パワレポ連動企画
【小型PC徹底紹介(1)】小型PC自作のビッグウェーブが到来
小型PCの正解はどっち? Mini-ITX vs microATX
(2014/4/26 21:05)
先月、弊誌で全13回に渡って掲載した自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集記事「最新版、PC自作の基礎知識」。掲載後、多くの反響を頂き、28日発売の6月号でも第一特集を「全部載せちゃう」こととなった。今回も全17回程度で分割掲載する予定だ。
今号の特集は、「小型PCの正解はどっち? Mini-ITX vs microATX」と題したもので、計42ページ。両者を徹底的に検証、PCケースやマザーボードの解説はもちろん、小型PCならではのパーツ紹介やトラブル対策に至るまで、細部にわたってまとめている。
第1回目の今回はその概要編。
小型PCがなぜ今オススメなのか?そのポイントや背景を解説、快適な小型PCを作るための「キモ」も紹介している。興味のある向きには、是非一読をお勧めしたい。
なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 6月号は4月28日発売。今号より、Kindle版でも700円の期間限定セールも開始される。内容は、42ページにもわたる今特集のほか、「Windows XPとの正しい別れ方」や、Windows 8.1向けのストアアプリ辞典、「改造バカ一台」、連載まんが「わがままDIY」など盛り沢山だ。
- DOS/V POWER REPORT 2014年6月号 Special Edition -
小型PC自作のビッグウェーブが到来
気付いているだろうか? 小型PCを取り巻く状況が劇的に変化している。性能が低い、拡張性がない、自由度が低いなどといったイメージはもう古い。ついにやってきた小型PC自作の新たな潮流、この機会を逃がす手はない。
「小ささ」こそ何よりの魅力、ATXから主役の座を奪う勢い
Intelが1995年にATX規格を策定して以来、自作PCはATXフォームファクターを中心に展開してきた。2014年の今であっても、やはり主力、主流は何かと言われれば、マザーボードもPCケースもATXである。しかし、その一方で近年はMini-ITX、microATXを中心とした小型フォームファクターの台頭も著しい。とくにここ1年ほどの勢いは目覚ましく、いよいよメインストリームに踊り出ようかというところまで来ている。
小型PCの魅力は何と言ってもコンパクトで扱いやすいことだ。日本の家庭事情を考えれば、ATXのPCが大き過ぎるのは明白だ。しかし、それでも結局これまでATXが主力であり続けたのは、小型PCがメジャーになるための条件が揃っていなかったからだ。
たとえば、拡張性が低い、組み立てにくい、相性問題が頻発する、性能を上げにくい、静音性に難がある……実際、数年ほど前まで小型PCにこのような制限、難点があったのは事実。そのため小型PCを自作するユーザーは少数派で、メーカーもATX以上に力を入れることはできないという悪循環に陥っていた。小型PCを切望しながらも「魅力的な製品がATXにしかない」、「小型PC向けの選択肢が少ない」といった理由で結局はATXに戻ってしまったユーザーも少なくないのではないだろうか。しかし、今はまったく状況が異なる。
最近の状況:今時の小型PCは凄い!
