パワレポ連動企画

最新SSDのキホン

【SSDの買い方指南(4)】

DOS/V POWER REPORT 10月号

 このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌10月号の特集記事「損しないSSDの買い方」をほぼまるごと掲載する。

 第四回目の今回は、最新SSDの基本を紹介する。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 10月号は絶賛発売中。10月号では今回の特集のほか、売れ筋電源12モデルを比較・検証する「電源オールスターバトル」や、ドライブベイ用お役立ちアイテム 20選、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、最新&定番のビデオカードを掲載した「最新&定番ビデオカード 140」が小冊子として付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。


- DOS/V POWER REPORT 2014年10月号 Special Edition -


知ってる? 知らない!? 最新SSDのキホン

 SSDのデータ転送方式はSerial ATAが主力だが、今年に入ってより高速なPCI Expressに対応する製品が登場した。また、その形状もさまざま。ここで整理しておこう。

多様化するインターフェース規格、機器形状とデータ転送方式に注意

 現在のSSDは、2.5インチ形状でSerial ATA対応の製品が主流だが、新しい規格が登場したことで多様化が進み複雑化している。混乱しがちな状況だが、「データ転送方式」、「接続方法」、「機器の形状」の3項目に分けて考えると理解しやすい。

SSDを接続できるマザーボードのインターフェース

 まず、Intel 9シリーズチップセット搭載マザーで搭載例が多い「M.2」について説明しよう。M.2は、基板をスロットに直接接続して利用するカードデバイスの規格だ。Serial ATA接続専用の「mSATA」に代わるものとして策定された。データ転送方式には、Serial ATAまたはPCI Express(2.0/3.0 x2/x4接続)などを利用できる。また、複数の信号が結線されているM.2スロットでは、接続する機器に応じてデータ転送方式を自動的に切り換える機能も搭載する。

 「SATA Express」は、接続方法にケーブル接続を採用した規格である。機器の形状は、2.5/3.5インチ形状で、データ転送方式は、Serial ATAまたはPCI Express(2.0/3.0 x2接続)のいずれかが利用できる。SATA Expressも、M.2同様に、接続機器の種類でデータ転送方式を自動切り換えする。

 なお、NANDメモリのコントローラをPCI Express経由でCPUとダイレクトに接続するタイプのSSDは、「PCI Expressネイティブ接続のSSD」と呼ばれ、機器の制御仕様には、以前からある「AHCI」と新規格の「NVM Express」(NVMe)の両方を利用できる。NVMeは、NANDメモリなどの不揮発メモリを採用したストレージに最適化された機器の制御仕様である。NVMe対応のSSDは、現在のところサーバー向けのみ存在するが、今後はコンシューマ向けにも展開される予定だ。

各接続でのデータの流れ

【NVMeに対応できる接続方式】

現状対応した一般向けの製品はない

 NVMeは、PCI Expressネイティブ接続の機器なら形状を問わず利用可能な、機器の制御仕様である。M.2やSATA Express、PCI Expressスロットにダイレクトで接続するHHHL(Half-Height Half-Length)形状の機器などで利用できる。

Serial ATA対応のSSD

広く普及している現在のSSDの主流

2.5インチサイズのSerial ATA対応SSD
【接続はこのポート】
マザーボードには必ずあるSerial ATAポートに接続。SATA ExpressポートでもOK

 Serial ATAは、現在主流のストレージ接続専用のインターフェースである。最新はSerial ATA 3.2で、最大のデータ転送速度は600MB/s。最新世代のSSDの速度は、すでにこの限界に達しており、これ以上の高速化の足かせとなっている。しかし、もっとも広く普及しており、Serial ATAコネクタを搭載していないマザーはほぼ存在しない。このため、汎用性が高いことが最大のメリットだ。

 Serial ATA接続のSSDは、2.5インチ形状で厚さ7mmの筐体を採用した製品が現在の主流。最新世代のSSDでは、速度向上に伴って高負荷時の発熱も増加している。このため、筐体に熱を逃がすことで熱対策を行なっている場合もある。

Micron Crucial MX100 T256MX100SSD1の基板写真と解説
Silicon-Power Slim S60 SP240GBSS3S60S25の基板写真と熱対策

【Serial ATA対応SSDのメリット】

1.どんなPCでも利用できる汎用性の高さが魅力
2.製品の種類が豊富で価格もこなれている

mSATA対応のSSD

Mini-ITXなどの小型のマザーに採用例が多い

mSATA対応SSD
【接続はこのスロット】
約30mmの幅のスロットに接続する。切り欠きが用意されているので、逆挿しはできない

 mSATAは、小型のカード形状をしたSerial ATA接続のストレージの規格。mSATAスロットは、Mini-ITXなどの小型マザーで搭載例が多い。また、mSATAスロットでは、PCI Express Mini Card Slot(miniPCIe)と同形状のスロットが採用されており、mSATA/PCI Expressのいずれかのデバイスを利用できるコンボスロットも存在する。

mSATA対応SSDは接続スロットに注意
mSATAのサイズについて

【mSATA対応SSDのメリット】

1.省スペースでSSDを設置できる
2.変換アダプタ利用で2.5インチ形状でも利用可能

M.2対応のSSD

次世代のスタンダード!? 対応マザーは今後も増加

M.2対応SSD
【接続はこのスロット】
マザーボード搭載のM.2のスロットは、幅が22mmのもので、配置場所はメーカーによって異なる。各スロットの間やSerial ATAコネクタの横、CPUの真横などに配置されているケースが多い

