ノートPC延命計画!

Windows 7の格安ノートをまだ使う!SSDで快適化するCore 2世代のdynabook

text by 石川ひさよし

 使い古したノートPCだが、「もう少し現役続行させたい!」といったニーズは多いだろう。

 このような場合、メモリの増設やHDDからSSDへの換装といったことで、わずかだが体感速度が向上できることはよく知られている。ただし、実際にこれを実践してみようとなると、ノートPCも千差万別なので尻込みしてしまうかもしれない。

 毎回ちょっと古めのノートPCを用意し、HDDからSSDに換装する手順を写真とともにステップバイステップで紹介する当コーナーだが、今回は延命の限界に近いと思われる、Core 2(Penryn)世代のCeleronを搭載した格安Windows 7ノートのアップグレードに挑戦してみたい。選んだモデルは東芝 dynabookの「Satellite B450/C」だ。

【今回の流れ】
HDDの取り外し→ソフトウェアのコピーツールでHDD→SDDにコピー→そしてSSDを取り付けて完成だ


今回の延命ターゲットはCore 2世代のCeleronを搭載した「dynabook」

2011年リリースのdynabook「Satellite B450/C」。ドスパラ中古通販サイトにご協力いただき用意したモデルで、同店では中古品を税抜き20,000円前後で販売中だ。

 今回、SSDへの換装を行うのは2011年に発売された東芝 dynabookの法人向けモデル「Satellite B450/C」。

 搭載CPUはCeleron 925(2.30GHz)で、コードネームは「Penryn」。つまり「Core 2」と同世代のアーキテクチャである。さらに、Celeron 925はシングルコアCPUで、発売当時でもコスト重視でかなり割り切った仕様といえる。ちなみに、2011年と言えばSandy Bridgeが発表された年だ。

 本体に搭載されていたメモリは合計4GB。PC3-6400(DDR3-800)のSODIMMを採用しているので、現行のDDR3 SODIMMに換装して容量を増やすことも可能だ(64bit OS使用時は最大8GB)。ただし、メモリのSPDにPC3-6400モードの情報が書き込まれている必要があるため、アップグレードするなら対応をうたうメモリを選びたい。

まだUSB 2.0の時代で、カードスロットはなんとPCMCIA Type-II
CPUはPenryn世代のシングルコアCeleron
メモリは2GBモジュール×2枚。ベイが用意されており、簡単に交換できる
搭載するHDDはHGST「HTS545025B9A300」。5,400rpmで容量は250GB。
Satellite B450/Cはecoが押し。ecoボタンを押せば消費電力が5〜10W程度削減できていた。

 HDDはHGSTのTravelstar 5K500.B「HTS545025B9A300」で、容量は250GB。これをSSDに換装するとなると、最低限250GB以上必要というわけだが、SSDは容量いっぱいまで使ってしまうと著しくパフォーマンスが低下するため、アップグレードするなら250GBクラスのSSDよりは500GBクラスのSSDがオススメだ。

 ざっと見るとコスト重視といった構成のモデルだが、Satellite B450/Cは省電力性を高める特徴的な機能を備えている。2011年は東日本大震災があった年でもあり、計画停電への対応が大きな話題となった。そうした状況を踏まえて投入されたビジネス向けノートPCだったりもするのだ。

 省電力機能の「東芝ピークシフトコントロール」は電力需要のピーク時間帯にAC電源駆動からバッテリー駆動へと自動的に切り替えが可能。また、「TOSHIBA eco ユーティリティ」として、本体の「ecoボタン」を押すと、一発で省電力な「ecoモード」へと切り替えることもできる。


旧式ノートPCのSSDを換装するなら、高速SSDよりもコスト重視のSSDが最適!

Satellite B450/Cのスペックを考慮し、今回もCrucialのメインストリーム向けSSD「BX100シリーズ」を選択した。
CT500BX100SSD1はBX100シリーズの500GBモデル。なお、250GBモデルの場合、500GBモデルよりパフォーマンスが劣るので製品選びのポイントとしてほしい。
本体は7mm厚で、9.5mm厚環境向けのスペーサーが付属する。

 換装用SSDを検討するにあたり、ポイントとなるのはSatellite B450/CのチップセットがIntel GM45である点だ。

 Intel GM45がサポートしているSATAの帯域は3Gbpsまでなので、現行の6Gbps SATA対応SSDはオーバースペック。つまり、高価なハイエンドSSDにこだわる必要はあまりない。

