パワレポ連動企画

静音マシンをもっと静かに、静音チューニング術

【冷却まわりの新鉄則、教えます(11)】

DOS/V POWER REPORT 9月号

 このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌9月号の特集記事「冷却周まわりの新たな鉄則、教えます〜冷却・静音、これが答えだ!〜」をほぼまるごと掲載する。

 第十一回目の今回は、静音PCをさらに静かにする静音チューニング方法を紹介する。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 9月号は絶賛発売中。9月号では今回の特集のほか、USBバスパワーで動作する冷却グッズや薄型CPUクーラーの紹介、6TBクラスの大容量HDD特集、橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、100個の自作PC問題を載せた「PC自作力 2014年度夏期試験」が小冊子として付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。


- DOS/V POWER REPORT 2014年9月号 Special Edition -


静音パーツそのままで使っていませんか?
静音マシンはもっと静かになる!

 静音パーツを集めてマシンを作ったところ、そこそこ静かで大きな不満はないけど、こんなものかな?と思っている方もいるのではないだろうか。実は、今時の静音パーツ、静音PCは、チューニングで格段に静かになるのだ。

静音マシンを無調整で使うのはもったいない

 現在では、静音仕様のPCケースやオリジナルクーラーのビデオカードなど、静音性を追求したパーツは簡単に入手でき、それらを集めて組み上げれば、意外と簡単に静音マシンを作れてしまう。ただ、静音パーツといえども、多くの環境で安定動作させるために冷却能力には余裕を持たせてあることが多い。実際にマシンを組んだ際には、必要以上にファンが回転するようなこともある。

 これは、見方を変えれば、温度面の問題がない範囲でファンの回転数などを調整していけば、まだまだ静音性が向上する可能性が残されているということなのだ。この考えをもとに、ここでは静音マシンをとことん静音化するための実践的チューニング方法を紹介していく。

テストマシンに使用した静音パーツ

PCケース Fractal Design Define R4
静音マシンの要となるPCケースは、静音志向の設計ながら、ファンの交換、増設も容易なミドルタワーケース「Define R4」を使用した。
ポイント1:要所に吸音材を装備
フロントパネル、サイドパネルに吸音材を装備することで防音性を上げている
ポイント2:遮音性を高める工夫
音漏れを防ぐべくオプションファン用の通気口にはきちんとカバーが施されている
電源ユニット
Enermax
ERX530AWT
CPUクーラー
サイズ
阿修羅
ビデオカード
ASUS
STRIX-R9280-OC-3GD5
電源は高効率で発熱の小さいEnermaxの80PLUS Gold認証取得電源「Revolution-X't ERX530AWT」を採用。冷却性能、静音性ともに優れるというファンに期待。
CPUクーラーは、低回転で大風量を得られる14cm径ファンを採用したサイズの「阿修羅」を採用。静かで冷却性能に優れるのがポイント。
ビデオカードは、ASUSTeKのAMD Radeon R9 280搭載モデル「STRIX-R9280-OC-3GD5」を使用した。GPU温度が65℃を超えるまでファンが動作しない準ファンレス仕様で、3Dゲームプレイ時以外は無音で動作する。
使用した静音マシンの構成
カテゴリー 製品名 実売価格
CPU Intel Core i7-4790K(4GHz) 37,000円前後
マザーボード ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97) 22,000円前後
メモリ Team Group TED38192M1600C11DC(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2) 8,000円前後
ビデオカード ASUSTeK STRIX-R9280-OC-3GD5(AMD Radeon R9 280) 39,000円前後
SSD CFD販売 CSSD-S6T256NHG6Q(Serial ATA 3.0、MLC、256GB) 15,000円前後
HDD Western Digital WD Green 3TB WD30EZRX-1TBP(Serial ATA 3.0、5,400rpm、3TB) 10,000円前後
電源ユニット Enermax Revolution-X't ERX530AWT(530W、80PLUS Gold) 11,000円前後
PCケース Fractal Design Define R4(ATX) 11,000円前後
CPUクーラー サイズ 阿修羅 4,000円前後

組み上げた静音マシンの動作音をチェック

 まずは、組み上げた静音マシンのアイドル時、高負荷時の動作音をチェックしてみる。

組み上げた静音マシン
【ケーブルは裏面配線】
各ケーブルはケースの裏面配線機能を利用して背面にまとめた
動作音の計測
ケース内部の温度は温度計で計測
動作音の計測は、ケース前面から約10c mの位置に騒音計を置いて行なった
ケース内部の熱だまりになりそうな部分の温度は温度計で計測した
各パーツの温度の計測
各パーツの温度の計測には、HWMonitor 1.25を用いた。CPUはCPU TemperaturesのPackageの値、マザーボードは、マザーボードTemperaturesのMainboardの値、ビデオカードはビデオカードTemperaturesのPackageのTMPIN0の値、SSDはSSD TemperaturesのAssemblyの値、HDDはHDD TemperaturesのAssemblyの値を計測している

