週刊3Dプリンタニュース

たった9,800円で自分をフィギュア化できる「3D Snap & Touch」体験記

〜イベント紹介「日本は3Dプリンターで巻き返せるか!?」〜

 今週の週刊3Dプリンタニュースは、東京・渋谷のFabCafeが開始した人体の3Dスキャン&プリントサービス「3D Snap & Touch」体験記と3Dプリンタに関するセミナー開催のニュースをお届けする。

9,800円で自分の全身フィギュアを作成できる

世界に1台しかない全身3Dスキャナ「bodyScan3D」を体験

完成した私のフィギュア。サポート材はなしで出力されている。左手の先が少しほどけてしまっているが、パーソナル3Dプリンタでの出力としては十分な品質だ
スキャンの様子

 東京・渋谷にあるFabCafeは、ケイズデザインラボとのコラボレーションによって、自分の全身フィギュアを作成できるサービス「3D Snap & Touch」を9月から開始した。

 このサービスは、全身3Dスキャナと個人向け3Dプリンタを利用したもので、9,800円でフィギュアを手にできることと、フィギュアをその日に持ち帰ることができる手軽さが特徴。そして、スキャンから3Dプリントまでの一連の流れを体験できる。

 人物の全身フィギュアを作るサービスはこれまでにもあったが、フルカラー出力が可能な石膏粉末タイプの3Dプリンタを使うため、納期が1ヶ月以上かかり、価格も数万円以上かかるものがほとんどであり、気軽に試すにはハードルが高かった。

 3D Snap & Touchでは、高性能な全身3Dスキャナ「bodyScan 3D」を用いて3Dスキャンを行い、3DプリントにFDM方式のパーソナル3Dプリンタ「Cube」を利用することで、9,800円という低価格を実現していることが魅力だ。低価格なパーソナル3Dプリンタを利用するため、できあがるフィギュアは単色で(色の指定はできない)、サイズも全高10cm前後とあまり大きくはないが、石膏粉末タイプは脆く壊れやすいのに対し、PLA樹脂のフィギュアなので、ラフに扱えることが利点だ。所要時間も、スキャンから出力まで約2時間と短いため、その日のうちに完成したフィギュアを持って帰ることができる(予約状況によっては後日渡しになる場合もある)。

 3D Snap & Touchは、現時点では土曜日のみ、完全予約制でサービスを行っている。また、3Dスキャンのみを行う3D Snap(3,000円)というサービスもあり、3D Snap & Touchは1日5名まで、3D Snapは1日10名までの受付が可能である。

 3D Snap & Touch/3D Snapともに、スキャンしたSTLデータを持ち帰るには、別途25,000円が必要となるが、持ち帰ったデータは商用利用が可能である。ただし、3D Snap & Touchでは、Cubeでフィギュアを造形するためのCubeファイルなら持ち帰ることができる。なお、3D Snap & Touch/3D SnapともにiOS/Android用3Dビューア「Ks3D Viewer」を利用して、スキャンした3Dデータを閲覧することが可能だ(Ks3D Viewer用データは追加料金不要で持ち帰れる)。

スキャンはわずか6秒

世界に1台しかない「bodyScan 3D」。4本の支柱に2つずつカメラが内蔵されている
ちなみにUSB 2.0接続
撮影中は、縞模様のパターンが投影される

 3D Snap & Touchは、かなり先まで予約が埋まっているという人気サービスだが、今回実際に体験することができたので、その様子をレポートしたい。

 まず、FabCafeの上(2F)にある3Dプリンタ関連ショールーム「CUBE」に設置されている3Dスキャナ「bodyScan 3D」を利用して、全身の3Dスキャンを行う。bodyScan 3Dは、ドイツbrecukmann社製だが、CUBEにあるのは特別仕様のもので、世界に1台しかないという。

 アパレル用途での利用を前提に設計されており、全身を素早く高精度にスキャンできることが特徴だ。bodyScan 3Dは、4本の支柱を正方形に配置した構造になっており、各支柱には1台のプロジェクタと2台のカメラが搭載されている。