 3Gbpsの環境下でも、ランダムアクセス性能などはハイエンドモデルの方が優れるが、価格差を考慮すると、同じ予算で普及モデルの大容量品を選択した方が効果的といえる。

 このような具合で、今回はCrucialのBX100シリーズ「CT500BX100SSD1」を選択した。容量は500GBで、公称転送速度はシーケンシャルリードが535MB/s、同ライトが450MB/s。現在のSSDは、500GBクラスをターゲットに開発されているため、性能を気にするなら容量が500GB以上のモデルを選びたい。

 余談ではあるが、メインストリーム向けSSDとハイエンド向けSSDとの大きな違いとして、耐久性が挙げられる。耐久性に関しては、様々な部品の品質、ファームウェア、使い方など、様々な要素に左右されるわけだが、搭載NANDチップの種類も製品の寿命に直結する部分だ。

 NANDチップには、格納できるデータ量別に、「SLC」、「MLC」、「TLC」といった種類に分類されるのだが、それぞれの違いを大雑把に説明すると、耐久性ではSLC>MLC>TLC、大容量化ではTLC>MLC>SLCとなる。SLCの製品は現在まず見かけることがなくなったので外すとして、MLCは性能や耐久性が重視されるハイエンド向けモデルが中心、容量単価が注目されるモデルではTLCを用いるというのがトレンドになりつつある。

 BX100シリーズは価格的に攻めたモデルでありながらMLCを採用しており、この点は同クラスのSSDと比較した際のアドバンテージになっている。


今回はソフトウェアでのクローニングを使ってSSDにOS環境を移行

クローニングソフトの「EaseUS Todo Backup Free」
右上にあるクローンボタンから環境のコピー作業に入れる。
ソフトウェアでクローニングと言ってもSSDを接続する変換アダプタは必要。1台あると便利なので常備をお勧めしたい。

 では実際の移行作業を紹介しよう。前回の換装では、ハードウェアのクローニング機能を利用したが、今回はソフトウェアでクローニングする方法を紹介しようと思う。

 ソフトウェアでクローニング、とは言っても対象のSSDを接続するための「SATA→USB変換アダプタ」(今回はクレードルタイプ)は必要。機材の都合で2ドライブ用を用いたが、1ドライブ用でも問題はない。こうした機器は、紹介する移行作業だけでなく、元のHDDを外付けHDDのようにも活用できるので、筆者としては一家に一台の常備をオススメしている。

 といったところで、クローニングソフトウェアを導入していこう。クローニングソフトウェアは、各社から販売されており、なかにはフリーソフトも存在する。今回紹介するのはEaseUSの「EaseUS Todo Backup Free」だ。

 このソフトは、日本語対応しているうえに、日頃のバックアップから今回のようなクローニングまで、幅広い機能を備えたバックアップユーティリティ。より高機能なHomeやWorkstationといったバージョンも用意されている。今回はフリーソフト版を用いるが、サポートが必要というユーザーには有償版も用意されており、価格はHomeが税込2,980円、Workstationが税込3,980円と、高価というほどではない。

 EaseUS Todo Backup Freeをインストールしこれを起動すると、メイン画面が表示される。メイン画面の上がメニューで、左上はバックアップ関連、少し離れて今回の目的である「クローン」、ほかログやツールといった項目が並んでいる。SSDに環境をコピーする際はクローンを選択して次の項目に進もう。

 クローンのステップは、まずコピー元のディスクを選択、次にコピー先のディスクを選択することになる。コピー元はHDD、コピー先はUSB接続したSSDということになる。そして、コピー先のディスクを選択する際、右に「編集」という項目が表示されている。これをクリックすると、コピー先ドライブのパーティションサイズを変更可能だ。

コピー元のディスクを選択(チェック)し(左)、次にコピー先のディスクを選択する(右)。いちおうSSDに最適化という項目もチェックしてみた。
コピー先のディスクがより大容量の場合には、「編集」ボタンからパーティションサイズを拡大しておくと便利。
パーティションサイズ拡大後。

 前回、ハードウェアのクローニングをした際は、パーティションサイズの変更はできず、より大容量のSSDに換装したいような場合は、その分の未割り当て領域ができてしまっていた。もちろん、後からパーティション変更ツールなどを用いれば変更できるのだが、EaseUS Todo Backup Freeはその手間を省いてくれる。