 アイドル時は、OS起動10分後の値。高負荷時は、OCCT 4.4.0のPOWER SUPPLYを実行し、12分間実行中の値を計測した。また、動作音が静かでも各パーツの冷却がきちんと行なわれていなければ意味はないので、HWMonitor 1.25で、CPU、マザーボード、ビデオカード、SSD、HDDの温度も計測。さらに、ケース内部の熱だまりになりそうな部分の温度も温度計で計測した。

 動作音の測定結果は、アイドル時で40.2dB、高負荷時で41.3dB。数値的にはかなりよいが、実際にはファンの音がやや気になる。各部の温度を見てみるとまったく問題がないので、チューニングの第一歩としてファンの回転数を落としてみる。

動作音、各部の温度結果
ファンの回転数を落とすことでさらなる静音化を目指してみる

ケースファンの回転数をケース付属のファンコンで低速にしてみる

Define R4にはファンコントローラが付属しており、12V、7V、5Vと供給電圧を変えることでケースファンの回転数を変えることができる

 使用したケースは、電圧(12V、7V、5V)によってファンの回転数を変更できるファンコンが付属しているので、これを使ってファンの回転数を落として、動作音と各部の温度を計測してみた。結果は下のとおり、一番低速の5Vに設定した場合、アイドル時で30.6dB、高負荷時で35.9dBとなった。アイドル時はほぼ無音に感じる。ただし、高負荷時はケースファン以外の音、とくにCPUクーラーのファンの音が耳に付くようになった。次はこの対策を考えてみることにする。

ファンコントローラでケースファンの回転数を落とした後の動作音・各部の温度結果

Fan Xpert 3で静音化を図ってみる

 次は、ケースファンに加え、CPUクーラーのファンも制御できるASUSTeKのマザーボード付属ユーティリティ「Fan Xpert 3」を試してみた。Fan Xpert 3で各ファンをキャリブレーションした後、Silentプロファイルを適用した状態で計測したのが右下の結果だが、高負荷時でもほぼ動作音が気にならなくなった。CPU温度の上昇が気になる人もいると思うが、通常使用ではまずあり得ないほどの負荷をかけ続けるOCCT実行中の値であるので問題はない。この結果を受け、ファンの制御はファンコンではなくFan Xpert 3で行なうことにした。

ASUSTeK Z97-PROに付属するユーティリティ「Fan Xpert 3」。ファンの回転数を手動で細かく制御することもできるが、今回はSilentプロファイルを使用した
Fan Xpert 3でCPUクーラーを使って回転数を落とした後の動作音・各部の温度結果

PCケースに音漏れ対策を施す

 Fan Xpert 3でかなり静かになったとはいえ、まだ高負荷時には若干ながらファンの音が気になる。そこで次はケースに音漏れ対策を施すことにした。行なった対策は左下のとおりだ。その結果、アイドル時で28.8dBと無音(暗騒音と同じ)に、高負荷時でも33.1dBと動作音が気にならないレベルになった。各部の温度もあまり上昇しておらず、音漏れ対策の効果はかなり大きいことが確認できた。

音漏れ対策を施すポイント。底面のファン用の穴をふさぐ・フロントパネル側面のスリットをふさぐ・背面上部の空調用の穴をふさぐ・拡張スロットカバーをスリット無しのものに変更
音漏れ対策後の動作音・各部の温度結果

電源ユニットを準ファンレスのものに変えてみる

 静音化はほぼ完璧に実現できたが、高負荷時に電源ユニットのファンが発するノイズが若干気になったので、電源ユニットを準ファンレスのCorsair Components RM450に交換してみた。その結果、気になっていたノイズは消え、アイドル時、高負荷時ともにさらに動作音は小さくなった。ほかの部分の静音化がすんでから気になり始めたので、優先順位は低いが、静音PCにはやはり準ファンレス電源の導入を考えたほうがよいかもしれない。

【Corsair Components RM450】(実売価格:12,000円前後)
80PLUS Gold認証を取得した定格出力450Wの準ファンレス電源ユニット。負荷率が40%以下の場合はファンが回転せず、無音で動作する
電源ユニットを準ファンレスのものに変えた後の動作音結果

【まとめ】

●静音PCはファンの制御が重要
●ファンの制御にはケース付属のファンコンよりユーティリティのほうが有効
●不要な穴をふさぐのは効果アリ
●電源ユニットは準ファンレスのものが最適


【検証環境】

OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、室温:31.5℃、暗騒音:28.8dB、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0のPOWER SUPPLYを12分間実行中の値、各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.25、ケース内部の温度:サイズ KAMA-Thermo どこでも温度計2での計測値を四捨五入、動作音測定距離:ケースの前面から約10cm

[Text by 滝 伸次]



DOS/V POWER REPORT 9月号は7月29日(火)発売】

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(AKIBA PC Hotline!編集部)