【 1999年9月25日号 】

FSB 133MHz対応のPentium III 533B MHzと600B MHzが登場
リテールパッケージは週明け、バルク品が先行販売

FSB 133MHz Pentium III販売中FSB 133MHz Pentium III表面
【FSB 133MHz Pentium III販売中】【FSB 133MHz Pentium III表面】
533B MHzマーキング533B MHzの2次キャッシュ
【533B MHzマーキング】【533B MHzの2次キャッシュ】
600B MHzマーキング600B MHzの2次キャッシュ
【600B MHzマーキング】【600B MHzの2次キャッシュ】
リテールパッケージ600B MHzの表記
【リテールパッケージ】【600B MHzの表記】
予価表示フライングしちゃダメよ
【予価表示】【フライングしちゃダメよ】

 正式発表を待たずにFSB 133MHz対応の新Pentium IIIがアキバに登場。25日(土)時点ではバルク品が一部のショップで販売されていたほか、複数のショップでリテールパッケージが店内に展示され、予価を表示したり週明けの販売を予告するところが見られた。

 製品は533B MHz(133MHz×4)と600B MHz(133MHz×4.5)の2種類。製品名の「B」の文字は本体のマーキング上に書かれているもので、従来のFSB 100MHz対応Pentium IIIと区別する目的でつけられているものとみられる。

見た目にはほとんど変化なし

 Pentium III 533B MHzと600B MHzは、Intelがリリースする初めてのFSB 133MHz対応CPU。FSBが変わっている以外には、特にKatmaiコアのPentium IIIから仕様やアーキテクチャは変更されておらず、製造プロセスも従来から変わっていないと見られ、パワーユーザー達の間では「KatmaiコアのFSB 133MHz版」などと呼ばれている。

 バルク品で販売されている実物を見る限りでは、形状も変更なくSECC2のまま。目新しい点を挙げると、SECC2のカバー上にマーキングされているスピード欄が「533B」「600B」となっている点と、FSB欄が「133」になっている点のみ。なお、533B MHzの電圧欄は従来通り「2.0V」となっているが、600B MHzは「2.05V」と書かれている。一見するとこれが新しい仕様にも見えるが、実はコア電圧が2.0Vから2.05Vに変更されているのはFSB 100MHz対応の600MHzからで、最近流通している600MHzのリテールパッケージにも、側面のシールにはしっかり「2.05V」と明記されている(初期ロットの製品には2.0Vと書かれていた)。また、Intelの資料(Quick Reference Guide)でもそれを確認することができる。

 販売中の533B MHzと600B MHzとを見比べると、2次キャッシュのチップが異なっているのがわかる。533B MHzにはNEC製の「D432836ALGF-A36 9925E7091」と書かれたチップが搭載され、600B MHzには三菱製の「M5M5V2236BGP 922BE0N -3H 300MHZ」と書かれたチップが載っている。三菱製チップの「300MHZ」という直接的な動作クロック表記がなんとも生々しい。

 バルク品の実売価格は533B MHzが44,800円、600B MHzが69,800円。販売しているのはアイ・ツー DOS/V専科 東京3号店の1店のみ(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。また、USER'S SIDE本店のホームページ上ではPentium III 600B MHzリテールパッケージの通販を24日(金)から受け付けている。

CPUはあるのに対応マザーボードがない…

 ほかにも、すでにリテールパッケージを店内に並べているショップや、店内に週明けの販売開始を告知しているショップもあった。それを見る限り、リテールパッケージのデザインも従来と変わっておらず、見分けるには製品モデル名の欄にある「533B MHz/133MHz System Bus」「600B MHz/133MHz System Bus」の文字が頼り。また、正式発売は週明けの27日(月)で、リテールパッケージもバルク品とほぼ同様の価格になりそうだ。

 これでIntelのFSB 133MHz対応CPUが入手可能になったとはいえ、肝心なIntel製FSB 133MHz対応チップセットを搭載したマザーボードがまったくないというのが困ったところ。600B MHzらと同時に発表されると見られていたi820チップセットも、直前になってRAMBUS絡みの問題で延期になったとの報道がここ数日盛んに行われており、なんとも微妙な状況だ。

 今のところ新チップセットを搭載したマザーボードの入荷予定もアキバでは聞かれず、新しいフィーチャーを盛りこんだCPUはあるのに、それを動作させるためのIntel製チップセットを搭載したマザーボードがない、という奇妙な状況に陥っている。Intel製CPUでは、こうした状況はなかなか珍しい。新しいアーキテクチャを採用しながらマザーボードと同時に登場して注目を集めているAthlonとは対照的。もちろん、アキバにはVIA製Apollo Pro 133チップセットを搭載したFSB 133MHz対応マザーボードや、133MHz設定が可能な440BXチップセット搭載マザーボードがあるとはいえ、いずれもIntelの仕様からすると動作保証のない環境でしかない。

売るほうも今のところ悲観的な新Pentium III

 こうした状況からか、ショップも新Pentium IIIに関しては今のところ悲観的なようで、中には一度入荷したものの返品してしまったと証言するショップもあった。また、ある代理店は「Intelの新CPUでこれだけ注文の来ない製品も珍しい」と嘆く。Athlonという強敵も現れて、アキバのハイエンドCPUマーケットではIntelもなかなか厳しい状況のようだ。

 とりあえず、アキバではいつものように正式発表前に新CPUだけは入手が可能になっている。チップセットの件については、週明けの正式発表が注目されるところだ。

□Pentium III Processor Quick Reference Guide - SL3JT(Intel)
http://developer.intel.com/design/pentiumiii/qit/database/SL3JT.htm
□Intel to delay new chipset as Rambus reels(c|net)
http://news.cnet.com/news/0-1003-200-123111.html
□i820 derailed as Intel goes Rambust(THE Regsiter)
http://www.theregister.co.uk/990924-000011.html

[撮影協力:アイ・ツー DOS/V専科 東京3号店ピーシーアドバンスド3丁目店PCiN秋葉原]


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