パワレポ連動企画

どこまで使える?旧マシンからのアップグレード
~Windows 10の自作プラン その3~

【即効! Windows 10×PC自作(16)】

DOS/V POWER REPORT 2015年9月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年9月号」の第一特集「新OSがあなたのマシンを変える 即効!Windows 10 × PC自作」を掲載する。

 本特集も今回で最終回。第十六回目では2011年頃の代表的なスペックの自作PCを、Windows 10を快適に使えるマシンへとアップグレートするオススメのプランを紹介する。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年9月号は全国書店、ネット通販にて7月29日(水)に発売。ついに発売されるWindows 10を解説した第一特集のほか、頻繁に買い換えるものではない電源ユニット、カタログや口コミだけでは分からない部分を徹底解析する第二特集「出力だけじゃない! 効率だけじゃない! 2年後に後悔しない電源」、二次元世界の嫁の写真(イラスト)もきれいに拡大!「“最新ハードによる”waifu2x活用講座」、容量も重要だけど、やっぱり品質にも気を遣いたい「安くなった高性能、高品質メモリを狙え! DDR4/DDR3メモリコレクション2015」、MVNOのお供に選べるスマホ「選べる自由とハイコスパをその手に! すぐ買えるSIMフリースマホ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は高音質、ハイレゾ対応、デザイン性、コストパフォーマンス、多彩なニーズに応えます!「サウンドデバイス大全2015」だ。


-どこまで使える?旧マシンからのアップグレード ~Windows 10の自作プラン その3~-


旧マシンのパーツ強化
Windows 10はどこまで快適になる!?

■このプランのこだわり
Windows 7 32bit版からWindows 10 64bit版へ
旧世代と現役世代で大きく変わる性能

2011年に人気を集めたCPU、マザーボード、SSD、ビデオカードなどの組み合わせ。この当時主流のOSはWindows 7で、互換性の問題から32bit版を使っている人もいた。64bit OSへの移行期と言える時期だ

 Windows 7(2009年発売)とSandy Bridge(2011年発売)世代のCPUを組み合わせて使用している人はまだまだ多いのではないだろうか。Sandy Bridgeは第2世代Coreシリーズであり、Broadwell-Cの登場によって第5世代に突入した現在では3世代も前になるものの、Core i7なら4コア8スレッドなのは現役世代と同じ。

 ここで使用しているCore i7-2700Kは定格で3.5GHzと高クロックなので十分なスペックだ。それだけに、ハードウェアはそのままでWindows 10へのアップグレードを予定している人もいるだろう。CPUとマザーボードを交換するとほとんどマシン丸ごとの変更に近いため、そのまま使うとしても、メモリは増設し、SSDとビデオカードは現役世代に交換すれば、グッと快適度がアップする。

 そこで、ここでは2011年に人気だったパーツとWindows 7の組み合わせから、現役世代のパーツへの交換とWindows 10への乗り換えで、どこまで性能が変化するのかベンチマークなどでチェックしていきたい。最新OSの登場を機会にパーツ構成を見直してみては?

CPU
Intel Core i7-2700K
マザーボード
ASUSTeK Computer P8P67
2011年10月に発売されたSandy Bridge世代のCPU。ソケットはLGA1155で、スペックは4コア/8スレッド、定格クロック3.5GHz/最大3.9GHzで、内蔵GPUにHD Graphics 3000を搭載、TDPは95Wと高めだ
P67チップセットを搭載するATXサイズのマザーボード。電力管理チップ「EPU」やオーバークロックチップ「TPU」、Bluetoothなど機能充実。CrossFireXもサポートしている
ビデオカード
EVGA GeForce GTX 460 768-P3-1360-KR
SSD
Micron Technology Crucial RealSSD C300 CTFDDAC256MAG-1G1
GPUにNVIDIA GeForce GTX 460を搭載するビデオカード。ビデオメモリは768MB(GDDR5)搭載している。コアクロックは675MHz、メモリクロックは3.6GHz、メモリバスは192bitだ
Serial ATA 3.0対応SSDとしては最初期の製品。公称でシーケンシャルリード最大355MB/s、シーケンシャルライト最大215MB/sをうたう。発売した2010年3月時点では高速なSSDとして人気を集めた
【使用したパーツ】
カテゴリー製品名
CPUIntel Core i7-2700K(3.5GHz)
マザーボードASUSTeK P8P67(Intel P67)
メモリCorsair XMS3 CMX4GX3M2A1333C8(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2)
ビデオカードEVGA GeForce GTX 460 768-P3-1360-KR(NVIDIA GeForce GTX 460)
SSDMicron Crucial RealSSD C300 CTFDDAC256MAG-1G1(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
電源ユニットFSP EVEREST 85PLUS 720(720W、80PLUS Bronze)
CPUクーラーサイズ グランド鎌クロス(トップフロー、14cm 角ファン)

【検証環境】

PCMark 8:PCMark 8 v2.4.304-Home Accelerated のスコア
3DMark:3DMark v1.5.884- Fire Strike のスコア
アイドル時:OS起動10分後の値
高負荷時:OCCT 4.4.1 Power Supplyテストを10分稼働させたときの最大値
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

