パワレポ連動企画

【PCパーツ100選 2016(12)】SSD部門 その1

~この部門の注目点とレコメンド発表~

DOS/V POWER REPORT 2016年2月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年2月号」の総力特集「主要9ジャンル+α 執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!? PCパーツ100選 2016」を掲載する。

 第12回目はSSD部門の解説とリコメンド受賞製品を紹介する。高速なNVMe対応SSDは、PC自作派としてはかなり魅力的な製品だが、導入する場合は冷却手段を考えておこう。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年2月号は全国書店、ネット通販にて2015年12月26日(土)に発売。様々な分野のオススメパーツを決定する総力特集をはじめ、ラジエータを置くスペースが必要だけど、かわりにCPUソケット周辺はすっきりする簡易水冷の新製品を紹介!「ニューカマー3製品を徹底比較 本当に使える水冷クーラーはこれだ!」、ゲームで差が付くかもしれない高機能モデルが豊富!「話題作が豊富な今こそ揃えたい 鉄板ゲーミングデバイス 26」、すぐ隣だから30cmあれば十分なあなたや、上の階とつなげるので30mは欲しいというあなたに捧げる「あなたのマイナーニーズを狙い撃ち☆「短い」ケーブル&「長い」ケーブル集めました」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の付録は豪華二本立て! あの素晴らしいパーツをもう一度「時代を作った名品が月替わりピンナップで!名パーツカレンダー 2016」と、これから自作を始める方には是非読んでいただきたい「パーツの役割や組み立て手順が分かる!保存版PC自作スタートブック2016」だ。


-PCパーツ100選 2016-
執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!?


PCI Express対応製品が一気に身近に
SSD部門

 最大速度2,000MB/sオーバーの性能を実現したNVMe対応SSDが登場し、SSDは性能面で飛躍的な向上を遂げた。

一方で従来のSerial ATA接続のSSDは性能こそ限界に達しているが、円安をものともせずに低価格化を進めている。

NVMe対応製品が登場 低価格化も進む

 SSD業界の今年最大のトピックは、自作市場向けにNVMe(Non Volatile Memory Express)対応のPCI Express接続製品が登場したことだ。

 すでに以前からPCI Express接続のSSDは存在していたが、それらは内部の通信インターフェースにSerial ATA SSD/HDDと同じ「AHCI」を使っていた。一方NVMeはフラッシュメモリベースのストレージを強く意識したものであるため、より高性能なSSDを設計しやすくなる。今年は、それをさらに一歩進め、PCI Express 3.0 x4接続のNVMe対応SSDが登場。具体的な製品はSamsung Electronics SSD 950PROと同社SM951、Intel SSD 750の三つだけだが、いずれも速度2,000MB/sオーバーを実現している。Serial ATA接続の製品では550MB/s、PCI Express/AHCI接続の製品では700 ~ 1,500MB/sであっただけに大幅な進化と言える。

 SSDは低価格化も進んだ。Serial ATA接続の250G Bクラスは1万円を、500GBクラスは2万円を切る価格で販売されることもめずらしくない。現在の売れ筋は250GBクラスだが、500GBクラスも人気だ。また、Serial ATA接続のエントリークラスの製品は、TLCチップ採用の製品が主流になりつつある。

topic 1今後の本命はM.2 ハイエンドはAIC HHHLか!?

NVMe対応SSDは連続動作時の発熱が大きいため、冷却を行ないやすいカード形状がハイエンドクラスでは現状ベスト

 NVMe対応SSDは、950 PROやSM951がM.2、SSD 750がPCI Expressカード(AIC HHHL)、U.2の2種類と異なる形状を採用。

 M.2が主流になるだろうが、NVMe対応SSDは発熱が大きいため、ハイエンドクラスでは熱対策をしやすいカード型が普及する可能性もある。

topic 2大容量が低価格に 保証や耐久性で差別化

SamsungのSSD 850 EVOやSSD 850 PROは2TBのモデルもラインナップ。HDDが不要になる時代が来ることを予感させる

 500GBクラスは2万円前後で手に入るようになり人気が上昇。1TBクラスは流通量が増えて、価格も下落傾向にあり、4万円を切るものが現われてきた。大きなデータを扱わない層はHDDレス環境が現実的になってきた。