 プロジェクタからは、縞模様のパターンが投影され、それをカメラで撮影することで、3Dデータを作成する仕組みだ。さらに、カラーテクスチャ情報も読み取り、3Dデータにマッピングすることができる。3Dスキャナによっては、全身をスキャンするのに数十秒以上かかるものもあるが、4本の支柱で順番に撮影を行うbodyScan 3Dは、所要時間はわずか6秒ですむ。

【3Dスキャンの様子】
所要時間はわずか6秒。4本の支柱で順番に撮影を行う

取り込みデータを手作業で修正

スキャンした生データ。不要なノイズや必要部分の抜けがあるので、必ず修正を行う。これが結構手間とのこと。
点群データからポリゴンの立体データへと変換したところ

 スキャンしたデータは、そのままでは不要なノイズや必要部分の抜けがあるので、手作業で3Dデータの修正を行う必要がある。3Dデータの修正には、3次元触感デバイスモデラー「FreeForm」を利用する。

 FreeFormは、ペン型の触感デバイス「PHANTOM Omni」を使って直感的な3Dモデリングが行えることが利点だ。実際の3Dデータの修正はバックヤードでスタッフによって行われているが、その間、実際にFreeFormを体験することができる。

 PHANTOM Omniは、フォースフィードバック機能を備えたデバイスであり、3Dモデルを”触りながら”、モデルの作成や修正が可能なことが特徴だ。3Dスキャンおよびデータ修正にかかる時間は30分程度なので、FreeFormで遊んでいるとあっという間だ。

CUBEの一角には、3次元触感デバイスモデラー「FreeForm」を体験できるコーナーが用意されている
FreeFormでは、ペン型の触感デバイス「PHANTOM Omni」を利用して、直感的に3Dモデリングが可能

FabCafeで出力

3Dデータの修正が終わったら、1FのFabCafeにあるパーソナル3Dプリンタ「Cube」を利用してフィギュアを出力する
FabCafeの出力ブース。周りはカフェになっているので、珈琲を飲みながら出力具合を眺められる
3D Snap & Touchで作成したフィギュアのサンプル。縮尺は一定なので、背が高い人はフィギュアも高くなる

 3Dデータの修正が完了したら、1FのFabCafeにあるパーソナル3Dプリンタ「Cube」を利用して、フィギュアの出力を行う。もちろん、作業自体はすべて熟練のスタッフが行ってくれるので、見てるだけでOKだ。

 背の高さなどによっても多少変わるが、出力は1時間半程度で完了する。FabCafeは、その名の通り、カフェにもなっているので、珈琲でも飲みながらのんびり待てばよい。

 パーソナル3Dプリンタでの出力なので、フィギュアの精度はそれなりだが、顔の造作などは再現されており、体型も含めて、自分のフィギュアだということは十分わかる。最新の3Dスキャナによる全身スキャンやFreeFormを体験できる機会は貴重だ。

 スキャンは最大3人まで同時に行うことが可能なので、家族で一緒に記念フィギュアを作るのもいいだろう(複数人のフィギュアを出力する場合の価格は応相談)。

[イベント紹介]「日本は3Dプリンターで巻き返せるか!?」

 10月24日に日本科学未来館において、「日本は3Dプリンターで巻き返せるか!?」と題した、セミナーが開催される。

 このセミナーは、10月24日〜26日まで日本科学未来館で開催されるデジタルコンテンツEXPO 2013内で行われるものだ。

 セミナーの出演者は、角川アスキー総合研究所主席研究員の遠藤諭氏、ケイズデザインラボの原雄司氏、情報科学芸術大学院大学産業文化研究センター准教授の小林茂氏、経済産業省製造産業局素形材産業室室長補佐の木村隼斗氏の4名で、3Dプリンタの普及が今後どのようにコンテンツ産業に影響を与えるのかということについて、さまざまな立場からの議論が行われる。スケジュールは14時開場、14時10分開演、15時30分終了となっている。

 入場料や受講料などは無料なので、3Dプリンタとコンテンツ産業の将来に興味がある人は、以下のURLから申し込んでみてはいかがだろうか。

(石井 英男)