パワレポ連動企画

国内電源メーカーに聞いた電源を買い換えるタイミング

【パワレポ連動:チョイ古 自作PC再生計画(23)】

DOS/V POWER REPORT 2016年7月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年7月号」の第1特集「あなたのPCが生まれ変わる!3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! チョイ古 自作PC再生計画」を掲載する。

 第23回目では国内の電源メーカーであるオウルテック、玄人志向の担当者に電源を買い換えるタイミングについて話を伺った。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年7月号は全国書店、ネット通販にて5月28日(土)に発売。第2特集はコストパフォーマンスに優れる大容量ディスクを用途別に解説する「容量単価×用途別が正解です 最新HDD購入案内」を掲載。そのほか、あなたのPCのメインメモリ、有効活用しませんか?「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! Windows 10時代のRAMディスク活用術」、持ち運びに便利な大容量で高速なフラッシュメモリ「ベンチで性能が丸分かり! 一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ」、スペースが許せば考えたい「ウルトラワイドもオーバー30型も PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、自作PCの組み立てやメンテナンスに関わる「?」を解決!「39のギモンにベストアンサー! PC自作Q&A事典2016」だ。


-チョイ古 自作PC再生計画-
電源編 その2 国内電源メーカーに聞いた電源を買い換えるタイミング


PCをじっくり観察して電源の状態を把握しよう
電源編

 電源は使い回すことの多いパーツでありながら、カバーで覆われているため、故障のサインに気付きにくい。

 買い換えタイミングを見計らうのが難しい電源について、どのように判断すればよいのか注意点をまとめた。

Interview国内電源メーカーに聞いた電源を買い換えるタイミング

 今回は、Sea Sonic製品を国内向けにカスタマイズしているオウルテックと、電源を自社開発している玄人志向に、メーカーならではの視点から、電源の買い換えタイミングについてうかがった。

サングラス男 氏
玄人志向のトレードマークでもあるサングラス男のご本人は、同社で電源の開発に携わる技術者だ
※記事初出時、サングラス男 氏と木山裕也 氏の写真の順序が逆になっておりました。関係者並びに読者の皆様にはお詫び申し上げます。
木山裕也 氏
オウルテックの営業グループサブリーダーであり、広報も兼任している

 まず、中身が見られない電源の、故障の予兆となる現象。両社ともまず第一にファンからの異音を挙げている。ベアリングの劣化やホコリの混入などによりファンに不調が生じると内部温度が上昇してしまうためだ。次がコンデンサの劣化。オウルテックによると、たとえば突然の再起動や電源が入らないといった形で現われると言う。ただし、保護回路によって生じた場合は、コンセントを含むすべてのケーブルを外し、1日程度放電することで復活することもあるとのこと。危険なのはこれが頻発する場合だ。

 PC起動中に電源が故障した場合のほかのパーツへの影響は、両社とも軽微であるとの答えだ。電源が異常な挙動をしたとしても、保護回路が働き、つながるパーツを保護する。ただし、玄人志向によるとリスクをゼロにすることは保護回路の構造上不可能なので、常に安定した電源を用いることが望ましいと言う。

 両社揃ってオススメする買い換えタイミングは、保証期間の満了時とシステム買い換え時だ。保証期間は部品の耐久性をもとにマージンを持って設定しているが、エアフロー不足や出力に対して消費電力が高過ぎる場合などで内部温度が高い場合、コンデンサの劣化が早まると言う。高負荷環境や小型PCで意識したいポイントだ。システム買い換え時に検討する理由は、オウルテックはシステムが要求する電力にマッチした出力が望ましいためとしている。とくにハイエンドGPUを搭載するときが要注意とのことだ。また、玄人志向からは、新たなシステムの構築時、旧電源を予備として確保しておけば、万が一のトラブル発生に際し、その原因の切り分けがしやすいといったアドバイスをもらうことができた。

 最後に、普段の使用で気を付けるべき点は、これも両社同じで、ケース内温度の管理と、ホコリの清掃を挙げた。オウルテックによると適切なケース内温度は30~40℃前後。玄人志向は環境温度が10℃下がるとコンデンサの寿命が2倍に伸びると説明している。そして定期的な清掃が欠かせないとのことだ。

