忍者増田のレトロゲーム忍法帖

難解な謎を解く快感! 『MYST』はただ難しいだけのゲームではない

~『MYST』編 弐ノ巻~

PlayStation版『MYST』を今回プレイした忍者増田氏。
(C)Cyan, Inc. and SUNSOFT

 難解なアドベンチャー『MYST(ミスト)』に、最初は頭を抱えていた忍者増田氏ですが、根気よく冒険を進めるうちに、本作の面白さに気づいていくのでした……。



4つの時代を冒険し、赤いページと青いページを回収

PlayStation版『MYST』のパッケージ。

 『MYST』の最初の舞台であるミスト島からは、セレーネ時代、ストーンシップ時代、メカニック時代、チャネルウッド時代という4つの世界に行くことができます。それぞれの時代で謎解きをし、散らばっている「赤いページ」と「青いページ」を拾い、ミスト島まで戻ってくるというのが冒険の大まかな流れでござる。

 これを計4つの時代で繰り返せば、物語は終焉を迎えるんだろうなぁと、そこまでの大筋が見えてくるのだけでも相当時間がかかります。だいたい、4つの時代に行くこと自体も難しいんだから。拙者はお仕事でプレイしながら、こりゃあ攻略本を作らされるのも納得のゲームだよなぁと思ったのでした。

 ミスト島の「ライブラリー」という建物の中には、「赤の本」と「青の本」が置かれていて、前者にはシーラス、後者にはアクナーという兄弟が閉じ込められています。各時代で拾ったすべての「赤いページ」と「青いページ」をそれぞれの本に挟み込めばこの兄弟は助かるのでござるが、二人はお互いの悪口を言い合っていて、どちらも善人には思えません。こりゃあ最終的に、どっちも助けちゃいけないんだろうなということは、普通にプレイしていれば誰でも気がつく事実です。

引き出しの中に、赤いページ発見。赤の本に挟み込むと、本の中に閉じ込められている男・シーラスが語り出す。彼はアクナーの兄だ。
【本の中から語り掛けるシーラスの動画】

 でも当時『MYST』をクリアーしたプレイヤーであれば、シーラスを助けるエンディング、アクナーを助けるエンディング、そしてもう一つのベストエンディングの3種類すべてを確認したという人が多いんじゃないでしょうか。こいつらのキャラクターって強烈で、なんか気になりますからね。かくいう拙者も一応すべてのエンディングを見させてもらったでござるよ。

汚いベッドの上に、青いページ発見。青の本に挟み込むと、本の中に閉じ込められている男・アクナーが語り出す。彼はシーラスの弟だ。
【本の中から語り掛けるアクナーの動画】

面倒くさいし、頭を使うけど、ヒントはどこかに隠されている!

 そんな『MYST』の難解さに最初はブーブー言っていた拙者ですが、プレイを続けるうちに、本作がただ難しいだけのゲームではないことを少しずつ理解していったのでした。すべての謎を解くための「手がかり」が、必ずどこかに隠されていることに気づくのでござる。

例えば、ミスト島の観測タワーのプレートに、「59ボルト」というヒントを出すことに成功。この数字は、発電所で入力する電流に関係している。

 謎が解けないのは、「手がかり」に気づいていないか、気づいていても推理できていないということ。あらゆる場所を探索してメモを取るのは面倒くさいし、推理するのはとっても頭を使うけど、絶対にノーヒントじゃないのです。

ライブラリーにあった本(壱ノ巻の写真参照)のとおりに弾いたキーボードの音と、チューナーの音を合わせれば、セレーネ時代に行けるようになる。

 昔のPCアドベンチャーに接してきた世代である拙者は、今までにもっともっと理不尽なゲームをいくつもプレイしてきたはず。それに比べたら、『MYST』なんて親切なゲームの部類に入る……と言い切ってしまいましょう。絶対に解法に気がつかないような理不尽な謎など一つもないですからね。

ストーンシップ時代では、排水コントローラの3つのボタンを押し、特定の場所の水を汲み上げることで進んでいく。

 面倒だし、頭を使うけど、謎を解くための手かがりが巧妙に隠されている……。だからこそ、推理を的中させて自力で謎を解いたときには、筆舌に尽くしがたい喜びを味わうことができる……。『MYST』ってまさにそういう快感を得られるアドベンチャーだと思うのです。まあ、途中で投げ出しちゃう人には関係ないから、好みは分かれるし、ゲームとしては諸刃の剣だとは思うけど。ただ、そういう挑戦的なゲームが出ていたというのがいかにも当時っぽいし、いい時代だったなと思うのでござる。


 次回は『MYST』の魅力の一つである、美麗なグラフィックについて語ります。お楽しみに!

 ※次回掲載は10月10日(火)を予定しています。

注釈

  1. ベストエンディング
    物語終盤で、「緑の本」が登場する。うさんくさいシーラスとアクナーが口を揃えて「緑の本には手を出すな」的なことを言うので、逆にもう答えは明白。

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『MYST』を今遊ぶには?(参考価格/価格は税込表記)
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Windows版(並行輸入品)7,000円前後
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ゲームアーカイブス版617円
※2017年9月調べ

(C)Cyan, Inc. and SUNSOFT

増田厚(ペンネーム:忍者増田)

 茨城県生まれ。漫画『ゲームセンターあらし』や『マイコン電児ラン』の影響を受け、中学2年生のときにパソコンをいじり始める。東京の大学入学と同時に、パソコンゲーム誌『ログイン』にバイトとして採用され、6年間在籍。忍者装束を着て誌面に出る編集者として認知度が高まる。その後、家庭用ゲーム雑誌『週刊ファミ通』に3年在籍したあと、フリーライターとなる。現在はおもに、雑誌やWeb、攻略本などでゲームのレビュー記事や攻略記事を執筆しつつ、ゲーム以外のライティングも。得意なゲームは、『ポケモン』、『ウィザードリィ』、『サカつく』など。