 ここがソフトウェアでクローニングする際のメリットと言えるだろう。コピー先ドライブの選択画面では、ついでに「SSDに最適化」のチェックもしておいてもよいだろう。

 ここからは、「次へ」をクリックするとソースとターゲットの確認画面が表示されたうえで、さらに「次へ」を押せばクローニングが開始する。

画面でコピー元・コピー先を確認した後、クローニングがスタートする。


ストレージベイを備えるノートPCのSSD換装は超簡単

 さて、クローニングしたSSDをSatellite B450/Cに組み込もう。

 Satellite B450/Cは、前回Crucial SSDへの換装を行ったソニー VAIO F24(VPCF24AJ)と同様、ストレージベイを備えた製品だ。しかも、Satellite B450/Cの場合は、ベイのフタとHDDの固定を1本のネジ(HDDとトレイは別途4本のネジで固定されている)だけで行っている。

 職業上、こうしたちょっとした工夫を見つけると「おぉぉぉぉっ!!!」とテンションが上がるのだが、一般の方にこれを熱弁しても共感されたためしがないのでこの程度にしておこう。何にせよ、超簡単だ。

底面にあるHDDベイのフタはネジ1本で固定されている。
1本のネジがHDDトレイ部分まで貫通しており、これでトレイも同時に固定される。
HDDトレイと搭載されていたHDD。HDDはネジ4本で固定されている。
トレイにSSDを差し込み、ネジ4本で固定する。CT500BX100SSD1は7mm厚のため、若干のスペースができるが問題はない。気になる場合は、製品付属の9.5mm厚に変換するスペーサーを使用しても良いだろう。
あとはベイのフタを閉めれば完了だ。
HDD時のディスクの管理画面(左)とSSD換装後の画面(右)。クローン時にパーティションのサイズ変更も行ったため、Cドライブの容量も225.54GBから458.42GBへと拡大した。


確実に体感速度はアップ、ベンチマークの数字はふるわないものの、もっさりからキビキビに

 パフォーマンスの計測は前回同様、CrystalDiskMarkとストップウォッチによるOS起動時間計測とした。

 まずは「CrystalDiskMark」。下の画像はHDD(HGST HTS545025B9A300)搭載時のスコア(左)と、SSD(Crucial CT500BX100SSD1)換装後のスコアだ。

HDD(換装前)
SSD(換装後)

 Satellite B450/CのHDDは5,400rpmモデルだったこともあり、シーケンシャルでもリード/ライトは85MB/s前後だったが、SSDへの換装で約3倍の250MB/s前後へと向上。また、512K以下はどれも大幅に向上している。

 Satellite B450/Cは3Gbps SATAまでしか対応していないため、SSDはリミッターがかかってしまうかたちになるが、そうした制約がある状況でも、SSDには絶対的な速度の優位性がある。ちなみに、6Gbps SATA環境であれば、CT500BX100SSD1は500MB/s前後のパフォーマンス発揮する。

 続いて、OS起動速度を計測してみよう。時間はOS起動後にIEが起動し、WLAN認識後にウェブページが表示されるまでのものだ。

 OSの起動時間は意外にバラつきが出るのだが、前回テスト時から安定させる方法がないか検証していたところ、ブラウザの起動までをワンセットにすると安定した数値を得られることがわかった。

 方法としては、スタートアップにインターネットへのショートカットを入れておくというもの。こうすると、OS起動後にIEが自動起動し、WLAN認識後にウェブページが表示されるのだが、この状態だとデータのバラつきがあまり出ない。今後の計測はこれで統一するつもりだ。

 結果は、HDDが56秒、SSDが40秒。換装前から3割も高速化することができた。

 実際に操作してみると、エクスプローラの起動やそのほかのアプリケーションの起動も高速化されており、もっさりからキビキビとした動作に変化することが体感できる。ウェブ閲覧やテキスト処理のような軽めの使い方がメインであればSSDの恩恵は大きい。

 もっとも、CPU性能は変わらないので、CPUパワーが必要な処理の速度は変わらないが、
「同じPCのまま操作感を向上させる」というのは人によっては魅力的なはず。

 今回の手順は、OSの再インストールやその後のアップデート作業も不要なため、
「同じ環境のまま、PCを少しでも延命、そして快適にしたい」という人には最適な方法といえるだろう。

[制作協力:Crucial]

(石川 ひさよし)