 また、性能が頭打ちになっているSerial ATA接続のSSDは、耐久性と価格で差別化している。通常、ハイエンドモデルは、MLCチップを採用し、最大書き込み量が70TB以上、保証期間も5年に設定されている。一方、エントリークラスの製品は、保証期間が3年、最大書き込み量も40TB前後としているケースが一般的だ。

SSDの価格・性能分布図

topic 3性能はNVMeが圧倒的 Serial ATAは横並び

 現在のSSDは、右のグラフを見て分かるようにNVMe対応SSDの性能の高さが圧倒的だ。NVMe対応の3製品は、読み出し速度が2,000MB/sを余裕で超えているだけでなく、SSD 950 PROは記録速度も1,540MB/sと驚異的に速い。ただ、一般的な作業ではそこまでの速度を体感しにくいのが悩みどころか。

 一方、Serial ATA接続のSSDは、多少のバラつきはあるものの団子状態と言ってよい。多くの製品が読み出し550MB/s前後、書き込みは500MB/s前後というレベル。Serial ATA接続の製品は、速度的な限界に達しており性能差はほぼないと見てよいだろう。

主なSSDの性能比較。グラフでみるとNVMe対応SSDが飛び抜けているため、Serial ATA対応SSDが遅いように見えるが、通常の用途では十分な速度を持っている

【検証環境】

CPU:Intel Core i5-6600K(3.5GHz)
マザーボード:MSI Z170A GAMING M5(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial Ballistix
Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
システムSSD:Lite-On Plextor M6S SSD PX-256M6S(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
OS:Windows 10 64bit版

SSD部門の投票結果

 多くのユーザーが注目することと言えば、やはり性能の高さだろう。

 製品レベルで言えば、ズバリ、NVMe対応のSSD 750とSSD 950 PROである。投票結果は、これを如実に表わしており、Web投票、執筆陣投票ともにこの2機種に票が集中している。高性能というだけでなく、今後の主流として期待されているNVMe対応SSDを、プロ、エンドユーザーともに評価しているというわけだ。

 また、執筆陣とWebの投票結果の違いが大きいものを見ると、Web3位のExtreme PROはハイエンド志向の製品で、信頼性重視のわりには比較的価格が安価、SSD 535はコントローラは古めの仕様だが導入事例が多いという実績があるものの、いずれもブランドイメージが少なからず影響しているように思える。

・北川達也はこう見た!
 ほかのパーツが円安の影響で価格が下げ止まる中、SSDはどのセグメントも低価格化が進行し、大容量の製品が人気に。

・芹澤正芳はこう見た!
 性能が頭打ちのSerial ATA SSDを容量重視で選ぶか、超高速だが体感差は小さいNVMe SSDを選ぶか悩ましい。

SSD部門 レコメンド受賞製品

Samsung Electronics
SSD 950 PRO M.2

先端技術満載のNVMe対応M.2 PCIe SSD

Samsung S4LN058A01-8030 / M.2(PCI Express 3.0 x4) / Samsung製フラッシュメモリ
自社開発のトリプルコアを採用したコントローラ「UBX」を搭載。コントローラの処理能力の高さは折り紙付きだ

 コンシューマ向けではトップクラスの性能を誇るNVMe対応の超高速SSD。公称最大速度は2,500MB/sをうたう。インターフェースには内部PCI Express 3.0 x4接続のM.2を採用する。実際のベンチマーク結果もトップクラスだ。

 耐久性が高い3D構造のNANDメモリ「V-NAND」を採用し、総書き込みバイト数(TBW)も400TB(512GBモデルの場合)とコンシューマ向けSSDの中で群を抜いた耐久性を実現している。

型番容量バッファ用メモリ公称最高速度(リード/ライト)実売価格
MZ-V5P512B/IT512GB512MB2,500MB/s / 1,500MB/s52,000円前後
MZ-V5P256B/IT256GB512MB2,200MB/s / 900MB/s30,000円前後

