パワレポ連動企画

ゲーミングPCでSSDをどう選ぶべきか ~SSDを活かす作例 1~

【パワレポ連動:買いの最新SSD総チェック(19)】

DOS/V POWER REPORT 2016年10月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年10月号」の第1特集「超高速・大容量・低価格 重要キーワードと製品を一気読み 買いの最新SSD総チェック」を掲載する。

 第19回からは、用途の違うPCごとにどのようなSSDを選ぶべきかを検討していく。まず始めはゲーミングPCの作例を紹介する。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年10月号は全国書店、ネット通販にて8月29日(月)に発売。第2特集は、ワット数だけではない電源の見えない箇所を徹底比較「2016年登場のニューフェースを徹底検証! 新顔ATX電源大品評会」。特別企画は、可視化されるとなぜか外へ出たくなる「ガジェット活用で楽しく生活改善 IT派の活動量計入門」、もっとも手に触れるものだけに、自分に合ったものを使いたい「スイッチ、レイアウト、デザイン……アナタの決め手は? キーボード選び放題」、キーボードにこだわるならこちらも妥協したくない「ゲーミングモデルを中心に続々登場! 新世代高機能マウス30製品」を掲載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、小冊子「市場に並ぶ140超の製品をまるっと収録 電源名鑑 2016」。第2特集と合わせ、電源選びの参考にどうぞ。


-買いの最新SSD総チェック-
ゲーミングPCでSSDをどう選ぶか ~SSDを活かす作例 1~


SSDを活かす作例 その1

ゲーミングPCにおいてはSSDはどう選ぶべきかを予算と効果から検討する

 ゲーミングPCの要はビデオカード。グラフィックス重視の大作ゲームが快適に遊べることを追求しつつ、今後のSSDトレンドも追いかけやすい作例を考えてみた。

ゲーミングPCパーツ選びの鉄則

長くベースになるゲーミングPCを作る

3DMark v2.0.2530のスコア
最新GPUのベンチスコア。予算内で一番良いものを選ぼう

 ゲーム起動時やロード時のイライラ解消にSSDは必要不可欠な装備だが、ゲーミングPCの命であるビデオカードに比べたら投資の重要性は低い。今回は、16万円程度を予算目標としていたのだが、この額があれば、どこかをやりくりすれば予算内で高速なNVMe SSDにも手が出せる……という誘惑にかられてしまうのが自作派のサガ。しかしここでは、容量と価格のバランスを考慮してSerial ATAの2.5インチSSDを選択した。その代わり、ビデオカードにはワットパフォーマンス抜群のGeForce GTX 1070搭載カードが選択でき、CPUにもCore i7-6700Kを搭載する、かなりハイパワーな構成を実現できた。

 メモリは余裕を見て16GB構成にしたが、8GBと最小限に抑えればさらに5,000円前後のマイナス。ゲームの処理性能に直接影響しないPCケースをもっと安めのモノにすれば、16万円を切ることも可能だ。

 軽めのeスポーツ系ゲームで遊ぶなら、Core i5-6600にH170搭載のミドルレンジマザー、GeForce GTX 1060搭載カードがあれば十分な性能は出るが、重量級の大作ゲームを快適に遊ぶには、今回の構成がよいだろう。逆にGeForce GTX 1080搭載ビデオカードを選ぶなら、さらに4万円以上予算が必要になるため、ハードルはかなり高くなる。

ゲーミングPCのパーツ構成

【「長くベースになるゲーミングPCを作る」の検証環境】

CPU:Intel Core i7-6700K(4GHz)
マザーボード:ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
システムSSD:Intel SSD 750 SSDPEDMW400G4X1(PCI Express 3.0 x4、MLC、400GB)
電源:Corsair RM650(650W、80PLUS Gold)
OS:Windows 10 Pro 64bit版