OSをWindows 7からWindows 10へ

 今回のベースとなるPCは、メモリが4GBということもあり、Windows 7の32bit版を搭載している。

32bitのOSは、最大メモリサイズが4GBと少ない。さらに、デバイスのためのアドレス空間などが必要となるため、実際には3~3.5GB程度しか利用できない。当時は3GBの壁などと呼ばれ、64bitOSへの移行を加速させる要因の一つとなった

 まずは、それを32bit版/64bit版それぞれのWindows 10に変えた場合、起動時間とPCMarkのスコアがどう変化するのか確かめた。OSを変えただけでは、PCMark 8の結果を見てのとおり、ほとんど変化はない。その一方で、64bit版を導入したときのOS起動時間は4秒以上短縮した。これは、64bit版ならば起動時間を短縮できるUEFIネイティブモードでのインストールが可能になるため(マザーボードの対応も必要)。

 なお、UEFIネイティブモードはOSのインストール時に設定が必要なので、32bit版のWindows 7の設定のまま64bit版のWindows 10を上書きインストールした場合は有効にならない。UEFIネイティブモードの恩恵を受けたい場合は、アップグレードではなく、OSのクリーンインストールを行なおう。

起動が高速なUEFIネイティブモードを使うには
64bit版をクリーンインストール

メモリを8/16GBに増やす

メモリ
CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G 実売価格:8,000円前後

■長期人気の定番メモリ 効果:

4GBが2枚セットになった定番メモリ。長期にわたり、永久保証の安心感とコストパフォーマンスの高さからトップクラスの人気を獲得している。XMPをサポートしており、手軽なオーバークロックに挑戦できるのもポイントだ
P8P67はメモリスロットを4基備えている。今回は、W3U1600HQ-4Gを2セット用意して8GB(4GB×2)と16GB(4GB×4)の環境を作った。なお、このマザーボードは最大32GBのメモリを搭載可能だ

 64bit OSであれば、4GB以上のメモリを使えるのはWindows 10でも同じだ。そこで、ここでは4GBのまま、8GB、16GBのそれぞれでベンチマークを実行した。

 メモリ容量の差を確かめるべく、いくつかテストを実行したが、PCMark 8のHome Acceleratedでは、一般的な処理を想定してのベンチマークであるため、メモリ容量による差がほぼ出なかった。通常の処理であれば、4GBでも十分実用的ということだろう。その一方で、動画の編集など負荷の高いテストを実行するPCMark 8のCreativeでは、メモリの容量が大きくなるほどスコアが伸びた。動画や高解像度の画像など、容量の大きいファイルを扱う場合は差が出ると言える。

 また、ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマークでは、16GBまで増やしてもスコアはほぼ変わらず。総合的に判断すると、8GBのメモリ容量がもっともバランスがよいと言える。

SSDを最新モデルに交換する

SSD
Micron Technology Crucial BX100 CT250BX100SSD1 実売価格:13,000円前後

■エントリーモデルでも高性能 効果:

Serial ATA 3.0対応、NANDメモリにMLCを採用するSSD。公称シーケンシャルリードは535MB/s、シーケンシャルライトは370MB/sでTBW(総書き込みbyte数)は72TBだ
P67チップセットの場合、Serial ATA 3.0に対応するのは2ポートのみ。ほかのSerial ATAポートは2.0であるため、SSDを取り付ける際にはポートを間違わないように注意する必要があった

 今回の構成で使用しているCrucialのSSD「RealSSD C300」は、Serial ATA 3.0にいち早く対応し、公称のシーケンシャルリードが355MB/sと、発売した2010年3月当時はトップクラスのデータ転送速度を誇っていた。それだけに、256GBモデルの発売当初の価格は約8万円と非常に高価だった。

 ここでは、同じCrucialで現在のエントリモデル「BX100」に交換したときのデータ転送速度を比べている。250GBのBX100は公称でシーケンシャルリードが535MB/s、シーケンシャルライトが370MB/sとなっている。その結果は右の表を見れば分かるとおり、公称スペックほどの数値ではないが、順当な結果だ。

SSDはわずか5年で速度が大幅に向上、価格も急落と
買い換えのメリットは非常に大きい

ビデオカードを現役世代に変更

ビデオカード
ASUSTeK Computer STRIX-GTX960-DC2OC-2GD5 実売価格:29,000円前後

■準ファンレスの静音仕様 効果:

GPU Boost時のコアクロックが1.291GHz(定格1.178GHz)となるオーバークロックモデル。GPUの温度が上昇したときのみファンが動作する準ファンレス仕様だ
GeForce GTX 460(1GB)の補助電源端子は6ピン×2だが、GeForce GTX 960は電力効率が大幅に上がり、性能は大幅に向上しながらTDPは下がり、補助電源端子は6ピン×1のみとなっている

