パワレポ連動企画

PCパーツ100選 2015(7)

~CPUクーラー部門~

DOS/V POWER REPORT 2015年2月号

 このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌2015年2月号の特集記事「PCパーツ100選 2015」をほぼまるごと掲載する。

 特集記事では、2014年を代表するPCパーツを集め、「CPU」、「マザーボード」、「ビデオカード」、「ストレージ」、「PCケース」、「電源」、「CPUクーラー」、「そのほか」の8ジャンルの主要製品をランク付けし解説する。

 第7回目の今回は「CPUクーラー」編。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年2月号は、絶賛発売中。2月号では今回の特集のほか、USB/LAN/クラウドを活用したファイルバックアップ術や、スマートフォンやタブレットの充電に便利なUSB電源タップ 28製品の紹介、髙橋敏也氏による改造バカ一代など、多数の記事が載っている。また、特別付録として「保存版 PC自作スタートブック 2015」と「PC自作手帳 2015」が付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。


- DOS/V POWER REPORT 2015年2月号 Special Edition -
辛口格付け&怒濤のレビューで最高のCPUパーツが全て分かる PCパーツ100選 2015


大型のヒートシンクとファンを搭載したハイエンド製品が席巻
-CPUクーラー部門-

 CPUクーラーは、ヒートシンクのサイズとファンの口径が冷却性能や静音性の目安だ。どちらも、ここ数年間は大型化を続けてきたが、2014年は「ツインタワー型ヒートシンク」と「14cm径ファン」を搭載したハイエンド製品が、トレンドになった。

新規参入が増えた2014年、大型モデルが充実

2014年の主な出来事

 2014年は、大型のハイエンドCPUクーラーを投入するメーカーが相次いだ。その中には、日本に新規参入を果たしたメーカーも多い。しかも、性能を追求するだけではなく、色やデザインなど、見た目にも華やかな製品が多くなった印象がある。

 ハイエンドクラスでは、ヒートシンクにツインタワー構造を採用したものが多くなり、これにファンを二つ搭載したものがスタンダードなスタイルになった。このクラスは、オプションでさらにもう一つファンを装着できることが多く、固定用の部品も標準添付されている。こうした構造は、主に冷却性能を向上させるためのものだが、Listanのbe quiet!シリーズのように、ツインタワーで大口径ファンを搭載するハイエンドモデルでありながら、さらに静音性も向上させるコンセプトを盛り込んだ製品が登場し、注目を集めている。

 薄型のCPUクーラーも、Haswellのような省電力CPUの増加傾向に沿った新製品が増えつつある。薄く大きなヒートシンクで冷却性能を確保し、14cm径ファンを採用して風量と静音性を向上させるのがトレンドだ。大きな14cm径ファンを搭載しPWM制御することで、「薄型のCPUクーラー=うるさいわりに冷えない」という常識も、古びたものとなってきた。このほか、大型化と言えば簡易水冷タイプでも360mmクラスのラジエータを採用する製品が登場し、選択肢が増えた。

 大型のCPUクーラーは、大き過ぎるとケースの選択が難しくなるものの、一つ上のPC自作を目指すなら、今では見逃せないトレンドとなっている。

[Text by 石川ひさよし]

【注目すべきポイントはココだ!】

ツインタワー型ヒートシンク
大口径ファン
ケースとの相性
“ハイエンド”の目安の一つが、ヒートシンクの大きさ。ヒートシンクが大きいほど放熱効果も高まるが、とくにハイエンドモデルではヒートシンクを2本並べたツインタワー型(右)がトレンドになっている
エアフローや静音性の目安となるのがファンの口径だ。ハイエンドモデルでは14cm径ファン(右)を複数搭載するのがトレンドに。OCをしなくても、大口径ファンを低速で回すことで、静音性を確保することができる
ハイエンドモデルはケースとの相性問題が生じやすい。PCケースメーカーのWebサイトでは、使用できるCPUクーラーの高さについて目安となるサイズが公開されている。購入前に確認しよう

PCパーツ100選 2015 CPUクーラー部門 製品解説

CRYORIG R1 UNIVERSAL(実売価格:15,000円前後)
【大型クーラーでもメモリと干渉しない巧みな設計が秀逸】

ほかのパーツと干渉しにくい設計、機能性と見た目の両立にも注目
サイドフロー / 14cm径×2 / バックプレート

 新興メーカーのCRYORIGが、ハイエンドモデルの第2弾としてリリースしたのがこのR1 UNIVERSAL。メモリモジュールとの干渉を、外側のファンを薄型化することで抑えている。また、ヒートパイプとヒートシンクの接合面を増やす「DirectCompress」や、ヒートパイプの配列をずらしてヒートシンクへの熱伝導性を高める「Heatpipe Dislacement Optimization」など、CRYORIG独自の技術を各種採用する。