将来性とレイアウトに気を使ったマザー選び

ASUSTeK Computer Z170-A
PCI Expressレーンの分割が可能なZ170は、SSDの選択肢を大幅に増やしてくれる頼もしい存在だ。定番モデルの中から、ムダな装備が少なくすべての面でバランスがよい「Z170-A」を選んだ
M.2スロットがビデオカードから離れた場所にあるのがよいレイアウト。次点は、CPUとPCI Express x16スロットの間にM.2スロットがあるタイプ
NVMe SSD使用時でもビデオカードの帯域を削る必要のないX99マザーはZ170マザーよりもシステム構成の柔軟性がある。値段が高いだけのことはあるのだ

 SSDを中心にゲーミングPCを考えた場合、要となるのはマザーの拡張性とレイアウトだ。将来的にはM.2やPCI ExpressカードのSSDを使う可能性も考慮しておきたい。

 まずはM.2スロットの配置。ビデオカード直下のM.2スロットは、発熱の大きいM.2 NVMe SSDには向かないので、PCH側に配置されているマザーを厳選したい。

 またPCI Express NVMeにはビデオカード用のx16を2系統のx8に分割できるZ170マザーが圧倒的に有利だ。PCI Express NVMeをCPUに直結できるため、SSDの限界性能に迫ることができる。その場合、ビデオカードの帯域は半減するが、実際の性能への影響は軽微。この路線を突き詰めるとX99マザーが最強だが、シングルGPU環境ならZ170マザーが費用対効果で最良の選択だ。

SSD予算は容量に全力投入、ビデオカードはケチるな!

PCケースはビデオカードが収容できて冷却力が高めのものでさえあれば、あとは好みと予算しだい。ゲーマー的にも5インチベイの重要度はすでに低いので、Define Sなどもオススメ

 ゲーミングPCにおける下策は、ビデオカードの性能とSSDの容量をケチること。現在のゲームは、1本30~80GBと巨大化しているため、超高速でも容量の小さいPCI Express SSDでは容量がすぐ厳しくなる。HDD併用で補う手もあるが、Cドライブ極大化のほうが利便性も快適性も上。最低でも500GBのSSDは欲しいところだ。

 SSDの読み書き性能はゲームのロード待ち時間短縮に効果的なように思えるが、それはHDDとSSDを比較したときの話。今時の定番SSDなら、ゲームプレイにはほとんど影響がない。割高な超高速SSDよりも、コスパのよいSerial ATAで大容量のSSDと、グレードの高いビデオカードを同時に選択するのが、ゲーミングPCとしてはベストだ。

予算7万円のSSD&ビデオカード選び
※ PC全体の予算を上限17万円、うちビデオカードとSSD 以外の予算を10万円とし、残り予算7万円でSSDとビデオカードを購入する、と仮定して構成を検討

NVMeでもゲームでの体感には大きな差は感じられず

 将来的なNVMe SSDへの移行も視野に入れたマザー選択にすべきとしながらも、現状ではSerial ATA SSDが最良と説いた理由を、重量級の大作ゲーム「ライズ・オブ・トゥームレイダー」を題材にして実証してみよう。ここではMicronのSerial ATA SSD、MX200(500GB)のほかに、SamsungのNVMe対応M.2タイプ、SSD 950 PRO M.2(512GB)、IntelのPCI ExpressカードタイプのSSD 750(400GB)の2製品を用意した。それぞれのSSDを起動ドライブとしてセットアップし、ゲーム中のフレームレートや起動後の待ち時間を比較する。SSD 750についてはCPU直結かPCH接続かの違いも比較した(データリード量推移を除く)。

 まずゲーム中のフレームレートについては、どのSSDでも大きな差は見られない。PCI Express SSDをCPU側に接続すると、ビデオカードのレーン数がx16からx8に半減するが、差は誤差程度。一方、待ち時間はSerial ATA SSDよりもPCI Express SSDのほうがいずれも短くなることは確認できたが、最大でも起動までで約1秒、セーブデータの読み出しで1秒以下の計2秒程度の差しかなく、価格差に見合う結果とは言えない。

