ボクたちが愛した、想い出のパソコン・マイコンたち

大ヒットしたPC-8001の後継機にして、FM-7のライバル機種「PC-8001mkII」

正面からのフォルムはPC-8001よりもシャープになり、デザインとしては申し分の無い完成度になっています。

 想い出のレトロパソコンやゲームを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げるのは、NECが1983年に発売した「PC-8001mkII」です。

 1979年に登場したPC-8001は、当時は目新しい機能が多かったものの、後にライバル各社が発売したマイコン・パソコンにスペックで追い越されていきます。そこで1983年に世に送り出されたのが、後継機種となるPC-8001mkIIです。

PC-8001の後継機種はビジネスマシンですよ、と前面にうちだしていたのが分かる広告です。

 PC-8001mkIIは、PC-8001では160×100ドットのセミグラフィックだったところを、最大で640×200ドットの高解像度グラフィックを扱えるようにし、メモリも最初から64KBを内蔵しました。FDDインタフェースを備え、N-BASICとN80-BASICを搭載しての123,000円という価格は、当時のパソコンとしては十分に手が届く範囲でした。同じような時期に富士通からはFM-7が発売されたことで、雑誌ではPC-8001mkIIとFM-7の比較記事が掲載されるなど、一部ではライバルと表現されたこともありました。

PC-8001では1の隣に何もキーがありませんでしたが、PC-8001mkIIはESCが配置され、その下にTABキーが新設されています。キータッチも若干軽くなり、入力しやすくなっています。

 しかし、FM-7は640×200ドットでカラー8色が使えたほか音源もビープではなくPSG3声を搭載し、有名な市販作品が数多く発売されました。反対に、PC-8001mkIIは320×200ドットでカラー4色しか使えず、しかもそのうちの3色が固定という融通の利かない仕様のうえ、音源もビープのみとゲームをプレイするには明らかに非力で、FM-7と比べるのもおこがましいほどでした。特に、“肌色らしい肌色”が表現できないことは、当時流行していたアドベンチャーゲームの移植が少なくなってしまうことにも繋がったと思われます。

 PC-8001の後継機種ということで購入した人も多いようですが、結果的にFM-7やX1などのようには市販ソフトに恵まれず、“PC-8001mkII専用”というタイトルもほとんど見られませんでした。

数少ないPC-8001mkII専用タイトルとしては「芸夢狂人の宇宙旅行」「アラレのJump Up」があります。どちらも、当時のエニックスから発売されていました。
本体背面のI/Oポートは左からリセットボタン、カラーモニタ接続ポート、モノクロモニタ接続ポート、カセット接続ポート、RS-232Cポート、RS-232Cジャンパ、ディップスイッチ、フロッピーディスクポート、バーコードリーダなどの接続ポート、プリンタポートとなっています。その上部には、拡張スロットが2つ設けられています。

 PC-8001をビジネス用途として使用していた人にとっては、ワープロソフトなどもそれなりに充実していて悪くない機種だったと思いますが、筆者のようにゲームが目的であったにも関わらずPC-8001mkIIが手元に来てしまったという人は、FM-7やX1、PC-6001シリーズやPC-8801シリーズを持つ友人を羨ましく思ったのではないでしょうか。色数と音源のチープさに関しては未だに恨めしく思うことが多々あり、本機を設計した人に意図を聞き出したいと常に思っています(笑)。

ガワを取り外すと、上部にはシールド、下半分にはキーボードが見えます。キーボードの下にはスピーカが配置されていますが、音量調整が出来ないため効果音をオフに出来ないゲームでは消音対策に気を遣います。同じNECのPC-6001mkIIにはボリューム調節つまみがあるので、この点だけは納得いきませんでした(笑)。