 外観ではヒートパイプを大胆に曲げたレイアウトはインパクトがある。ヒートシンクも金属色と黒の二つのブロックに分けたデザインがユニーク。これは、「Jet Fin Acceleration System」として放熱効果を高める機能だ。本体の固定をファン装着後に行なえるのは、このクラスの製品としてはめずらしく、付属ドライバーで簡単に行なえる。バックプレート側の組み立てやすさと合わせ、こうした扱いやすさが高い評価を得ている。

【DOS/V POWER REPORT編集長のひとこと】

・高級CPUクーラーの決定版

ここ数年、高級CPUクーラー市場では簡易水冷タイプが人気を集めていました。しかし2014年は各社が空冷タイプの高級品を投入し、活況を呈しています。CRYORIGの製品はトップクラスの冷却性能を持つだけでなく、干渉が少なく確実に取り付けられることも特徴で、本誌執筆陣もテスト環境で試用するパーツとしてよく指名しています。

装着した様子
薄型ファンを採用
外側に13mm厚の薄型ファンを採用。冷却性能を保ったまま、メモリスロット上にクーラーがかぶらず、OCメモリとの相性もよい
異なるフィンの間隔
間隔の異なる2種類のフィンを組み合わせて冷却性能を向上。空気の流れを高速化し、放熱スピードを向上させると言う
動作検証(CPU温度と動作音)

【Specification】

対応ソケット:LGA775/1150/1155/1156/1366/2011/2011-v3、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2●ファン:14cm径×2(700~1,300rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):140×128.5×168.3mm●重量:1,181g

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASRock Z87 Extreme4(Intel Z87)、メモリ:CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、グラフィックス機能:Intel Core i7-4770K内蔵(Intel HD Graphics 4600)、SSD:Micron Technology Crucial m4 CT128M4SSD2(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)、電源:Enermax Platimax EPM600AWT(600W、80PLUS Platinum)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、室温:23.2℃、暗騒音:32.2dB、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0 POWER SUPPLYを10分間実行中の最大値、OC高負荷時:Turbo Boost 倍率42倍(4.2GHz)、Vcore= Autoで動作、ほかは高負荷時と同じ条件、CPU温度:HWMonitor 1.24のCPU Temperatures のPackageの値、動作音測定距離:CPUクーラーから約20cm

サイズ 虎徹(実売価格:4,000円前後)
【「売れる」には理由がある冷却と静音性を両立】

クラストップの性能で
定格運用なら文句なし
サイドフロー / 12cm角×1 / バックプレート

 実売価格で4,000円台のコストパフォーマンスモデル。搭載するファンは12cm角で、ヒートシンクの縦横サイズもこれに合わせたものだが、奥行きがこのクラスの製品としては大きいのが特徴だ。ヒートパイプは4本をヘッドの左右に貫通させたレイアウト。ヒートシンクの最上段には硬質のプレートを追加し、変形を防いでいる。

 搭載するファンは、同社の「隼120 PWM」をベースに、回転数を新規設定したモデル。軸やブレードに特徴があり、静音性と風量を向上させるためのものとされるが、デザイン的にもポイントになっている。

 本製品が支持されるのは、価格に対して性能がすこぶるよいことだ。素材そのままの外観はコストダウンの印象を受けるが、実際に使えばよく冷えて、定格運用からライトなOCまで、きわめて静かで非の打ちどころがない。リテールクーラーから交換して、「よかった」と実感できる製品と言える。

【DOS/V POWER REPORT編集長のひとこと】

・違いが分かる超ハイコストパフォーマンスクーラー

DOS/V POWER REPORT本誌で低価格マシンのパーツ構成を提案する際には、リテールクーラーを使うことが多かったのですが、本製品の登場で変わりました。ただ、正面から対抗できる製品がないため誌面掲載率が高くなり過ぎて、読者のみなさんに飽きられないか心配です(笑)。それはともかく、プライベートでも「CPUクーラーなんてリテールで……」、「どれを買ったらよいのか分からない」という方に、勧めまくっています。