ライズ・オブ・トゥームレイダー
ゲームプレイ時の待ち時間

 しかし、CrystalDiskMarkでは圧倒的な差を見せるPCI Express SSDがゲーム中の待ち時間にはほとんど影響がないのはなぜか。その理由は、待ち時間のデータリード量を監視すれば一目瞭然だ。ゲーム起動時およびコンティニュー時(タイトル画面でセーブデータの読み出しを行なう)には確かにSSDに高い負荷がかかるが、データリード量のピークは290MB/sと、Serial ATAの速度限界(550MB/s程度)よりもはるかに低い。この待ち時間の間は、読み込んだデータをメモリやビデオメモリに展開したり、シェーダーを用意したりといった準備も行なうため、ストレージの性能が高くても、別の部分の処理がボトルネックとなるのだ。

ゲーム起動~再開時のデータリード量の推移

【それでも私がIntel SSD 750を使うのは……】

ケーブルだと破損や接触不良が怖いが、PCI Expressカードだとスロットに挿せば動くので安心感がある

 Serial ATAのSSDで十分と説く私だが、ビデオカード検証環境ではIntel SSD 750を使っている。理由は、“ポン付けで動く”から。Serial ATAでの配線、M.2での細かいネジ止めといった作業は不要。放熱性が高いためテスト時に安定した速度が期待できるのもM.2に対する圧倒的なアドバンテージ。

 ゲーム以外の要素も加味するとNVMe SSDは十分アリなのだ。

スマートホン用サーモグラフィカメラ「FLIR ONE」で、SSD 750(写真左)およびSSD 950 PRO M.2(同右)使用時のサーモグラフィ写真を撮ってみた。SSD 950 PRO M.2のほうは、コントローラ周辺がかなり高い温度になっていることが分かる

【検証環境】

SSD:Samsung SSD 950 PRO M.2 MZ-V5P2512B/IT(PCI Express 3.0 x4、MLC、512GB)、Intel SSD 750 SSDPEDMW400G4X1(PCI Express 3.0 x4、MLC、400GB)
ライズ・オブ・トゥームレイダー:プリセットの“最高”を選択後にアンチエイリアスを“FXAA”に設定し、内蔵ベンチマークモードを使いフレームレートを測定、ゲームプレイ時の待ち時間:ライズ・オブ・トゥームレイダーのランチャからゲームを起動してメインメニューが出るまで、およびメインメニューから最新セーブデータを読み出しゲームに復帰するまでの時間を3回計測した平均
ゲーム起動~再開時のデータリード量の推移:前述のゲームプレイ時の待ち時間計測時にHWiNFO64を使用してSSDから読み込むデータ量を計測


【問い合わせ先】

Intel:0120-868686(インテル)/http://www.intel.co.jp/
ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/http://www.asus.com/jp/
Micron Technology:―/http://jp.crucialproducts.com/
GIGA-BYTE TECHNOLOGY:050-3786-9585(CFD販売)/http://www.gigabyte.jp/
Cooler Master Technology:03-5215-5650(アスク)/http://www.coolermaster.co.jp/
Corsair Components:03-5812-5820(リンクスインターナショナル)/http://www.corsair.com/
サイズ:support@scythe.co.jp /http://www.scythe.co.jp/


[Text by 加藤勝明]


DOS/V POWER REPORT 2016年10月号は8月29日(月)発売】

★第1特集「超高速・大容量・低価格 重要キーワードと製品を一気読み 『買いの最新SSD総チェック』」
★第2特集「2016年登場のニューフェースを徹底検証! 『新顔ATX電源大品評会』」
★特別企画「ガジェット活用で楽しく生活改善 『IT派の活動量計入門』」「スイッチ、レイアウト、デザイン……アナタの決め手は? 『キーボード選び放題』」「ゲーミングモデルを中心に続々登場! 『新世代高機能マウス30製品』」
★連載「最新自作計画 ~メニイコアでもお買い得 VRレディのパワフルPC~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録小冊子「市場に並ぶ140超の製品をまるっと収録 電源名鑑 2016」(雑誌のみ別途付録、電子版は巻末に収録)
★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2016-08-22-0943.php

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