【編集長から】

 圧倒的なパフォーマンスと高い耐久性、M.2による小型PCとの親和性の高さなどを見せ付けられると、新世代の到来を感じずにはいられません。

 容量さえ不足しなければ長期にわたって第一線で使い続けることができる存在です。


Intel
SSD 750

データセンター向けのDNAを継承

Intel CH29AE41AB0 / PCI Express 3.0 x4 / IM Flash Technologies製フラッシュメモリ
自社コントローラ「CH29AE41AB0」を採用する。このコントローラは、データセンター向けのDC P3500/P3600/P3700などでも採用されている高性能なものだ

 PCI Expressカード形状とU.2の2.5インチ形状の両方をラインナップしたPCI Express 3.0 x4接続のNVMe対応SSD。

 現状のSSDの中でトップクラスの性能を実現しているだけでなく、データセンター向けSSDと同じコントローラを採用し、そのDNAを色濃く受け継いでいる点が特徴。TBWは127TB(400GBモデルの場合)と耐久性も申し分ない。PCI Expressカード形状の製品は、7シリーズチップセット搭載マザーボードなどの旧製品でもOS起動が確認されている。旧製品のアップグレードパーツとして利用できる点も魅力的な製品だ。

型番容量バッファ用メモリ公称最高速度(リード/ライト)実売価格
SSDPEDMW012T4R51.2TB非公開2,500MB/s / 1,200MB/s160,000円前後
SSDPEDMW800G4X1800GB非公開2,100MB/s / 800MB/s90,000円前後
SSDPEDMW400G401400GB非公開2,200MB/s / 900MB/s53,000円前後

【選定のポイント】

●NVMe対応で性能はトップクラス
●旧マザーでもOS起動が可能


Samsung Electronics
SSD 850 EVO

コスパに優れた定番の人気製品

Samsung S4LN062X01-Y030ほか / Serial ATA 3.0 / Samsung製フラッシュメモリ
搭載コントローラは、自社開発のMGX(500GB以下のモデルの場合)。トリプルコアを採用しており、処理能力が高い

 発売から1年以上が経過した現在でも高い人気を誇っているSSD。最大容量2TBのモデルをラインナップする数少ない製品でもある。

 TLCチップを採用しているが、3D構造のV-NANDであり、TBWも500GBモデルで150TBと耐久性が高く、5年間の長期保証が付けられている。また、Serial ATA接続のSSDの中では性能もトップクラスで、コストパフォーマンスが非常に高い点も大きな魅力だ。初心者から上級者まで幅広いユーザーが安心して利用できる製品と言えるだろう。

型番容量バッファ用メモリ公称最高速度(リード/ライト)実売価格
MZ-75E2T0B/IT2TB2,048MB540MB/s / 520MB/s100,000円前後
MZ-75E1T0B/IT1TB1,024MB540MB/s / 520MB/s46,000円前後
MZ-75E500B/IT500GB512MB540MB/s / 520MB/s21,000円前後
MZ-75E250B/IT250GB512MB540MB/s / 520MB/s11,000円前後
MZ-75E120B/IT120GB256MB540MB/s / 520MB/s8,000円前後

【選定のポイント】

●低価格だが高性能
●保証期間が長く、耐久性が高い


【問い合わせ先】

Samsung Electronics:ssd.sjc@samsung.com(日本サムスン)/http://www.samsung.com/global/business/semiconductor/minisite/SSD/jp/
Intel:0120-868686(インテル)/http://www.intel.co.jp/


[Text by 北川達也]


DOS/V POWER REPORT 2016年2月号は2015年12月26日(土)発売】

★総力特集「主要9ジャンル+α 執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!? PCパーツ100選 2016」
★特別企画「ニューカマー3製品を徹底比較 本当に使える水冷クーラーはこれだ!」「話題作が豊富な今こそ揃えたい 鉄板ゲーミングデバイス 26」「あなたのマイナーニーズを狙い撃ち☆ 「短い」ケーブル&「長い」ケーブル集めました」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「時代を作った名品が月替わりピンナップで!名パーツカレンダー 2016」「パーツの役割や組み立て手順が分かる! 保存版PC 自作スタートブック 2016」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)

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(AKIBA PC Hotline!編集部)