週刊3Dプリンタニュース

マイクロソフトがWindows 8.1用3Dプリンティングアプリをリリース

~オープンキューブが3Dデータ共有サイトを開設~

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、マイクロソフトがリリースしたWindows 8.1対応3Dプリンティングアプリ「3D Builder」とMakerBotのReplicatorシリーズ用ソフト「MakerWare」のアップデート、パーソナル3Dプリンタメーカーであるオープンキューブが開設した3Dデータ共有サイトについての話題をお届けしたい。

マイクロソフトの3Dプリンティングアプリ「3D Builder」Windows 8.1対応

「3D Builder」は、Windows 8.1のWindowsストアから無料でダウンロードできる
3D Builderを起動すると、この画面になる。用意されている3Dモデルは、Libraryから選択できる
LibraryからTrain Setカテゴリを選択したところ
3Dモデル表示画面。自由に回転や拡大/縮小などが可能だ。右下の「Print」をクリックすれば、3Dプリンタからの出力が行なわれる
こちらはMiniaturesカテゴリに用意されている3Dモデル

 11月15日、マイクロソフトが3Dプリンティングアプリ「3D Builder」をリリースした。

 マイクロソフトは、パーソナル3Dプリンタの可能性にいち早く注目したソフトウェアベンダーの一つであり、最新のWindows 8.1の特徴の一つとして、標準で3Dプリンタをサポートしたことをアピールしている。Windows 8.1での3Dプリンタへの対応は、3Dプリンタで一般的に用いられる3Dデータ形式であるSTL形式や代表的な3Dプリンタのプリンタドライバを標準でサポートするといったもので、「Windows 8.1だけあれば、3Dプリンタをフルに使いこなせる」というものではないが、今後も対応を強化していくことを表明しており、今回リリースされた「3D Builder」も、その方針に沿ったものだろう。

 3D Builderは、Windowsストアから無料でダウンロードできるストアアプリであり、対応OSは、Windows 8.1のみである。日本語版Windows 8.1でも問題なく利用可能だが、アプリ内の表記は英語となる。

 機能的には比較的シンプルで、あらかじめ用意されている3Dモデルや、他の3D CADソフト/3D CGソフトで作成した3Dデータを読み込み(STL形式とOBJ形式、3MF形式に対応)、サイズの変更や回転/移動などを行ない、Windows 8.1がサポートしている3Dプリンタから出力するためのアプリである。

 ユーザーインターフェースはわかりやすく、用意されている3Dモデルも実用的なものからオモチャまで充実している。スライスソフトとプリンタ制御ソフトを兼ねたアプリであり、3D CADソフトや3D CGソフトの代わりになるわけではないが、出来合いの3Dモデルでいいから、気軽に3Dプリンタでの出力を行ないたいという人にはぴったりのソフトだ。

MakerBotのReplicatorシリーズ用ソフト「MakerWare」が2.4にアップデート

靴を3Dスキャンする場合、通常はこのようにスキャナに置くが、そうすると靴底の形状を取得することができない
そこで今度は靴を横にして置いて再度スキャンを行ない、その結果を合成することで、靴底の形状も正しくスキャンすることができる
MakerWare 2.4の画面。3Dスキャナ用ソフトは別アプリとなっている

 11月19日、パーソナル3Dプリンタ「Replicator」シリーズで有名なMakerBotが、Replicatorシリーズ用ソフト「MakerWare」の最新バージョンである2.4をリリースした。

 MakerWare 2.4には、パーソナル3Dプリンタ「Replicator」シリーズ用ソフトとパーソナル3Dスキャナ「Digitizer」用ソフトが含まれており、今回のバージョンアップでは、特に3Dスキャン機能が大きく強化されている。

 その目玉となるのがMultiScan技術。MultiScan技術は、対象物を3Dスキャナに置く向きや位置を変えて、何度かスキャンを行ない、その結果を合成することで、より精度の高い3Dスキャンや、1回のスキャンでは見えない部分のディテールのスキャンを可能にするものだ。

 例えば、靴を3Dスキャンする場合、通常の置き方では、靴底がカメラの影になってしまい、その形状を取得することはできないが、靴を横に置いてもう一度スキャンし、その結果を合成することで、靴底のディテールも含めた3Dデータを得ることができる。MultiScan技術の実装により、Digitizerの使い道や実用性は大きく広がったといえるだろう。

 また、MakerWare 2.4では、Replicatorシリーズに関する機能も強化されており、ヘッドを守るための壁(Extrusion Guards)の安定性が高まったほか、フィラメントを冷やすためのファンの制御も改良されている。同社のReplicatorシリーズをお持ちの方は、アップデートすることをお勧めしたい。

オープンキューブが3Dデータ共有サイト「mono-logue(モノログ)」を開設

3Dデータ共有サイト「mono-logue」。3Dデータがカテゴリ別に分類されており、探し出しやすい

 11月19日、パーソナル3Dプリンタ「SCOOVO C170」のメーカーであるオープンキューブが、3Dデータ共有サイト「mono-logue(モノログ)」を開設した。海外では、MakerBotが運営する「Thingiverse」や3D systemsが運営する「Cubify」といった、多くの3Dデータが公開されている3Dデータ共有サイトがある。日本国内でもこうした3Dデータ共有サイトがいくつか立ち上がってはいるが、3Dデータの質・量ともにまだまだ充実しているとはいえない。

 mono-logueでは、3Dデータの無料ダウンロードを原則としており、3Dデータをダウンロードしたユーザーが、そのデータに対するfacebookコメントをつけることができるようになっているため、コミュニティサイト的な役割も果たす。3Dデータは、アートやファッション、ホビーといったカテゴリ別に分類されており、目的のものを見つけやすい。3Dプリンタカテゴリには、3Dプリンタの出力テストに適した3Dデータや、同社のSCOOVO C170をより便利に使うためのパーツの3Dデータが揃っている。
 現在、サイトのオープンを記念して、12月24日19:00までに3Dデータを5点以上アップロードすると、1,000円分のQUOカードがもれなくプレゼントされるキャンペーンが開催されている。ふるってアップロードしてみてはいかがだろうか。

(石井 英男)