パワレポ連動企画
自作PCをよくするワザ、教えます(2) ~CPUクーラー編~
(2014/11/4 12:05)
このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌12月号の特集記事「自作PCをよくするワザ、教えます」をほぼまるごと掲載する。
第二回目の今回は、CPUクーラーに関する玄人ならではのワザを紹介する。これらのワザを使って、自作PCをもっと速く、もっと便利に使いこなしてほしい。
なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 12月号は、絶賛発売中。12月号では今回の特集のほか、最新UEFIの完全ガイド、ファイル送信サービス 10選、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、特別付録として「保存版 インターフェース図鑑 2014」と題した小冊子が付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。
- DOS/V POWER REPORT 2014年12月号 Special Edition -
自作PCをよくするワザ ~CPUクーラー編~
CPUクーラーはOC性能や静音性、信頼性に大きく影響する重要なパーツだ。ここでは、効果的に冷却性能や静音性を向上させるワザや確実に装着するワザを紹介していこう。
【中級ワザ】12cm角ファン対応クーラーに装着できる“14cm径”ファン
空冷式のCPUクーラーは、基本的に金属製のヒートシンクとファンの組み合わせで構成されている。冷却性能はその総合力で決まるわけだが、多くの製品は簡単にファンの着脱ができ、交換もできる。冷却性能を高めるには、より高速回転のファンや大口径のファンに交換するというアプローチがある。大口径化については、ヒートシンクが大口径に直接対応していなくとも、12cm角と同じ位置に取り付け穴を持つ14cm径ファン、あるいは口径変換アダプタといったものを利用する手がある。
さて、サイズのCPUクーラー「MUGEN 4」をベースとして実際に両者を試してみたのが、下のグラフである。 高速化のほうは高負荷時、OC高負荷時ともCPU温度が3℃下がったが、OC高負荷時には動作音が大きく上昇してしまった。一方、大口径化ではとくにOC高負荷時に効果が大きく、動作音3.7dBの上昇で7℃も温度を下げることができた。OC時などに冷却不足を感じてピーク冷却性能の向上を期待するならば、大口径化を優先して考えるのがよさそうだ。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:MSI Z87-GD65 GAMING(Intel Z87)、メモリ:Corsair Components Vengeance CMZ8GX3M2A1866C9B(PC3-14900 DDR3 SDRAM 4GB×2)、SSD:Lite-On Plextor SSD M5 Pro PX-512M5P(Serial ATA 3.0、MLC、512GB)、ファン:Cooler Master Blade Master 120(12cm角、2,000rpm、「ファンを高速化する」で使用)/サイズ 隼140 PWM(14cm径、1,300rpm、「ファンを大口径化する」で使用)、OS:Windows 8 Pro 64bit 版、室温:約26℃、暗騒音:30dB以下、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT PT 4.4.0 CPU LINPACKテスト時の最大値、OC高負荷時:動作クロック4.5GHz(TB倍率45倍)、ほかは高負荷時と同じ条件、動作音測定距離:ファンの中心から10cm、CPU温度:HW Monitor 1.23のCPU Temperatures のPackageの値
【中級ワザ】ファンを追加して冷却性能も静音性もアップ!
サイドフロー型のCPUクーラーの多くはファンを二つ搭載できる。標準添付が1基でも、追加ファン用のワイヤなどが付属している製品は少なくない。ファンを二つ使うと風量が増すだけでなく、エアフローの経路を明確化できるメリットもある。単純な冷却性能の強化だけでなく、効率も上昇すると考えられ、その向上した分をファンの回転数を下げる方向で調整できれば静音化も期待できる。
実際に増やすとどうなるのかを、サイズMUGEN 4で試してみたのが下のグラフだ。自動設定での利用時は、CPU温度は高負荷時で2℃、OC高負荷時で4℃下がった。これが単純な冷却性能の強化分だ。そして、ファンの回転数を絞ってみると70℃まで20%で回す設定でも十分な冷却能力を示しており、その状態の動作音はファン1基よりも大幅に小さく、期待どおりの静音性が得られた。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:MSI Z87-GD65 GAMING(Intel Z87)、メモリ:Corsair Components Vengeance CMZ8GX3M2A1866C9B(PC3-14900 DDR3 SDRAM 4GB×2)、SSD:Lite-On Plextor SSD M5 Pro PX-512M5P(Serial ATA 3.0、MLC、512GB)、OS:Windows 8 Pro 64bit 版、室温:約26℃、暗騒音:30dB以下、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT PT 4.4.0 CPU LINPACKテスト時の最大値、OC高負荷時:動作クロック4.5GHz(TB倍率45倍)、ほかは高負荷時と同じ条件、動作音測定距離:ファンの中心から10cm、CPU温度:HW Monitor 1.23のCPU Temperatures のPackageの値
【中級ワザ】プッシュピン方式のクーラーをバックプレートで固定する
Intel CPUのリテールボックスに付属する純正CPUクーラーは、プッシュピンによる固定方法を採用している。この方式は簡単に着脱できるというメリットがあり、サードパーティ製の比較的安価なクーラーの多くでも採用されている。一方、CPUとクーラーとの密着度、熱伝導効率はバックプレートと板バネやスプリングネジを使った方法に見劣りする。また、この方式は基板が歪みやすく、小さなICのはがれや信号線の電気抵抗増加、スキュー(平行して走る信号線のタイミングのズレ)などにつながりやすい。
冷却効率、信頼性、耐久性を重視するならCPUクーラーの交換がお勧めだが、予算の制限やデザインが気に入っているなど、なんらかの理由でクーラー交換をしたくない場合は、アイネックスの「BS-1156」のようなバックプレートキットを使う方法がある。標準の固定具を活かしてバックプレートにしっかり固定することができるので、冷却効率、信頼性、耐久性の向上が期待できる。
[Text by 鈴木雅暢]
【DOS/V POWER REPORT 12月号は10月29日(水)発売】
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