定評あるリテンションの構造
昔のサイズは、リテール準拠の固定方法を採用した製品が多かったが、ここ数年はバックプレートとやぐらを用いた確実な固定方法を採用する製品が主流になった。バックプレート式でも取り付けやすい
12cm角の静音ファン
軸部分が小さく、風量の目安となるブレードは大きく枚数も多め。さらに空気抵抗軽減のためにブレードにミゾを刻んだ12cm角ファンを採用する。回転数が単体販売のモデルとは異なる専用設計だ
動作検証(CPU温度と動作音)

【Specification】

対応CPUソケット:LGA775/1150/1155/1156/1366/2011、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2●ファン:12cm角(400~1,400rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):130×83×160mm●重量:480g

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z87-WS(Intel Z87)、メモリ:AVEXIR Technologies AVD3U24001004G-2CW(PC3-19200 DDR3 SDRAM 4GB×2)、ビデオカード:玄人志向 RH6450-LE512HD/HS(AMD Radeon HD 6450)、SSD:OCZ Technology Agility3 AGT3-25SAT3-60G(Serial ATA 3.0、MLC、60GB)、OS:Windows 8 Pro 64bit版、室温:23℃、暗騒音:30dB以下、アイドル時:OS 起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0 OCCT TEST を5分間実行中の最大値、OC高負荷時:Turbo Boost 倍率43倍(4.3GHz)、Vcore=1.23Vで動作、ほかは高負荷時と同じ条件、CPU温度:HWMonitor 1.23のCPU Temperatures のPackageの値、動作音測定距離:CPUクーラーから約10cm

Thermalright SilverArrow IB-E Extreme(実売価格:13,000円前後)
【デカいボディに高回転ファンを組み合わせるSilverArrowの直系進化】

紛れもないハイエンド設計だが
定格運用なら静音クーラーに変身
サイドフロー / 14cm径×2 / バックプレート

 ハイエンドCPUクーラーで定評のあるThermalright。その中でも定番のSilverArrowシリーズにおいて、最新で最上級のモデルがIB-E Extremeだ。超大型ツインタワーヒートシンクに8本のヒートパイプを通し、14cm径ファンを二つ組み合わせるという、圧倒的な存在感を示している。

 14cm径のファンは、通常のIB-Eよりも高回転タイプを採用しているのが特徴。回転数は600 ~ 2,500rpmと幅が広い。最大回転時の動作音は大きく、計測すると爆音とも表現できる値が記録されるが、定格運用の際は平均的なレベル。アイドル時にはきわめて静かになるため、一概にオーバークロッカー向けというわけではない。

 もちろんその1万3,000円前後という価格は安くはないが、定格運用時の静音性を求めるユーザーにも適した製品に仕上がっている。

【選定理由】

・ド定番。空冷最強クラスの冷却能力を備える
・最大2,500rpmの14cm径超高速ファンを2基搭載

SilverArrow伝統の超大型ツインタワーの実力は健在。後発の製品を見ても、一つの流れを作ったエポックメイキング的存在であることが分かる
PCI Expressスロットをよけたレイアウト
巨大でフィンの密度の高いヒートシンクは、写真のように片寄っており、1番目の拡張スロットに挿すビデオカードと干渉しにくい
8本のヒートパイプ
ヒートパイプは、ハイエンドクラスでも最大級の8本。ヘッドは、ミドルレンジクラスのものより大きいが、その幅をパイプで埋めてしまう高密度な実装
動作検証(CPU温度と動作音)

【Specification】

対応ソケット:LGA775/1150/1155/1156/1366/2011/2011-v3、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2/FM2+●ファン:14cm径×2(600 ~ 2,500rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):154×129.5×163mm●重量:1,090g

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4790K(4GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)、メモリ:サンマックス・テクノロジーズ SMD-16G28CVLP-16K-Q(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×4 ※2枚のみ使用)、グラフィックス機能:Intel Core i7-4790K内蔵(Intel HD Graphics 4600)、SSD:CFD販売 CSSD-S6T256NHG6Q(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、電源:Enermax Platimax EPM1000EWT(1,000W、80PLUS Platinum)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、室温:31.5℃、暗騒音:28.8dB、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:3DMark v1.3.708 Fire Strike Extreme実行時の最大値、OC高負荷時:Turbo Boost 倍率45倍(4.5GHz)、Vcore=1.3Vで動作、ほかは高負荷時と同じ条件、ファン回転数を最大に固定:ASUSTeK Z97-PROのUEFIで設定、CPU温度:HWMonitor 1.25のCPU TemperatureのPackageの値、動作音測定距離:ファンの中心から約10cm