 ビデオカードの進化も速く、今回の構成にあるGeForce GTX 460は、2010年当時は3万円以下で購入できるミドルレンジのビデオカードとして人気を集めたが、現役世代で同じく3万円以下で購入できるGeForce GTX960に比べ、ベンチマークの結果のとおり、半分程度の性能だ。

 さらに、GeForce GTX460(1GB版)のTDPは160Wなので、6ピンの補助電源を二つ接続する必要があり使い勝手はイマイチ。一方のGeForce GTX 960のTDPは120W。6ピンの補助電源一つで駆動し、高性能で消費電力も下がる。

 GeForce GTX 460は最新ゲームをフルHDの解像度かつ高画質でプレイするには、すでにパワー不足なので、ゲームを快適にプレイしたいならば、交換すべきパーツの筆頭だ。

グランド・セフト・オート V:内蔵ベンチマークのPass 4テストのfps平均値

5年前のミドルレンジでは現在のゲームをプレイするには力不足。
買い換え推奨

電源を80PLUS Gold認証モデルに換える

電源ユニット
SilverStone Technology Strider Essential Gold SST-ST70F-ESG 実売価格:15,000円前後

■Gold認証でコンパクト 効果:

80PLUS Gold認証を取得し、12cm角の静音ファンを備えながら、奥行きは14cmとコンパクトなサイズを実現。プラグイン方式ではないが、小型PCでも使いやすい電源だ
メインの24ピン×1、12Vの4+4ピン×1、ビデオカード用の6+2ピン×4、Serial ATA用×9、ペリフェラル×3、FDD×1と十分なコネクタ数が確保されている

 2009年発売の電源ユニットであるFSPのEVEREST 85PLUS 720は、プラグイン式、80PLUS Bronze認証を取得、ファンの回転数調整機能により高い静音性を実現、価格も1万7,000円前後など、当時としては比較的高級な製品だった。

 しかし、現在では80PLUS Gold以上の認証を取得した高効率電源でも低価格のモデルが増えており、PCの省エネ化を狙うのであれば、思い切って交換するのも一つの手だ。そこで、ここでは80PLUS Gold取得の電源に交換した場合の消費電力を確認していく。

 なお、Bronzeでは、電源が50%の負荷率で85%の電源変換効率が求められるのに対し、Goldでは90%という非常に高い電源変換効率が求められる。この差は、ハッキリと数値として表われており、アイドル時で約14W、高負荷時では27Wも消費電力が減っている。省エネを重視するなら、交換して損のない差だと言える。

ここまでのパーツをすべて使用する

ページ冒頭に掲載した構成から交換したパーツ。特筆すべきは、大幅に性能アップを果たしながら、消費電力は減っていること。ビデオカードのワットパフォーマンスが大幅にアップしていることがよく分かる

 最後は、ここまで紹介してきたすべてのパーツへと交換した場合の効果を確かめる。

 負荷のそれほど高くないPCMark 8では、あまりスコアは伸びていないが、ビデオカードの交換による効果は高く、3DMarkのスコアは大幅に上昇。

 ここで注目したいのは、消費電力だ。性能は大幅にアップしながら、アイドル時、高負荷時ともに大きく減っている。最近のパーツは、ワットパフォーマンスを重視しているだけに、その傾向がハッキリと出ているのがおもしろい。

CPU温度の表示やファンの回転数制御、オーバークロックまで実行できるP8P67の総合ユーティリティ「AI Suite Ⅱ」は、Windows 10の環境でも問題なく動作し、電力管理チップ「EPU」の制御も可能だった
【使用したパーツ】
カテゴリー製品名実売価格
メモリCFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)8,000円前後
ビデオカードASUSTeK STRIX-GTX960-DC2OC-2GD5(NVIDIA GeForce GTX 960)29,000円前後
SSDMicron Crucial BX100 CT250BX100SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、250GB)13,000円前後
電源ユニットSilverStone Strider Essential Gold SST-ST70F-ESG(700W、80PLUS Gold)15,000円前後
合計 65,000円前後

【問い合わせ先】

CFD販売:-/ http://www.cfd.co.jp/
Micron Technology:-/ http://jp.crucialproducts.com/
ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/http://www.asus.com/jp/
SilverStone Technology:03-3768-1321(マスタードシード)/ http://www.silverstonetek.com/


[Text by 芹澤正芳]


DOS/V POWER REPORT 2015年9月号は2015年7月29日(水)発売】

★第1特集「新OSがあなたのマシンを変える 即効!Windows 10 × PC自作」
★第2特集「出力だけじゃない! 効率だけじゃない! 曖昧な口コミでは分からないデータが一杯! 2年後に後悔しない電源」
★特別企画「二次元画像の美麗アプコンで超話題 “最新ハードによる”waifu2x活用講座」「安くなった高性能、高品質メモリを狙え! DDR4/DDR3メモリコレクション 2015」「選べる自由とハイコスパをその手に! すぐ買えるSIMフリースマホ」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

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★ 特別付録小冊子「サウンドデバイス大全2015」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌末尾に収録)
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(AKIBA PC Hotline!編集部)