長い潜伏期間を経て表舞台に、この流れに乗り遅れるな
まずは上に挙げた作例を見てほしい。コンパクトなボディにデュアルGPUシステムをクールに内蔵したゲームマシン、ツールフリーで楽々メンテナンスができるメインマシン、省エネ&省電力を追求したコンパクトキューブと、小ささ以外の要素もATXマシンに見劣りしない魅力たっぷりの内容だ。
これらは決して特別な例ではない。今現在の小型PCトレンドを押さえていれば、誰もが思い付き、実際に作ることができる。それだけMini-ITX/microATXケースの進化は著しい。組み立てやすさ、拡張性、冷却効率、デザインまで、あらゆる面で進化しており、バリエーションも小ささ優先から拡張性優先まで豊富な選択肢から選べる。マザーボードもまた然りだ。
もどかしい状況の中でも小型化をあきらめなかった各メーカーの成果が現われている。これだけ条件が整ってきた今、このビッグウェーブに乗らない手はないだろう。
高性能な小型PCが実現したワケ
高性能、高機能で満足度の高い小型PCを自作できるようになったのには理由がある。一つはCPUやチップセット、マザーボードへの機能統合が進んだことだ。これにより拡張の必要性自体が薄れ、拡張性に制限があることがさほどマイナスにならなくなった。
もう一つはCPU、GPUを中心としたPCパーツの省電力化、低発熱化が進んだことだ。放熱が格段に容易になり、ケースの放熱効率の向上もあって高性能システムをムリなく搭載可能になった。
こうした流れを受けてメーカーは独自に工夫を重ねてきた。ユーザーの声を反映する形で徐々に進化し、自由度や使い勝手が増し、今のような状況になってきたというわけだ。
CPU・マザーボードへの機能集約
CPUが内蔵GPUや各種インターフェースを統合して進化したことでCPU、マザーボードに機能が集約され、システムに必要な機能のほとんどがマザーボードに標準で搭載されるようになり、拡張スロットなどによる拡張の必要性が格段に減った。
CPU・GPU・電源……発熱量の低下
2006年頃から世界的な省エネ需要を受けてCPU、GPUの消費電力が年々低下傾向に。電源でも80PLUSをきっかけに高変換効率の流れが定着するなどPCシステム全体で消費電力と発熱量が大きく低下したことで、放熱が格段に容易になってきた。
快適な小型PCを自作するポイント
トレンド要素を頭に入れつつ、イメージをハッキリ持とう
よりよい小型PC、満足度の高い小型PCを作るポイントを考えてみよう。基本的には通常のPC自作と変わらない。自作しようとしているPCの用途や目的を可能な限りはっきりイメージしてパーツ構成を練っていくことが重要なポイントだ。とくに小型PCの場合は拡張性に制限があるだけに、後からの拡張をアテにしないでシビアに考えたほうがよいだろう。必要な機能はすべてマザーボードに標準で搭載されていることが理想であり、マザーボードは強くこだわって選ぶべきだ。
また、ケーブルレスでストレージを搭載できるmSATA、LANケーブルの配線を省ける高速無線LAN機能、電源ファンを排除できケース内部もすっきりさせられるACアダプタ電源など、小型PC自作をきっかけに浮上してきたトレンドを取り入れることも考えてみよう。また、組み立てが容易で搭載可能なパーツの種類も多いというメリットのある、大きめのMini-ITXケースが増えている。“小型PCを作りたいのに大きめなんて……”と考えるかもしれないが、一般的なmicroATXケースよりはかなり小さい。「小型」というイメージにとらわれ過ぎず、自分なりのサイズ感で柔軟に考えていくと、自作PCの楽しみはこれまで以上に広がっていくことだろう。
[Text by 鈴木雅暢]
【microATX自作の基礎知識】
ATXから拡張スロット部分を切り詰めた小型版。コンパクトさと拡張性を両立している点が魅力だが、コンシューマ向けマザーボードの独自機能などはATXモデルより微妙にグレードが落ちるものも。OEM向けの主力であり、そこから転用したと思われる安価な製品も多い。
【microATXの特徴】
●汎用拡張スロットは4本まで
●対応マザーボードはATXモデルと比べるとグレードが落ちる製品が多い
●Mini-ITXよりも安価で地味な製品が多い
●OEM向け(※メーカー製デスクトップPC)の主力フォームファクター
【Mini-ITX自作の基礎知識】
ATX/microATXをベースにさらに小型化。汎用スロットが1本しかない代わりにmSATAやPCI Express Mini Cardスロットを装備するものもあり、これらのミニ規格も普及しつつある。マザーボード、ケースともmicroATXよりMini-ITXのほうがコンシューマ向け展開は活発な印象がある。
【Mini-ITXの特徴】
●汎用拡張スロットは1本のみ
●mSATA、PCI Express Mini CardなどノートPC向け規格の装備も
●コンデンサやコイルなどもノートPC向けの小型部品が目立つ
●マザー、ケースともmicroATXよりコンシューマ展開が積極的な印象
【DOS/V POWER REPORT 6月号は4月28日発売】
★特集「小型PCの正解はどちらだ!? Mini-ITX vs microATX」はもちろん、サポートが終了したWindows XPからの正しい引っ越し手順など、多数の記事を掲載
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