パワレポ連動企画

小型PC自作プラン その1:小型でもハイエンドCPU

[小型PC徹底紹介(13)]

DOS/V POWER REPORT 6月号

 自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新6月号の特集記事、「小型PCの正解はどっち? Mini-ITX vs microATX」をまるごと掲載する当企画の13回目は、パワレポ編集部が実際に組んだ小型PCを紹介する。

 PCは計3モデルあるが、今回はその1つ目となる「小型でもハイエンドCPUを搭載したパワフルモデル」を紹介する。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 6月号は現在発売中。40ページにもわたる今特集に加え、「Windows XPからの正しい引っ越し手順」の特集などが組まれているほか、Windows 8.1対応ストアアプリ対応辞典が特別付録小冊子として用意されている。


- DOS/V POWER REPORT 2014年6月号 Special Edition -


組み立て簡単・高性能!
ハイエンドCPU搭載の小型PC

マザーボードやCPUクーラーなどメインパーツは上、電源ユニットは下という2層構造だ。電源ユニットからのケーブル接続はATX24ピンケーブルとEPS12Vケーブルのみで非常にシンプル

 Mini-ITXでの自作は、PCケースの選択しだいでその難易度が大きく変わってくる。ここでは組み立ての容易さと構成の自由度に優れる「PC-Q33B」をベースに、初心者でも扱いやすい高性能な小型PCを作ってみた。

左側面
右側面

 CPUはIntelの「Core i7-4770K」だ。マザーボードはCPUのオーバークロックが楽しめるASRockの「Z87E-ITX」を選んだ。mSATAスロットを搭載するため、ケーブル接続なしでSSDを設置できるのもこのマザーを選んだ理由の一つ。PC-Q33Bは、一体化した前面と天板が前面側に大きく開く。この状態ではマザーボード付近にフレームが一切存在せず、パーツやケーブルの接続が容易。Mini-ITX自作に付き物のトラブルはまず起きないので安心だ。

カテゴリー製品名実売価格
CPUIntel Core i7-4770K(3.5GHz)37,000円前後
マザーボードASRock Z87E-ITX(Intel Z87)17,000円前後
メモリCFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G( PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)10,000円前後
グラフィックス機能Intel HD Graphics(Core i7-4770K内蔵)
mSATA SSDMicron Technology Crucial M550 CT256M550SSD3(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)18,000円前後
電源ユニットFSP Group AURUM 92+ PT-550M(550W、80PLUS Platinum)12,000円前後
PCケースLian Li Industial PC-Q33B(Mini-ITX)12,000円前後
CPUクーラーサイズ 虎徹3,500円前後
合計109,500円前後
PCMark 8 Homeスコアアイドル時消費電力高負荷時消費電力
3,22318.2W73.7W

上記のパーツを選んだ理由

1.マザーボード
2.mSATA SSD
3.PCケース
【mSATA対応とCPUソケットの位置が決め手】
Intel Z87を搭載し、OCセッティングにも対応。前述したmSATAスロットの搭載も重要だが、CPUソケットの位置が端に寄っていることにも注目したい。ヒートシンクの幅が広いCPUクーラーを取り付けても、ビデオカードに干渉しにくい
【リード/ライトが高速なmSATA SSD】
Serial ATA 3.0に対応するmSATAのSSDだ。公称シーケンシャルリード速度は550MB/s、ライトは500MB/s。Intel 8シリーズ搭載マザーではmSATAスロットもSerial ATA 3.0対応であることが多いので、こうしたアクセス性能を活用できる
【現行Mini-ITXケースでは最善の1台】
組み込みやすさを考え、マザーボード周辺のフレームをなくした構造や、12cm角ファンや側面のメッシュによる高い冷却性能など、Mini-ITXの枠を超えた優れたPCケースだ。自作初心者がMini-ITXにチャレンジするなら、最高の選択肢

組み立て・セッティングのポイント

CPUクーラーの向きに注目
サイドフロータイプのCPUクーラーは背面のケースファンと風向きを合わせて設置するのが定石だが、そうするとヒートシンクがPCケースの側板に当たってしまう。そこで側面から吸気する向きで設置した。この状態でもヒートシンクと側面はギリギリの位置だ。この向きだと今度は背面ファンとの干渉が気になるが、隙間は2mm程度確保しており、ぶつかることはなかった
異次元の組み立てやすさ
前面と天板をガバッと開けると、マザーボード近くにはフレームがない状態だ。電源ユニットも下のエリアに組み込むため、マザーボードを覆うパーツや部品が存在しない。まるでベンチ台のような感覚で各種パーツを組み込んだり、ケーブル接続をしたりできるのだ。SSDもmSATAなので、Serial ATAケーブルや電源ケーブルを接続する必要がない

ハイエンドパーツの性能をいかんなく発揮、ビデオカードの追加もOK

【テスト中もCPU温度は低い】
PCMark 8のHome、Acceleratedモードでの結果だ。CPU温度の推移状況を見ると、テスト中は30~32℃で推移している。外気をたっぷりと取り込んで冷却できたようだ
【最新SSDならではのスコア】
mSATAスロット、SSDともにSerial ATA 3.0対応であり、最新SSDならではのすばらしいスコアを記録した。とくに4Kライトが100MB/sを大きく超えていることに注目したい

 懸念材料はCPUクーラーの風向が背面ファンと合っていないことだったが、テストしてみれば定格の高負荷時で59度、電圧Autoで4.2GHzにオーバークロックしても最大74度だった。ファンの位置が側面のメッシュと非常に近く、外気を取り込む吸気ファンとして機能したということだろう。またmSATAスロットはSerial ATA 3.0対応なので、2.5インチタイプのSSDをSerial ATAポートに接続したときと同レベルの性能だった。

 今回はオプションとしたが、ビデオカードを組み込めるかも試してみた。GeForce GTX 750 Ti搭載でカード長20.4cmのGIGA-BYTE「GV-N75TOC-2GI」は、PC-Q33Bには余裕で組み込みが可能だった。3D描画性能もCPU内蔵より約4.7倍にアップした。

【独自クーラーを搭載したOC版750 Tiカード】
GV-N75TOC-2GIはGPUにGeForce GTX 750Tiを採用、2GBのGDDR SDRAMを搭載するミドルクラスのビデオカード。映像出力はHDM I×2、DVI-D、DVI-Iの4種類、補助電源は6ピン×1
【問題なくビデオカードが装着できた】
PC-Q33Bは22cmまでのビデオカードを装着できるので、20.4cmのGV-N75TOC-2GIならまったく問題はない。またCPUクーラーのヒートシンクが干渉することもない
【3DMarkのスコア】
DirectX 11ベースの描画性能を計測できる「FireStrike」では、内蔵GPUの約4.7倍のスコアを叩き出した。PCゲームを楽しみたいならビデオカードを増設するとよいだろう

【検証内容】

OS:Windows 8.1 Pro 64bit 版、室温:21.6℃、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:PCMark 8実行中の最大値、CPU温度:HWMonitor 1.24のCPU TemperaturesのPackageの値、電力計:Electronic Educational Devices Watts up? PRO

[Text by 竹内亮介]



DOS/V POWER REPORT 6月号発売中】

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(AKIBA PC Hotline!編集部)