 M.2は、Serial ATA接続とPCI Express接続の両方をサポートする、スティック型のSSDの規格だ。Intel 9シリーズチップセットからサポートされ、多くの対応マザーに標準搭載されている。また、M.2対応のSSDは、Serial ATA 3.0接続の製品とPCI Express接続の製品の2種類が発売されている。

 マザーに搭載されているM.2スロットは通常一つのみで、PCI Express 2.0 x2接続とSerial ATA 3.0接続の両方をサポートしている。M.2のPCI Expressの信号は、チップセット側に接続され、PCI Express 2.0 x2までのサポートであることが一般的。Serial ATAの信号は、SATA Express用のコネクタと共有し、排他使用のものが多い。この点に注意する必要がある。

 ASRock製マザーボードの一部では、PCI Express 3.0 x4接続でSerial ATA接続をサポートしない、「Ultra M.2」と呼ばれるスロットを搭載している。これは、M.2スロットにCPU側のPCI Expressインターフェースを接続することで実現している。

M.2規格では、基板の幅は4種類(12/16/22/30)、長さが8種類(16/26/30/38/42/60/80/110mm)規定されていて、「2280」というようにその大きさを表現することが可能だ。これに加えて、片面実装で3種類、両面実装で4種類という、厚みに関する規定もある
【マザーボード側のスロットはほぼSocket 3】
M.2には、用途の違いなどによってKeyA、KeyB(Socket 2)、KeyE、KeyM(Socket 3)の4種類のコネクタ形状がある。これらの形状は、KeyIDとも呼ばれる。マザーボード側のソケットの形状は、KeyM(Socket 3)が主流だ
【SSD側はKeyIDを確認】
M.2は、ソケット側のKeyIDと一致する機器のみしか接続できない。SSDでは、KeyB/KeyMの両対応の製品が主流になっており、通常は問題なく利用できるはずだが、念のためソケット側とSSD側のKeyIDを確認しておくことをオススメする

【M.2対応SSDのメリット】

1.PCI Exrpess接続でSerial ATA超えの性能
2.将来性があり、今後対応SSDの増加が見込める

【M.2方式SSDの選び方で気を付けたいこと】

 1.SSD側にOption ROMを搭載しているか?
 2.マザー側がPCI Expressからのブートに対応しているか?

 PCI Express接続のM.2 SSDには、Option ROM搭載製品と非搭載の製品がある。搭載品は、基本的にどの環境でもOS起動を行なえるが、非搭載品は、対応マザーボード以外ではOS起動を行なえない。編集部では、Option ROM非搭載タイプの「Samsung Electronics XP941 MZHPU512JCGL」を使って、ASRock Z97 Extreme6、MSI Z97 Gaming7、ASUSTeK Z97 PROでの、Windows 8.1の起動を確認している。

PCI Express 対応のSSD

内部RAIDによってSerial ATAの限界を突破

PCI Express対応SSD

 PCI Expressスロットに直接接続して利用するSSD。現状では、基板上に専用のコントローラまたはRAIDコントローラと複数のSerial ATA接続のSSDを搭載し、それをRAID 0構成で利用することで性能を高めた製品が主流。

 M.2のPCI Express接続のSSDとは異なる方式で、イメージはマザーボード搭載のRAID機能を利用して高速化するのに近い。

PCI Express対応SSDの解説

【PCI Express 対応SSDのメリット】

1.Serial ATA接続のSSDを超える高性能を提供
2.OS起動用にも利用可能


【NVMeデバイスをテストしてみた!】

【Intel Solid-State Drive DC P3700】
PCI Express 3.0 x4接続を採用したエンタープライズ向けのNVMe対応SSD。2.5インチ形状を採用しており、接続にはSFF8639と呼ばれるコネクタが使われている
【SB122-TO】
AICが開発したラックマウントサーバー。SFF8639に対応したエンクロージャを搭載しており、最大8台のPCI Express対応のSSDと2台のSerial ATA対応の製品を利用できる。今回はこのサーバーに左のSSDを接続してテストを行なった

 編集部では、Intelが出荷を開始したNVMe対応SSD「Solid-State Drive DC P3700」を試用する機会を得た。性能やOS起動のチェックを行なったので、結果をレポートする。

 まず、Windows 8.1の標準ドライバでDCP3700は認識されたが、OS起動を行なうことはできなかった。Intelの公式資料によるとDC P3700は、「UEFI 2.3.1」以降でOS起動に対応するとされている。今回のマザーはUEFI 2.3であり、これが原因だろう。

 また、最大性能は、シーケンシャルリード1,400MB/sオーバー、ライトが1,090MB/sをマークし、NVMe接続の実力を感じさせるものだった。

OS標準ドライバで利用可能
最大速度1,400MB/sオーバーを実現
Windows 8.1のデバイスマネージャー画面。OS標準のドライバでNVMe対応SSDが認識されている
最大速度は、リード1,400MB/sオーバー、ライトが1,090MB/s。PCI Express 3.0 x4接続だけあってさすがに速い

[Text by 北川達也]



DOS/V POWER REPORT 10月号は8月29日(金)発売】

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(AKIBA PC Hotline!編集部)