サイズ 無限大(MUGEN MAX)(実売価格:6,000円前後)
【自作ユーザーのワガママを全方位で受け止めてくれる万能モデル】

こだわりが光るサイズのフラグシップモデル
サイドフロー14cm径×1 バックプレート

 無限大はMUGENシリーズの最新作だ。同社の14cm径ファン「隼140 PWM」を採用し、これに合わせてヒートシンクを大型化。高い冷却性能を確保している。同社製品ではめずらしく、ヒートパイプにニッケルコーティング、ヒートシンク最上段の保護板に鏡面加工が施され、見た目にもこだわった作りだ。

 ヒートシンクの奥行きが長いため、ヘッドの中心からヒートシンクをやや後ろにずらすことでメモリとの干渉を抑えている。また、ヒートシンクは大きく4ブロックに分かれており、4ブロックのフィンがつながっていたり、2ブロックのフィンをつなげたものが互い違いに配置されていたりと、かなり複雑な構造だ。こうした工夫の効果は性能にも現われ、冷却性能と静音性はともに良好。価格も手頃なことから、迷ったときはコレという定番製品となっている。

【選定理由】

・性能のわりには値頃感がある
・メモリとの干渉が少ない安心感

ヒートシンクはシングルタワー。低価格なCPUクーラーよりは幅も厚みも大きいが、ハイエンドCPUクーラーと比べると十分にコンパクト。組み込みやすく、周辺パーツと干渉するリスクも少ない
装着した様子
ヒートパイプ
ヒートシンクは6mm径のヒートパイプ6本で構成される。ヘッドの幅は6本のヒートパイプとほぼ同じ。接触面は鏡面加工だ
メモリとの干渉もなし
ヒートシンクを後ろにずらしたレイアウトで、14cm径ファンを搭載する製品としては全高を抑えつつも、メモリとの干渉を回避
動作検証(CPU温度と動作音)

【Specification】

対応ソケット:LGA775/1150/1155/1156/1366/2011、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2/FM2+ ●ファン:14cm 径(500 ~ 1,300rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):145×109×161mm●重量:870g

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)、メモリ:CFD 販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、グラフィックス機能:Intel Core i7-4770K内蔵(Intel HD Graphics 4600)、SSD:PLDS Plextor SSD M5 Pro PX-256M5P(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、室温:26℃、暗騒音:30dB前後、アイドル時:OS起動5分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0 CPU:OCCT を5分間実行中の最大値、OC高負荷時:Turbo Boost 倍率42倍(4.2GHz)、Vcore =1.23Vで動作、ほかは高負荷時と同じ条件、CPU温度:HWMonitor 1.24のCPU TemperaturesのPackageの値、動作音測定距離:PCケースの側板を開けた状態でCPUクーラーから10cm

Listan be quiet! DARK ROCK PRO 3(実売価格:14,000円前後)
【「常に静か」を実現こだわりのファンは一見の価値あり】

静音先進国のドイツが生んだ
“極静”の空冷クーラー
サイドフロー / 12cm角×1+13.5cm径×1 / バックプレート

 「be quiet!」というブランド名からして静音性重視を前面に打ち出している、Listanのハイエンドモデル。驚くべきは高負荷時の動作音だ。アイドル時でも十分に静かだが、高負荷時になってもほとんど変化がない。これはOC高負荷時も同様だ。冷却性能は、ハイエンドCPUクーラー同士で比較してしまうと標準的なところだが、期待には十分に応えてくれるレベルだ。

 ヒートパイプは7本でとくに太いというわけではなく、ヒートシンクもさまざまな工夫はあるが、そこまでユニークというわけではない。この性能を実現しているポイントはファンにあるのだろう。ブレードに溝を加えたデザインや、流体軸受けモーター、電気ノイズを抑えるモーター用の専用ICコントローラ、ファンの振動を抑えるゴム製のマウンタなど、随所に見られるこだわりは必見だ。

【選定理由】

・冷却性能は確かにハイエンドクラス
・しっかり冷えるのに高負荷時でもとにかく静か

外側12cm角、内側は13.5cm径と口径が異なるが、どちらも同社のSILENT WINGSシリーズのファンを採用。外部のファンは高めの位置にマウントできるため、メモリとの干渉を抑えられる
フィンの溝
ファンに設けられた多数の溝状の造形は、風切り音を軽減するためのもの。同様の溝を設けた静音ケースファンは他社からも販売されているが、本製品は面取りもなめらかに加工されている
追加のリテンション
ツインタワー型のCPUクーラーでは、後部にファンを追加して計3基にすることができる製品が多い。本製品は、やや特殊な形状の同社製ファン用と、一般のファン用の二つのリテンション金具が付属する
動作検証(CPU温度と動作音)

