週刊3Dプリンタニュース

7万円を切る高性能パーソナル3Dプリンタが登場

~国土地理院が噴火後の「西之島」を作れる3Dデータを公開~

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、7万円を切る高性能パーソナル3Dプリンタの新製品の話題と、噴火によって新たな陸地が誕生した西之島付近の3Dデータが公開されたという話題をお届けしたい。

CES 2014でアワード受賞の「ダヴィンチ1.0」が69,800円で販売開始低価格品では最大の造形サイズ

ダヴィンチ1.0は、低価格ながら高い精度と大きな造形サイズを誇る
ダヴィンチでは専用カートリッジに入ったフィラメントを利用する

 XYZプリンティングジャパンが、パーソナル3Dプリンタ「ダヴィンチ1.0」の販売を開始した。販売価格は69,800円である。ダヴィンチ1.0は、2014年1月7日に開催されたCES 2014で、エディターズチョイスアワードを受賞した製品であり、FDM方式のパーソナル3Dプリンタの中でも低価格ながら、この価格帯では最大クラスの造形サイズを実現していることが魅力だ。

 ダヴィンチ1.0の本体サイズは、468×510×558mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は23.5kgと、パーソナル3Dプリンタとしては大きい部類だ。最大造形サイズは、200×200×200mm(幅×奥行き×高さ)とかなり大きく、3辺の長さがそれぞれ100mmを超えるようなパーツも分割せずに出力できる。積層ピッチは、0.4/0.3/0.2/0.1mmの4段階から選択できる。

 フィラメントの直径は一般的な1.75mmで、ABSに対応する。ただし、フィラメントは専用カートリッジ式のものを利用するようになっており、サードパーティ製のものは利用できない。フィラメントは全12色(現在はホワイト、ブルー、ブラック、レッド、イエロー、グリーンの6色のみ先行販売中)用意されており、カートリッジの価格は3280円と比較的低価格だ。なお、1カートリッジあたりのフィラメントの重量は600g。ヒーテッドベッドを備えており、造形エリアが壁によって囲まれているので、外気温の変化や風などの影響を受けにくく、安定した造形が可能だ。

 スライス/プリンタ制御ソフトとしては、独自の「XYZware」を利用する。XYZwareは、Windows版とMacOS版が用意されており、日本語表記にも対応しているのでわかりやすい。液晶パネルと上下左右ボタンなどを備えているが、スタンドアロン動作には非対応であり、造形時にはPCとUSB経由で接続する必要がある。

 ダヴィンチ1.0は、7万円を切る低価格パーソナル3Dプリンタとしては、最大クラスの造形サイズを実現した製品であり、価格と造形サイズを重視する人には、特にお勧めしたい。なお、今後は、デュアルヘッド対応の「ダヴィンチ2.0」やデュアルヘッド対応で5インチタッチパネルを備えた「ダヴィンチ2.1」といった上位モデルの販売も予定されている。

国土地理院が噴火後の西之島近辺の3Dデータを公開

2月16日に撮影された西之島近辺の正射画像
2月16日に撮影された西之島近辺の3DデータをMakerWareで読み込ませたところ

 西之島は、小笠原諸島に属する小さな無人島である。海底火山の活動によって誕生した島であり、付近では現在でもしばしば噴火が見られる。2013年11月20日に、西之島の南南東500mで噴火があり、新しい陸地が出現した。この新しい陸地は、西之島と一体化しており、西之島全体の面積は今回の噴火前の3倍以上にも広がった。

 国土地理院は、噴火後何回か西之島付近の空中撮影を行ったが、そのデータが順次公開されており、3月3日には、3Dプリンタでの出力が可能なSTLデータが公開された。

 現在公開されているデータは、2013年12月4日に撮影された正射画像と標高データ、立体図、2013年12月17日に撮影された正射画像と標高データ、VRMLデータ、立体図、2014年2月16日に撮影された正射画像と標高データ、VRMLデータ、STLデータ、立体図である。

 VRMLデータには色情報が含まれており、石膏粉末方式の3Dプリンタを使えば、フルカラーでの出力が可能だ。STLデータは最新の2月16日撮影分しか公開されていないが、こちらは、色情報を持たないポリゴンデータであり、パーソナル3Dプリンタなどでも出力が可能である。地学などの学習に使うための教材としても利用できそうだ。

(石井 英男)