パワレポ連動企画

長時間遊べる快適&省電力ゲーミングPC

【見せるぜ!俺のメインマシン(7)】

DOS/V POWER REPORT 2015年4月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年4月号」の第一特集「見せるぜ!俺のメインマシン」を掲載する。

 DOS/V POWER REPORT執筆陣が作成した「俺のメインマシン」の五台目は、ゲームと仕事を両立した小型で静音のPC。ビデオカードを搭載しながら高負荷時の消費電力が低いのが特徴だ

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年4月号は全国書店、ネット通販にて絶賛発売中。特集記事は掲載した第一特集のほか、最近手が届く価格まで下がってきた4K対応製品や、高度な3Dゲーム対応製品など、ポストフルHDをにらむ液晶ディスプレイを解説した「新世代液晶ディスプレイ一斉テスト」や、5インチベイに光学ドライブ内蔵という考えはもう古いのか!?「外付け&スリムベイ内蔵光学ドライブ14」、ミドルレンジGPU期待の新製品を解説する 「ついに登場!! NVIDIA GeForce GTX 960」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は売れ筋から最新Titaniumモデルまで解説した「電源大図鑑37」。自作において、電源は絶対に軽視してはいけない。出力ワット数だけでなく、コネクタの数や寸法も要チェックだ。


- 見せるぜ!俺のメインマシン -
常用PCの最新型は一つじゃない!!


DOS/V POWER REPORT本誌執筆陣7名が競作(5)
長時間遊べる快適&省電力ゲーミングPC

第五弾担当:加藤勝明

普段の使い方

 PCでゲームを快適に楽しめることを追求してずいぶん経つが、Sandy Bridgeから第2世代Maxwellにいたる間にゲーミングPC環境は劇的に改善されたように感じる。もっか4K液晶をどう手なずけようか通帳の残高をにらみながら苦悩する日々を送っている。

 省電力かつ静音という路線だけでは、今回のほかのライター各氏とかぶるところがありそうだが、最後の味付けとして何をプラスするかによって個性を出せるはず。ゲーム好きである筆者としては、ゲームを中心としたマシンにしたい。フルHD解像度でサクサクと軽快に最新ゲームが動作し、なおかつ静音性が高く長時間ゲームに没頭できる。さらにコストパフォーマンスも高い、そんなマシンが欲しい。先日出たばかりのミドルレンジGPU「NVIDIAGeForce GTX 960」と、準ファンレス仕様のクーラーを組み合わせたビデオカードを軸にすれば、これを実現できるのだ。

パーツ構成と共通ベンチマーク結果

ビデオカードはGeForce GTX 960で決まり

低消費電力で高性能
最新のミドルレンジGPU「GeForce GTX 960」は、低消費電力ながら高い性能を持つ
準ファンレスクーラーを採用
今回使用したASUSTeK STRIX-GTX960-DC2OC-2GD5は、低負荷時にファンが停止する準ファンレス仕様

 このプランのキモは静かで省電力、かつ高性能なビデオカードの存在だが、最新ミドルクラスGPU「GeForce GTX 960」の準ファンレス仕様の製品を選べば解決できる。

 TDP 120WとミドルクラスGPUとしては低消費電力ながら、「ウォッチドッグス」のような重いゲームの最高画質設定でも平均50fps以上出せる。さらに「DSR」を有効にすれば、旧世代のゲームでもフルHD液晶で4K相当の解像感を得られるので、最新タイトルにこだわらないユーザーにもメリットがある。

 ただし、あくまでミドルクラスGPUであるため、4K解像度で遊ぼうとするとさすがにつらい。最初から4Kを狙うなら、後で紹介するGeForce GTX 980を採用する拡張プランをお勧めしたい。

重量級ゲームも快適にプレイ
GeForce GTX 960はミドルクラスGPUだが、フルHD解像度であれば最高画質でも快適。フレームレート重視なら、設定を少し変えるだけですむ
ウォッチドッグス:c 2014 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved.
4K相当の解像感を得られる
NVIDIAコントロールパネルで「DSR係数」を「4.00x」に設定すると、フルHD環境でもより精細な画面が得られる
ゲームの平均フレームレート
【検証環境】OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、Sid Meier's Civilization: Beyond Earth:画質“ウルトラ”、アンチエイリアス“4x MSAA”に設定し、ゲーム内蔵のベンチマーク機能を利用してフレームレートを測定、ウォッチドッグス:画質“最大”、アンチエイリアス“テンポラルSMAA”、GPU最大バッファフレーム“1”に設定し、市街地の一定のコースを移動する際のフレームレートを「Fraps」で測定

