パワレポ連動企画

予算5万円で長く使えるPCを作る ~AMD vs Intel 1万円CPU対決 1~

【パワレポ連動:真夏のCPU完全ガイド(18)】

DOS/V POWER REPORT 2016年9月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年9月号」の総力特集「CPU×90! メモリ×50!! CPUクーラー×100!!! マザー×200!!!! 関連パーツもフルコンプでお届け すべて見せます! 真夏のCPU完全ガイド」を掲載する。

 第18回目からは、低予算で長く使えるPCを作る際に、AMDとIntel、どちらのCPUがマッチするかを検証する。予算5万円のPCがどの程度の性能を発揮するかも合わせてご覧いただきたい。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年9月号は全国書店、ネット通販にて7月29日(金)に発売。特別企画はフルHDで遊ぶならこのクラス「ミドルレンジ戦線激化!Radeon RX 480&GeForce GTX 1060登場!!」、ただ風を送るだけじゃ無い!ドレスアップパーツとしても使える「サイズも形も色もいろいろ ケースファン・オールスターズ」、手の平におさまるハイレゾプレイヤーを作ろう「1万円チョイでこの高音質!Raspberry Piで作るハイレゾオーディオプレイヤー」を掲載。。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、「ケースに入るCPUクーラーの高さがすぐ分かる組み立て式チェッカー」。電子版の場合はデータをダウンロードしてプリンタで印刷しご利用ください。


-真夏のCPU完全ガイド-
5万円で長く使えるPCを作る ~AMDvs.Intel 1万円CPU対決 1~


シーン別・最適CPUを探せ!!その2
AMD vs. Intel1万円CPU対決

 予算5万円の低価格自作ならどのCPUを選ぶのがベターなのか。

 AMDとIntelの1万円前後のCPUをベースに、トレンド機能を備えるマザーボードと組み合わせて、単純な性能だけではなく消費電力や拡張性など多方面から実力をチェックしていく。

予算5万円で長く使える低価格PCを作る

 ここでは、CPU、メモリ、PCケース、電源など各パーツの合計を5万円以内に抑える一方で、マザーボードには現在トレンドのUSB 3.1 Type-CとM.2スロットを搭載したもの、という条件を設定。これにマッチするCPUを考えていく。

 予算5万円では、CPUに割り振れる予算は1万円前後が限界。そこで、AMDからは4コア4スレッドのA8-7670Kを、Intelからは2コア2スレッドのPentium G4500を選択した。CPUはPentium G4500のほうが安いが、これは今回の条件にマッチするIntel CPU向けマザーボードが、もっとも安いものでも実売1万2,000円前後のB150 PRO GAMINGだったため。AMD向けは条件に合うのがmicroATXのA88M-G/3.1しかなかったが、CPUに多くの予算を割くことができた。

 マザーボードの選択肢は多くないものの、全体的に安めなのがAMD環境の魅力。Intel環境ではローエンドクラスのマザーボードで機能豊富なものは意外にも少ない。

安ウマPC選択パーツ

CPUパワーをチェック

■単純なCPUパワーは4コアのA8-7670Kが強い

 まずはCINEBENCH R15でCPUの処理性能をチェックする。

 A8-7670Kは、コア単体の性能ではPentium G4500に劣るものの、4コアを活かしてマルチコアでの処理では優位に立つ。次はMediaEspresso 7を使用し、11分のAVCHD動画をMP4形式に変換する速度を測定した。GPU支援で画質より速度を重視するならQSVを備えるPentium G4500が強さを発揮するが、画質重視で変換するならA8-7670Kが上回る。求める動画品質によって結果は変わると言える。

CINEBENCH R15
MediaEspresso 7

CPU温度と消費電力は?