【Specification】

対応ソケット:LGA775/1150/1155/1156/1366/2011/2011-v3、Socket 754/939/940/AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2/FM2+●ファン:12cm角(最小回転数非公開~ 1,700rpm、PWM対応)、13.5cm 径(最小回転数非公開~ 1,400rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):150×137×163mm●重量:1,197g

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4790K(4GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)、メモリ:サンマックス・テクノロジーズ SMD-16G28CVLP-16K-Q(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×4 ※2枚のみ使用)、グラフィックス機能:Intel Core i7-4790K内蔵(Intel HD Graphics 4600)、SSD:CFD販売 CSSD-S6T256NHG6Q(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、電源:Enermax Platimax EPM1000EWT(1,000W、80PLUS Platinum)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、室温:31.5℃、暗騒音:28.8dB、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:3DMark v1.3.708 Fire Strike Extreme実行時の最大値、OC高負荷時:Turbo Boost 倍率45倍(4.5GHz)、Vcore=1.3Vで動作、ほかは高負荷時と同じ条件、ファン回転数を最大に固定:ASUSTeK Z97-PROのUEFIで設定、CPU温度:HWMonitor 1.25のCPU TemperatureのPackageの値、動作音測定距離:ファンの中心から約10cm

Cooler Master Technology Hyper TX3 EVO(実売価格:3,500円前後)

手頃で堅実な
定番の低価格CPUクーラー
サイドフロー / 9cm角×1 / リテール準拠

 コンパクトなサイズで相性問題も少なく、3,000円台半ばで販売されている低価格なCPUクーラー。

 固定方法はリテールクーラー準拠であるため、工具不要で着脱できる手軽さもよい。動作音はやや大きめだが、9cm角ファン採用モデルと考えれば妥当なところ。

 冷却性能は、定格運用前提なら不足はない。

【選定理由】

・コンパクトで安い
・リテールクーラー準拠の簡単リテンション

【Specification】

対応ソケット:LGA775/1150/1155/1156/1366、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2●ファン:9cm 角(800 ~ 2,800rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):92×79×136mm●重量:約386g

Cooler Master Technology Nepton 280L(実売価格:15,000円前後)

曲げに強いチューブで
扱いやすい
簡易水冷 / 14cm角×2 / バックプレート

 280mmクラスの大型ラジエータを採用する簡易水冷キット。

 独特の形状をしたブレードの静音ファンや、「New UltraFineマイクロチャンネル」で熱交換の効率化を図ったヘッド、しなやかでありながら曲げても歪まず高い水圧を保てるFEPチューブなど、各種独自技術を採用。

 ハイエンドユーザーに人気だ。

【選定理由】

・大型ラジエータで冷却能力が高い
・洗練された設計で取り付けが簡単

【Specification】

対応ソケット:LGA775/1150/1155/1156/1366/2011/2011-v3、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2●ファン:14cm角×2(800 ~ 2,000rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):311×139×30mm(ラジエータ)、75×69.8×49.1mm(水冷ヘッド)●重量:非公開

CRYORIG H5 UNIVERSAL(実売価格:6,500円前後)

薄型ファンで
ヒートシンクの
サイズを最大化
サイドフロー / 14cm径×1 / バックプレート

 13mm厚の14cm径ファンを採用し、大型ながらLGA2011マザーボードのようにソケットの左右にメモリスロットを持つマザーボードでも、メモリと干渉しないサイズを実現している。

 また、こうした設計でありながら、手が届きやすい価格に収まっているのも魅力だ。

【選定理由】

・取り付けやすく、冷却能力も高い
・メモリと干渉しにくい

【Specification】

対応ソケット:LGA775/1150/1155/1156/1366/2011/2011-v3、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2●ファン:14cm 径(700 ~ 1,300rpm、PWM 対応)●サイズ(W×D×H):143×98×160mm●重量:853g

RAIJINTEK PALLAS(実売価格:5,500円前後)