低消費電力CPUとGPUの組み合わせで、HDDの小型PCでも安心の低発熱

低消費電力CPUと組み合わせる
GeForce GTX960が低消費電力なので、CPUもそれに合わせてTDP65Wの低消費電力モデルを採用。発熱が抑えられ、小型ケースでも使いやすい
安くて冷えるCPUクーラーを搭載
低消費電力CPUだが、冷却性能だけでなく静音性も両立させるため、コストパフォーマンスに定評のある「サイズ 虎徹」を採用

 静音性と省電力性能を両立させるには、CPUも省電力なものを選ぶ必要がある。ピーク時の消費電力の少なさだけならPentiumやCore i3でもよさそうだが、廉価版CPUだとゲームプレイの操作感も大きく下がる。とくに最近のゲームではマルチスレッド処理が多用されるため、CPUは最低でもCore i5、つまりクアッドコア以上のCPUが必要だ。

 低発熱だけに注目するならばTDP 45WのCore i5-4670TやTDP 35WのCore i5-4590Tがあるが、これらは入手性に難がある上に動作クロックが低いのでゲームには向かない。注目はTDP 65Wで3.2GHz動作のCore i5-4690Sだ。Core i5-4690Kのような高クロックモデルも魅力だが、あえて今回は低発熱であることにこだわった。

温度の推移と動作音
【検証環境】OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、室温:約24℃、暗騒音:34.5dB、アイドル時:Windows起動10分後の値、ゲームプレイ時:ウォッチドッグスプレイ開始から30分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.1のPOWER SUPPLY実行中の最大値、温度の推移:OCCT 4.4.1のPOWER SUPPLY実行中に「HWiNFO64 4.51」で測定、動作音測定距離:前面から約30cm

SSDは容量優先で選択、M.2は高価なので見送り

SSDは500GBクラスの大容量を
ストレージ搭載台数に制限がある小型PCなら、SSDはできるだけ大容量のものを選びたい
容量の大きなゲームが増えた
今時の大作ゲームはインストール容量が40GB以上あることもめずらしくない

 ことゲーミングPCのSSDでは“大容量”であることが必須。最新ゲームでは1タイトルあたり40?50GBも消費することもめずらしくないからだ。HDDを搭載しないなら240GBクラスのSSDでは心もとない。

 もう一つの考慮すべきは、インターフェースだ。スピード重視ならSerial ATA 3.0よりも高速なM.2がベストだが、2.5インチ製品と比べるとかなり割高。高速な分、ロード時間などの短縮が期待できるが、HDDからSSDへの移行ほど劇的な効果はない。コストパフォーマンスを考えると、速度よりも容量を重視すべし。

信頼性の高いIntel SSD 730
SSD 730は停電時でも受け取ったデータをフラッシュメモリに書き込むための電力を蓄えるコンデンサを備え、信頼性が高い
インターフェースによる価格の違い(500GBクラス)

“不要なものは使わない”が組み立ての鉄則

 今回選択したPCケース「Node 304」は、フロントに9cm角ファンを2基と、背面にファンコントローラを備えているが、十分な冷却性能を確保できるので使わない。ケーブルも結束バンドなどを活用してまとめた。さらに静音性と冷却性能のバランスを追求するため、UEFIの「Q-Fan Control」機能を使っている。

 なお、評判のよいWindows上で動作する「Fan Xpert 3」は、CPUリソースを少しでも節約するため今回は使っていない。

フロントファンとファンコンは使わない
冷却性能は十分なので、こちらも使わないケーブルは結束バンドを使って整理した
ケーブルは結束バンドで
各ケーブルはファンに接触したりしないよう結束バンドでマメにまとめる
シャドーベイにまとめる
少しでもエアフローを確保することと、見た目をすっきりさせるため、よぶんなケーブルはシャドーベイの中に押し込んだ
ファンコントロールはQ-Fan Controlを使用
CPU負荷軽減のためFan Xpert 3は使わず、Q-Fan Controlでファンを制御
奥行12cm
奥行14cm
奥行16cm
電源ユニットの奥行きに注意
Node 304は奥行き16cmまでの電源ユニットを搭載可能だが、ビデオカード搭載時に干渉してしまう可能性があるので、14cm以下の製品にするのが無難だ

加藤勝明が提案する活用&拡張プラン

4Kも狙える描画性能を求める

高性能クーラーを採用
Micro-Star International
GTX 980 GAMING 4G
実売価格:70,000円前後
ビデオカードだけでは足りない
4Kや最高画質で快適なプレイをしたいなら、ビデオカードだけでなくCPUやメモリの交換、増設も視野に入れたい

 最新の重量級ゲームを4Kや最高画質で遊びたいなら、GeForce GTX 980クラスのGPUが必要だ。しかし、そのクラスのタイトルになると、CPUにもかなりの負荷がかかる。そこでGTX 980と一緒に、3次キャッシュメモリ容量の多いCore i7-4790Sにアップグレードし、メインメモリも8GB×2の構成にパワーアップしてみよう。