【電源を買い換えるべきシチュエーション】

 電源の買い換えタイミングは、外見からは判断しづらいが、音やにおい、PCの挙動などから察することはできるようだ。

 そして、使い回すことに問題はないものの、構成を大きく変える場合は要注意。電源も同時に買い換えることでリスクが下げられる。

オウルテック、玄人志向のオススメ電源

Sea Sonic Electronics Xseries XP2S SS-660XP2S

実売価格:21,000円前後
ほかのパーツをアップグレードしても使い回せる電源を

660W / Platinum / 奥行き16cm / フルプラグイン / 5年間

 基本の部分に徹底的にこだわったのがこの電源。日本向けモデルに使用するコンデンサは、電解コンデンサはもちろん、固体コンデンサも日本メーカー製の耐熱105℃品。そして電源内部を冷却するファンには、2ボールベアリング仕様で「サイレントシリーズ」に属する山洋電気製12cm角ファンを採用しており、静かでありながら長寿命を実現している。また、静音という点では、準ファンレス機能「ハイブリッド・サイレントファンコントロール」も搭載。温度と負荷率を検知し、ファンの回転と停止を切り換える。

 耐久性、機能性ともにかなり上位に位置するモデルであり、自作PCのアップグレード間隔が長めになってしまった方はもちろん、頻繁にアップグレードする方でも1台の電源を何度も使い回したいというニーズにオススメだ。

Specification
●ファン:12cm角(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、EPS12V×1、Serial ATA×10、ペリフェラル×5、PCI Express 6+2ピン×4、FDD×1(ペリフェラル→ FDD変換ケーブル付属)

使用しているコンデンサは紛れもなく高品質の日本メーカー製耐熱105℃品だ
型番定格出力奥行き80PLUS認証実売価格
SS-860XP2S860W16cmPlatinum30,000円前後
SS-760XP2S760W16cmPlatinum23,000円前後
SS-660XP2S660W16cmPlatinum21,000円前後

玄人志向 KRPW-PT500W/92+ REV2.0

実売価格:9,000円前後
人気のハイコスパPlatinum電源はアップグレードにも向く

500W / Platinum / 奥行き14cm / 直付け / 3年間

 Platinum認証電源でありながら実売価格で1万円以下を実現している。ケーブル直付けモデルではあるが、奥行きは14cmと短めなので、余ったケーブルの処理も比較的楽ではある。コンデンサは1次側に日本メーカー製耐熱105℃品を用い、2次側には固体コンデンサを組み合わせることでコスト一辺倒ではなく、耐久性とのバランスを取っている。ファンは出力に応じて回転数を制御する12cm角ファンを採用。コストパフォーマンス重視の玄人志向製電源の中にありながら、やや長めの3年保証もPCの買い換えサイクル1回分をカバーできる意味でちょうどよい。

 ただし、PCI Express補助電源コネクタは6+2ピンと6ピンの組み合わせなので、ビデオカードはメインストリームクラスまで。ハイエンドを狙う方は、700W以上のモデルを選ぼう。出力に余裕が生まれるとともに、セミプラグイン方式であるため使い勝手も向上する。

Specification
●ファン:12cm角(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA ×6、ペリフェラル×2、PCI Express 6+2ピン×1、PCI Express 6ピン×1、FDD×1

500Wモデルはケーブル直付けだが、700Wモデル以上はセミプラグイン方式と、シリーズ内でもスペックが異なる(上の写真は700Wモデル)
型番定格出力奥行き80PLUS認証実売価格
KRPW-PT800W/92+ REV2.0800W16cmPlatinum14,000円前後
KRPW-PT700W/92+ REV2.0700W14cmPlatinum12,000円前後
KRPW-PT600W/92+ REV2.0600W14cmPlatinum11,000円前後
KRPW-PT500W/92+ REV2.0500W14cmPlatinum9,000円前後

【問い合わせ先】

Sea Sonic Electronics:046-236-3522(オウルテック)/http://www.seasonic.com/
玄人志向:- /http://www.kuroutoshikou.com/


[Text by 石川ひさよし]


DOS/V POWER REPORT 2016年7月号は5月28日(土)発売】

★第1特集「あなたのPCが生まれ変わる! 3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! 『チョイ古自作PC再生計画』」
★第2特集「容量単価×用途別が正解です 『最新HDD購入案内』」
★特別企画「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! 『Windows 10時代のRAMディスク活用術』」「ベンチで性能が丸分かり! 『一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ』」「ウルトラワイドもオーバー30型も 『PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ』」
★連載「最新自作計画 ~最新ケースで作るパワフル小型マシン~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「39のギモンにベストアンサー! 『PC自作Q&A辞典2016』」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)
★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2016-05-23-0956.php