薄さと大型ヒートシンクを
両立するデザイン
トップフロー / 14cm径×1 / バックプレート

 使用するCPUクーラーの高さに制限のある環境に最適な製品。

 6本のヒートパイプと大型のヒートシンクを採用しつつ、13mm厚の薄型ファンを搭載することで、全高を68mmに抑えている。

 同時に、ローハイトのトップフロー型で問題となりやすいメモリとの干渉を、大小のヒートシンクを重ねるようなデザインで回避している。

【選定理由】

・薄型ヒートシンクに大径ファンの組み合わせ
・全高68mmで小型ケースとの相性がよい

【Specification】

対応ソケット:LGA775/1150/1155/1156/1366/2011/2011-v3、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2●ファン:14cm 径(650 ~ 1,400rpm、PWM 対応)●サイズ(W×D×H):153×150×68mm●重量:420g(ヒートシンクのみ)

REEVEN OKEANOS(実売価格:8,000円前後)

静音性重視派に
オススメの
ハイエンドモデル
サイドフロー / 14cm径×1+12cm角×1 / バックプレート

 ツインタワー型の大型ヒートシンクに、14cm径と12cm角ファンを組み合わせた、ハイエンドモデル。

 最大1,800rpmの12cm角ファン側の回転数を、付属の回転数調整アダプタ付きケーブルで最大1,200rpmに抑えれば、静音性重視の設定にもできる。ヒートパイプは径の異なる2種類の組み合わせで計6本。

【選定理由】

・最上級の冷却能力を低価格で実現
・回転数調整アダプタで静音仕様に

【Specification】

対応ソケット:LGA1150/1155/1156/1366/2011/2011-v3、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2●ファン:14cm 角(300 ~ 1,700rpm、PWM対応)、12cm 角(300 ~ 1,800rpm、PWM対応)●サイズ(W × D× H):140×135×163mm●重量:1,145g

Thermaltake Technology NiC L32(実売価格:3,500円前後)

4,000円以下でも
「冷えて」、「静か」
サイドフロー / 14cm径×1 / バックプレート

 スリムだが大きなヒートシンクに、3本のヒートパイプと14cm径ファンの組み合わせ。リテンションパーツは、やや点数が多いもののしっかりと固定できる。

 こうした設計により、よく冷え、かなり静かで低価格。過去のレビューでも優れたコストパフォーマンスが評価されている。

【選定理由】

・安いわりにかなり冷える
・格安品にはめずらしい14cm径ファン

【Specification】

対応ソケット:LGA775/1150/1155/1156/1366/2011、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2●ファン:14cm 径(500 ~ 1,800rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):150×40×160mm●重量:620g

Thermaltake Technology Water 3.0 Ultimate(実売価格:19,000円前後)

あきれるほど
巨大なところが
むしろ魅力的
簡易水冷 / 12cm角×3 / バックプレート

 水冷においてはラジエータの大きさが冷却性能の目安となる。本製品は、簡易水冷キットとしては最大級の360mmクラスのラジエータを採用。

 取り付け可能なケースは限られるが、12cm角ファンを標準で3基搭載し、追加で3基搭載すれば、最大でTDP 280W相当のCPUも冷やすことができると言う。

【選定理由】

・簡易水冷で最大級のラジエータ
・このサイズとしては安い!

【Specification】

対応ソケット:LGA1150/1155/1156/1366/2011、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2●ファン:12cm角×3(1,000 ~ 2,000rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):393×27×120mm(ラジエータ)、非公開(水冷ヘッド)●重量:1,320g

サイズ 阿修羅(実売価格:5,000円前後)

バランスのよさから
迷ったらコレ的な存在
サイドフロー / 14cm径×1 / バックプレート

 スリムだが14cm径ファンと大きなヒートシンクを採用。静音性に定評のある自社製の「隼140」を搭載し、PWM制御によって500~1,300rpmで制御している。

 十分な冷却性能を備えつつ静音性にも優れており、ミドルレンジクラスの中でもとくにコストパフォーマンスのよいモデルとなっている

【選定理由】

・お手頃な価格で冷却も静音も両立
・バックプレート式でも取り付けが簡単

【Specification】

対応ソケット:LGA775/1150/1155/1156/1366/2011、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2●ファン:14cm 径(500 ~ 1,300rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):145×90×161mm●重量:750g



DOS/V POWER REPORT 2015年2月号は2014年12月27日(土)発売】

★総力特集「PCパーツ100選 2015」はもちろん、USB/LAN/クラウドを活用したファイルバックアップ術、スマートフォンやタブレットの充電に便利なUSB電源タップ 28製品の紹介、髙橋敏也氏による改造バカ一代など、多数の記事を掲載

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(AKIBA PC Hotline!編集部)