■TDPの低いPentium G4500が有利

サイズ 虎徹
実売価格:4,000円前後
現行CPUクーラーの代表格
2013年の発売以来、手頃な価格と高い冷却力でCPUクーラーの代表格として君臨。高さ16cmが収まるケースで使うなら、低価格自作においても選ばない理由はない

 CPU温度と消費電力に関しては、Pentium G4500が有利だ。A8-7670Kは、製造プロセスルールが28nmと微細化が進んでおらず、TDPは95WとハイエンドCPU並みに高く、Pentium G4500のプロセスルール14nm、TDP 51Wに対してかなり遅れを取っている。

 それぞれのCPUの内蔵センサーの値であるため、比較としてはCPU温度は参考程度にしてほしいが、A8-7670Kは大型CPUクーラーの虎徹を使用してもアイドル時、高負荷時ともに高め。そのせいもあってか、倍率ロックフリーなのでオーバークロックを試みるも、今回の環境では少しでも倍率をアップするとベンチマークを完走できなかった。

 CPU温度と消費電力の面を考えると、静音重視や小型ケースで組みたい場合は、Pentium G4500を選ぶほうがベターと言える。

CPU温度
システム全体の消費電力
A8-7670Kならお手軽OCが可能
倍率ロックフリーなのでUEFIのメニューから簡単にオーバークロック設定が行なえる。ただ、今回の環境では少しでもクロックを上げると不安定になってしまった

内蔵GPUの実力は?

■Radeon R7を内蔵するA8-7670Kが勝利

 内蔵GPUでは、実行ユニット384基のRadeon R7を採用するA8-7670Kが強さを見せる。Pentium G4500もIntelの上位CPUと同じHD Graphics 530(同24基)を採用し、過去のPentiumシリーズから3D性能を着実に伸ばしているが、まだAMDのAシリーズにはかなわない。

 ただし、注意が必要なのはAシリーズの内蔵GPUはメモリの速度が性能に大きく影響することだ。A8-7670KはDDR3-2133までの対応でDDR3-1600も使用可能だが、3D性能がガクンと下がる。ベンチマークによってはPentium G4500に負けることがあるほど。逆に、DDR3-2400に対応するマザーボードとメモリを使用すれば、さらに性能の伸びる余地があるのはおもしろい。

3DMark v2.0.2530-Sky Diver
ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク 1,920×1,080ドット
メモリの設定に注意しよう
A8-7670Kの内蔵GPUはメモリの速度が性能に大きく影響する。DDR3-2133など高クロックのメモリを使用しているときは、正しく設定されているかUEFIで確認しておくとよいだろう

【検証環境】

メモリ:CFD販売 CFD Panram W4U2133PS-4G(PC4-17000 DDR4 SDRAM 4GB×2)、Novax Technologies UMAX Cetus DCDDR3-2133-8GB(PC3-17000 DDR3 SDRAM 4GB×2)
SSD:SanDisk SSD PLUS SDSSDA-240G-J26C(Serial ATA 3.0、TLC、240GB)
電源:Antec Neo ECO Classic NE550C(550W、80PLUS Bronze)
CPUクーラー:サイズ 虎徹
OS:Windows 10 Pro 64bit版
アイドル時:OS起動10分後の値
高負荷時:OCCT 4.4.2 CPU Linkpackを15分間動作させたときの最大値
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO
CPU温度:HWMonitor 1.28のCPU Temperatures のPackageの値


【問い合わせ先】

Advanced Micro Devices:0066-33-81265(日本AMD)/http://www.amd.co.jp/
Intel:0120-868686(インテル)/http://www.intel.co.jp/
ASRock:03-3768-1321(マスタードシード)/http://www.asrock.com/
ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/http://www.asus.com/jp/
サイズ:support@scythe.co.jp /http://www.scythe.co.jp/


[Text by 芹澤正芳]


DOS/V POWER REPORT 2016年9月号は7月29日(金)発売】

★総力特集「CPU×90! メモリ×50!! CPUクーラー×100!!! マザー×200!!!! 関連パーツもフルコンプでお届け すべて見せます! 『真夏のCPU完全ガイド』」
★特別企画「ミドルレンジ戦線激化! 『Radeon RX 480&GeForce GTX 1060登場!!』」「サイズも形も色もいろいろ 『ケースファン・オールスターズ』」「1万円チョイでこの高音質! 『Raspberry Piで作るハイレゾオーディオプレイヤー』」
★連載「最新自作計画 ~最小級ATXケースで作るパワフルゲーミングPC~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「ケースに入るCPUクーラーの高さがすぐ分かる組み立て式チェッカー」(雑誌のみ別途付録、電子版は印刷用データをホームページでダウンロード可能)
★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2016-07-22-0000.php

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