ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

テクノソフトのアクティブカンフーアドベンチャー『ばってんタヌキの大冒険』

パッケージに採用されているのは、実際のタヌキを撮影した写真です。ゲーム内容が想像しづらいためか、裏面には画面写真と合わせてストーリーも掲載されていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、テクノソフトが1985年末に発売したコミカルタッチのアクションゲーム『ばってんタヌキの大冒険』です。

 テクノソフトといえば、『プラズマライン』や『サンダーフォース』といったタイトルが有名ですが、他にもさまざまな作品をリリースしています。この連載でも、以前にアクションゲームの「九玉伝』などを取り上げましたが、今回はパッケージに“アクティブカンフーアドベンチャー”というジャンル名が表記されている『ばってんタヌキの大冒険』をピックアップしました。箱の中には広げるとA3サイズの大きさになる1枚の説明書が入っていて、そこには以下のようなストーリーが書かれていました。

1985年12月8日発売の1986年1月号『ログイン』ではFM77AV版、翌号にはPC-8801mkIISR版とMSX版がそれぞれ発売と書かれていたので、この3機種は1985年末に発売されたとみて良さそうです。ゲームの難易度が高いためか、発売後の広告ではスタート地点付近の地図を載せたり、マップを取るまでの手順解説なども行っていました。

 むかしむかし、あるところに、動物ばかりが住んでいる村がありました。あるとき、この村にオオカミ伯爵がやってきて、動物たちに魔法をかけて、残らずオオカミ城につれていってしまいました。ただひとり助かったのは、病気で寝ていたおばあさんウサギだけでした。そんなときにこの村に1匹の流れ者のタヌキがやってきたのです。彼は、おばあさんウサギから事情を聞くと、勇敢にも1匹で村人を魔法から救うため、カンフーの修行中の身にもかかわらず、オオカミ城へとむかったのでした。

 プレイヤーはカンフー使いの主人公・ばってんタヌキを操作して、オオカミ城のオオカミ伯爵を目指して進んでいきます。ばってんタヌキは、Zキーでばってん蹴り、Xキーでばってん突き、テンキーの8でばってん跳び、テンキーの2でばってんよけを繰り出すことができるほか、4と6で左右に移動、F4でセーブとF5でロードができました。

スタート地点の左の方には、マップが隠されています。これを取ると、画面の右上にマップが表示されるようになり、あわせて自分の居場所も分かるように。これが無いと自分がどこにいるかが分からなくなるので、攻略には欠かせないアイテムでした。

 敵は、必ずばってんタヌキの向いている方角から出現するのですが、見た目は可愛らしいサルやハリネズミ、亀、サングラスをかけたブタなどが襲ってきます。ちなみに、マニュアルに名前は書かれていなくて、後の広告で一部の敵だけ名前が判明しました。

 ほとんどの相手は、ばってんタヌキの隣に来ると攻撃を仕掛けてくるのですが、一部の相手は遠距離から飛び道具を撃ってくるので、気がついたら体力が無くなっていることもあります。その際は、2キーを押してのばってんよけで、回避が可能でした。

敵は、トカゲがフリッパー、ハリネズミがトコトコガンガン、ブタがハリー、クマがバスターなどと名付けられています。マニュアルには書かれていなくて、発売後の広告を見るとわかるようになっていました。ただし全キャラではないため、カメなどの名前は不明です。

 画面中央下段に表示されている“Power”の部分にある、赤色は主人公の経験値・実力、青いバーが生命力を表します。赤いバーは敵を倒すと伸びていき、それに伴いばってんタヌキも強くなっていきます。生命力は赤いバー以上には伸びないので、どこかで“おいしく”敵を倒して経験値を稼ぐ必要がありました。ただし、敵を倒さなくてもほとんどの場所の探索は可能なので、最初はマッピングに専念するのも有効な手段です。

 道中には右斜め上、右斜め下、左斜め上、左斜め下を指す矢印が登場します。その場所は分岐点となっていて、矢印の反対側から進むぶんには影響ありませんが、矢印と同じ方向へ進もうと思った場合は、どちらかの分岐を選ばなければなりません。その方法はマニュアルに書かれていない(!)のですが、右斜め上と右斜め下の場合はテンキーの9か3、左斜め上と左斜め下の時はテンキーの7と1を押せばOKです。

 ただし、その場では何も変化はありません。画面端まで移動すると、次の移動先が上を選んだ場合はマップ上では1段上に、下を選べば1段下に移動したことが初めて判明します。この移動の仕組みが分かりづらくて、当時は途中で投げ出してしまった人もいたと聞きますが、理解してマッピングを行えば迷うことはないはずなので、挫折してしまった人はもう一度挑戦してみてはいかがでしょうか。

道中の宝箱からは、さまざまなアイテムが出現します。生命力が回復するものだけでなく、色とりどりのカギや、中にはハズレの宝箱も!?

 なお、マップ上の所々に空いている穴や水たまりは、ばってんタヌキが落ちると即座にゲームオーバーになってしまいます。ここは広告にて「敵を落とす場所となっている」と書かれているので、画面移動時に落ちないように気をつけたいところです。

 道中には宝箱が置かれていることもあり、これはばってん蹴りで開けることができます。たいていの場合は何かアイテムが入っているのですが、時には虫(?)が飛び出すハズレの宝箱の場合もあります。生命力が少ないときはあらかじめF4でセーブしておき、それから開けるのが良いかもしれません。また、道ばたには食べ物や飲み物が落ちていることもありますが、ドリンクC、りんご、ウイスキーの3つは毒が入っていることがあるので、緊急時以外はジャンプして素通りするのが得策です。

道中、矢印の書かれた場面では、テンキーの1、3、7、9で道を選択します。上段、下段に移動すると地図上でも1ドット上または下にずれるので、そちらを目安にマッピングするのが安心です。

 マップの移動方法に特徴があることや、コツをつかまないと主人公の生命力がすぐに無くなってしまうことなどを考えると、アクションゲームとしては少々難しい部類に入るかもしれません。ただし、素早いキー操作が必要といったわけではないので、マップ移動の仕組みが分かった今こそ再チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

ばってんタヌキは、ばってん蹴りやばってん突きなど、さまざまなアクションを繰り出せます。攻撃はどちらも射程が同じなので、2種類あっても宝箱を開けられる蹴りだけでほぼ進めるでしょう。ばってんよけは、敵の放つ弾を避けるときに使えますが、それ以外では……。

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