(AOpen)
http://www.aopen.com.tw/company/news/1999/pa3010.htm
□Power Strip
http://www.entechtaiwan.com/ps.htm
[撮影協力:BLESSとツクモパソコン本店II]