 ここまで強化すると定格出力500Wクラスの電源ユニットで大丈夫なのか心配になるが、ゲームプレイ時の負荷は250W前後に収まる。つまり500Wクラスの電源ユニットなら、変換効率の一番おいしい部分を使えるのだ。ついハイエンドGPUだと余裕を持ってという意識が出てしまうが、ムダに高出力の電源を使う必要はない。

ゲーム特化構成時のフレームレートと消費電力の変化
【検証環境】[ゲーム特化構成]最初のパーツ構成よりCPUをIntel Core i7-4790S(3.2GHz)へ、メモリをCFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-8G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)へ、ビデオカーをMSI GTX 980 GAMING 4G(NVIDIA GeForce GTX 980)に変更[検証方法]ウォッチドッグス:ウォッチドッグス:画質“最大”、アンチエイリアス“テンポラルSMAA”、GPU最大バッファフレーム“1”に設定し、市街地の一定のコースを移動する際のフレームレートを「Fraps」で測定、消費電力:システム起動10分後をアイドル時、「3Dark v1.4.828」のFire Strikeデモ実行中の最大値をゲームプレイ時、OCCT 4.4.1のPOWER SUPPLY 実行時の最大値を高負荷時として計測、電力計:Electonic Educational Devices Watts Up? PRO

ゲームプレイ動画の編集環境を整える

遡り録画にも対応するShadowPlay
ホットキー一つでゲームのプレイ動画を録画できる便利な機能だ

 GeForce GTX 900シリーズは、ゲームプレイを録画できる「ShadowPlay」に対応しているが、ゲーム録画でキモになるのがストレージ容量とCPU性能、メモリ容量だ。とくに、ShadowPlayの録画はVFR(可変フレームレート)方式のため普通に編集すると音ズレが起こるので、一度CFR(固定フレームレート)に変換する必要がある。そこで基本構成からCPUをCore i7-4790Sに交換、メモリ容量を16GBに、録画用ストレージに容量3TBの3.5インチSerial ATA HDDを2台増設し、ShadowPlayで録画した動画をCFRに変換するスピードを比較してみた。

 その結果が右下のグラフ。差が小さいと思うかもしれないが、ゲームプレイの録画ファイルは複数個あるのが普通なので、その差はさらに広がる。ゲームプレイ動画を快適に編集するなら、CPUはCore i7を選択したい。

ストレージ容量がキモ
動画の録画には大容量のHDDが欠かせないが、シャドーベイが足りない場合は、システム用SSDをM.2 SSDに変更してベイを空けることも考えよう
VFRからCFRへの変換が必要
ShadowPlayで録画した動画はVFR(可変フレームレート形式)であるため、編集を行なう前にCFR(固定フレームレート形式)に変換しないと音ズレが起こる
エンコード速度
【検証環境】[録画特化構成]最初のパーツ構成よりCPUをIntel Core i7-4790S(3.2GHz)へ、メモリをCFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-8G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)に変更、Western Digital WD Red WD30EFRX(Serial ATA 3.0、5,400rpm、3TB HDD)×2台を追加、エンコード速度:ShadowPlay で録画した約14分のフルHD動画を「Hndbrake v0.10.0」を用いてCFR形式のH.264に変換する時間を計測。画質設定はデフォルトの「Normal」を使用

【共通ベンチマーク条件】

OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.1 POWER SUPPLYを10分間実行中の最大値、電力計:Electric Educatinal Devices Watts Up? PRO

【使用パーツ問い合わせ先】

Intel:0120-868686(インテル)/ http://www.intel.co.jp/
ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/ http://www.asus.com/jp/
CFD販売:―/ http://www.cfd.co.jp/
Fractal Design:03-5215-5650(アスク)/ http://www.fractal-design.jp/
サイズ:support@scythe.co.jp / http://www.scythe.co.jp/
Micro-Star International:web-jp@msi.com(エムエスアイコンピュータージャパン)/ http://jp.msi.com/
Western Digital:0120-994-120 / http://www.wdc.com/jp/


DOS/V POWER REPORT 2015年4月号は2015年2月28日(土)発売】

★第一特集「見せるぜ!俺のメインマシン」
★第二特集「新世代液晶ディスプレイ一斉テスト」
★特別企画「ついに登場!! NVIDIA GeForce GTX 960」「外付け&スリムベイ内蔵光学ドライブ14 選」「趣味系SNSにどっぷりハマる!」
★連載「最新自作計画」「POWER REPORT PLUS」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 特別付録小冊子「電源大図鑑37」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌末尾に収録)
★ 電子版は割安な税別926円
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2014-12-26-1549.php

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(AKIBA PC Hotline!編集部)